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カノジョ(仮)32

作者: GTM

 人類が人型兵器で戦争をするようになって半世紀。

 月面軍と地球同盟軍の全面戦争。豪州での戦い第1ラウンド『アラフラ海を血に染めて』は、ナナミ君の地球同盟軍の勝利に終わった。

 ダーウィンの港でしばしの休息をとる宇宙巡洋艦アレックスコードと空母ギニア。海軍女子の一人、メガネっ子のユミ・カハシが・・・

 

「ナナミさん来ちゃった」

 メガネっ子は今年高校を卒業して海軍に入隊したそうだが、

「なんでうち(宇宙軍)の隊服着てるの?」

 というナナミの質問に、

「よくできてるでしょ。これコスプレ用で。たぶん生地がうすいと思う」

「ホントだ・・・」

「ナナミ―、こんなところで胸さわっちゃ・・・どこか二人になれるところで」

 格納庫の隅から、人型兵器スコルピオンXの足元に移動した。

 

 やや時間が経過して、

「ナナミ少尉見かけませんでしたか?」

 軍務に真剣に取り組むとかで気合いを入れるためポニーテールにした(本人談)ミナミちゃんが、整備主任のおじさんに聞いた。

「ミナミちゃんいっしょじゃなかったの。やつコクピットの中だよ」

 人型兵器用移動式タラップでハッチのところに上がった赤毛の少女は、

「中からロックされてる!整備のおじさん、強制的に開けっちゃって」

 スコルピオンX1号機の腹部のハッチが開くと、

「あっ!ナナミ―、ズボンは?下敷きになってるメガネっ子、片乳しまって。二人とも降りてきて」

 整備主任が、

「おまえら!神聖なコクピットで・・・」

 土下座させられたパンツ一丁のエースパイロットに、今まで生死を共にしてきたパートナーのミナミは、

「もうあきれてものが言えません!Gカップのあたしのどこが不満なの?」

「最近ミナミちゃん、やさしくしてくれないから」

「たしかに勤務シフトが変わってすれちがいが多くなったけど・・・で、このメガネは誰?あっ!メガネ、逃げた‼」

「実験機Xの股間になんかついてるよ」

 整備主任の声にナナミが、

「見るところ、時計からリード線が伸びて・・・アニメで見る時限爆弾ぽい」

「あの女!ガムテ(-プ)で爆弾を」

 本物の隊服がよく似合うミナミが、

「ナナミ―、取って!」


 爆発音。

 水柱(みずばしら)が上がった。


 宇宙巡洋艦アレックスコードのブリッジ。

「そちらのクルーでメガネっ子の・・・」

 最年少12歳の大佐、アメリア・ローゼンバーグ副長が、マチュピチュ級母艦ギニアに連絡をとって、

「スコルピオンX爆破計画は阻止しましたが、敵工作員と思われるユミ・カハシの逮捕拘束をお願いします。よろしく」 

 通信を切ると副長は、

「ナナミ少尉、女性問題もほどほどに。ミナミ二等兵、ナナミ少尉の管理のため、二人のシフトは同じにします」

 こうして、二人は軍公認のカップルとなった。

      

(おわり)                   


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