Whose Blue
●「大味」を通り越して、徹底的に振り切れた印象が。
【収録曲】
1.first death (Devils from Chainsaw edition)
2.Synchrome
3.誰我為
4.クジャクジャノマアムアイア
5.UN-APEX
6.orbit
7.GRANT
8.Scratch
9.Microwaver
10.musique
11.Whose World? Whose Blue?
12.ephemeral mist
ソロ名義としては約5年振りとなるオリジナルアルバム。2023年にリリースされたバンド名義のアルバムも「約5年振り」でしたし、5年の間にそれぞれの名義で交互にリリースしていく……という感じでしょうか。
前半の5曲においては、タイアップ曲を中心にして、メランコリックなメロディと音数の多い激しめなサウンドをこれでもかと聴かせてきます。『みんなのうた』に起用された『クジャクジャノマアムアイア』においても例外でなく、歌詞がどことなくコミカルな面を除けば、他の曲と作風にさほど変化はありません。
そして、6曲目以降は若干落ち着いた感じになり、「瞬間的な盛り上がり」よりも「全体を通した雰囲気」を重視したものが目立つように思えます。とはいえ、メロディに関しては前半と似た方向性で、あくまでも「地続き」といったところ。中でも、『orbit』はまさに「壮大」という言葉が似合う楽曲に仕上がっており、個人的には今作のベストトラックでした。
前作と比べてバリエーションを絞った感じで、ストリングスを多用していることもあって「大味」な面は否めないのですが、楽曲自体が徹底的に「振り切れている」こともあって、あまりそういう面を気にせずに聴くことができました。ボーカリストをゲストに迎えた楽曲や穏やかなインストバンバー、プロデューサーを招いたものを交ぜつつも、全体を通して分かりやすく芯の通った作品に仕上がっていると言えるでしょう。
評価:★★★★★