表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

人生の絶頂 消化試合面接にて無礼の極みを尽くす

作者: 月羽

俺は中堅私大4年のしがない就活生だ。

可もなく不可もなくのメリーゴーランド人生を送ってきた俺だが、先日ようやく、第一志望の大手企業から内定を貰えた!

これで俺も、30代半ばには年収1000万濃厚、合コンでもモテモテ、同窓会にもデカい顔して行けるんだ!

しかし、就活もまだ正式に終わりではない。第二志望の中堅企業の最終面接を明日に控えている。

消化試合だが、前日にキャンセルするのも迷惑だろう…よし、落ちてもデメリット無しだ、ここは盛大にふざけよう!


そうして俺は、元手芸部の経験を活かして、あるキャラクターの衣装を作成した。その名はかの有名な少年漫画の悪役、名言製造機として有名なあの男である。


〜〜あるビルの面接室にて〜〜

「では、お入り下さい」

「ようこそ…私のソウルソサエティへ」

面接官A(?????????????)

面接官B(え?今なんて?それに彼の格好、スーツじゃない?あの羽織り…若い頃に何かの漫画で見たような…)

「あの?ふざけているのですか?ちゃんと答えないと退場していただきますよ?」

「君たち如きがこの私に判決か…いささか滑稽に映るね」

「あの!真面目に答えて下さい!こっちだって時間は無限じゃ無いんですよ!」

「何を恐れることがある?110年前のあの夜に既に君たちは死んでいると言うのに」

「ダメだこりゃ…まるで話にならん…これまでの面接官は何をしていたんだ…」

「余り強い言葉を遣うなよ…弱く見えるぞ」

「まあ仕方ないですよ…次の面接まではまだ20分ほどあるので…」

「では、そちらの椅子におかけ下さい」

「議論は終わったようだね。ではそろそろ、両手の戒めを外して、私を椅子から解き放ってくれるかい?」

(座れって言ったんだよ…)

「では、早速ですが志望動機からお聞かせ下さい」

「進化には恐怖が必要だ。今のままではすぐにでも滅び消え失せてしまうという恐怖が」

「なるほど、弊社で困難を乗り換えて成長したいんですね。では、貴方が学生時代に力を入れたことを教えて下さい」

「最初から誰も天に立ってなどいない。君も僕も神すらも。だがその耐え難い天の座の空白も終わる。これからは私が天に立つ」

「なるほど、高みを目指して自己研鑽を頑張ったんですね。では、貴方の強みはこれまでの選考でたくさん聞きましたので、弱みを教えて下さい」

「首の後ろは生物の最大の弱点だ。そんな場所に何の防御も施していないと思ったかい?」

「なるほど、抜け目無いですね。では、貴方の座右の銘を教えて下さい」

「滲み出す混濁の紋章

不遜なる狂気の器

湧き上がり・否定し・痺れ・瞬き 眠りを妨げる

爬行する鉄の王女

絶えず自壊する泥の人形

結合せよ 反発せよ

地に満ち己の無力を知れ

破道の九十 黒棺」

「なるほど格好いいですね。では、仕事でクレームを受けた場合はどうしますか?」

「敵襲だ、まずは紅茶でも淹れようか」

「余裕があっていいですね。では、貴方の挫折経験を教えて下さい」

「君は本当に黒崎一護かい?今の君からは霊圧を全く感じない。君は進化に失敗したのだ。私の与えた最後の機会を取りこぼしたのだ」

「なるほど、天塩にかけて育てた後輩が上手く成長してくれなかったんですね。では、貴方のチームにモチベーションが低い人がいたらどうしますか?」

「才能も無く、努力もせず、そのくせ与えられるものに不平を言って、 努力する人間の足しか引っ張れないような奴は、 目を瞑ってどっか隅っこに挟まって、口だけ開けて雨と埃だけ食って辛うじて生きてろ」

「手厳しい意見ですが、一理ありますね。では、貴方の尊敬する人や、憧れている人はいますか?」

「いい機会だ、一つ覚えておくといい、日番谷君。憧れは、理解から最も遠い感情だよ。」

「一理ありますね。では、意味の無いルールでも絶対に守らなくてはいけないと思いますか?」

「理とは理に縋らねば生きて行けぬ者の為にあるのだ。さあ、行こう。理の果てへ」

「なるほど、そういう考え方もありますね。では次は…」

「貴様!!!!さっきから聞いていれば!次から次へと訳の分からないことを!!!今までの面接ではまともに答えていたのだろう!!我々を騙していたのか!!!!」

「騙したつもりはないさ。ただ君達が誰一人理解していなかっただけだ。僕の本当の姿をね。君の知る藍染惣右介など最初から何処にも居はしない」

「貴様!!!!我々をここまで馬鹿にしよって!!これは儂のためでない!我が社の名誉のために怒っているのだ!!!我々への無礼を詫びろ!!」

「今の君は憎しみなど無くただ責任感のみで刃を振るっている。そんなものは私には届かない。憎しみ無き戦意は翼無き鷲だ そんなもので 何も護れはしない。無力な仲間の存在はただ 脚をへし折る為の重りにしかなりはしないのだ」

「金輪際内定など出すものか!!!今すぐこのビルから出ていけ!!!」

「さようなら、死神諸君。そしてさようなら、旅禍の少年。君は人間にしては実に見どころがあった」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ