若葉の記憶
風が木の葉を揺らし、髪をなびかせた。
僕らは斜陽が照らす交差点で、立ち止まって話していた。
一人、ここで帰路が別れる友がいるから。
信号が赤になり、青になり、黄になり、そして再び赤になった。
その繰り返し。
僕らは、日が暮れるまで、或いは日が暮れても、尽きない話題を語らいあった。
その日々は、もう遠い。
もうその場所に行くことはできない。
だがそれでも。
もう一度その場所に行き、また同じように語らうことはできるのだろうか。
あの日々をもう一度。
あの夕暮れを、あの風を、あの笑顔を。
またあの日々に、戻りたい。