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第107話 うおおおおおおおおセックス中止作戦の開始だぁっ!

結論から書きます。頭がおかしいです。


 私、アリーシアはあのセックスモンスターズ(略してセクモン)にささやかな、そして凄惨な復讐を成すため本気と書いてマジと読むほど熟考していた。


「どうすれば奴等の性欲を亡き者に出来るのかしら……」


 しかし考えても考えても答えが出ない。

 何故ならサビターさんは女癖が酷く、性欲と暴力がまぐわいあって生まれたような性格をしており、私の胸を何の遠慮もなく常に見ていた。


 しかしそれは一才鳴りを潜めた。

 目玉が飛び出そうなくらい(実際に何回か飛び出してた)見ていた私の胸を今は一切見ていない。

 見ていたとしてもチラリと、一瞬見てすぐ興味を無くしてそっぽを向くのだ。

 別に無遠慮に見られなくなったのはいいけどなんだか何かに負けたような気がして腹が立つのはどうしてだろう。

 そしてそうなった原因、それはセアノサスさんの登場。

 彼女は好いた男と一緒になり、10年も性的な事を行なってこなかった彼女は今や飢えた野獣がご馳走にありついてるのも同然だからだ。

 同性の女性に対してこんな事を思うのは非常に忍びないけど本当のことだから仕方ない。


「せめて俺達の目と耳が届かない所でやってくれれば何の問題もないんだが」


 アルカンカスさんが頬杖をついて呟く。

 確かに節度を保って楽しく性交をしてくれる分には私達は何も言わないし良い事ではあるのだけれど、こうも見境なくされるとこちらとしても限度がある。

 現に私はアリーシア・ダムが崩壊して発狂しかけた。


「う〜ん一体どうすれば……」


 私は大して良い作戦が浮かばず、背もたれに思い切り背中を預けてのけぞるように椅子に座り込む。


「アリーシア、あまり年頃の女性がそういった、身体を強調する姿勢はするべきではないと思うぞ」

「貴方くらいですよ私にそう言うことを言ってくれるのは。タマリは私の胸をおもちゃにするしサビターさんは性欲ギンギンなオーラを向けてましたので……」

「それはちゃんと注意したほうがいいだろう」


 アルカンカスさんにごもっともな指摘を得た所で、私は完全に行き詰まっていた。

 果たして私達はこのまま奴等の性欲に付き合っていかなければならないのか……


「あーあ。おししょーがライラの時はこんなことならなかったのに」


 タマリはアルカンカスさんと同じように机に頬杖をついてぼやく。


「ああ〜確かにサビターさんライラさんの時は一回も襲わなかったわね……」

「なんかびやく?とか盛ってもおそってくれなかったんだって。やっぱりサビターはぼいんが大好きなんだね」

「確かに、あの人は身体のラインが出てる人が好きですからね……」


 サビターさんは猿一歩手前のような性欲の持ち主だが見た目が少女のような女性には絶対に手を出さなかった。

 人として当然と言えば当然の最低限度の常識やモラルは持ってはいるみたいだけれど、まさか媚薬を盛られても襲わないとはなんたる精神力か。一体何が彼をそこまで制しているのだろうか。

 私とセアノサスさんの身体を比べると、確かにあの人も女性らしいしなやかなくびれと、胸部と臀部など出る所は出ているものの、私の方が大きい。

 なのに何故サビターさんは私ではなく、セアノサスさんにご執心なのだろうか、そう考えていると急に羞恥心と嫌悪感が私を襲った。

 何故私はあんな人に女性として見られなくなった事を憂いているのだろうか……


「なんかアリー萎びてない?」

「そうか?俺には何も変わらないように見えるが」

「それにしても、おししょーがまた子供になる薬でも飲んでくれたらぎしぎしあんあんが聞こえなくなるのになぁ」


 タマリの何気ない言葉に私は「薬…?」と問いかける。


「うん、薬。おししょーね、今のぼいんぼいんの前にちっこくなってたでしょ?」

「ああ、ライラさんの時のことですね?」

「そーそー。あの時おししょー錬金術でつくった薬でようじょたいけいになってたんだって。しかもせいよくまじーんサビターンの性癖は大人の女性だし、ろりに手出すのはまずい!とか言ってぜったいにてを出さなかったから、あのときはまだしずかだったなぁ。またあの薬飲んでくれないかなぁ」

「流石にそれはないだろうな。彼女等は乱れた性生活だが、今が一番楽しい時を過ごしている。自分でそれを終わらすような真似はしないだろう」


 アルカンカスさんの諦観の入った言葉にタマリは「だよねー」と言って二人同時にため息を吐く。


「薬……錬金術……ロリ体型……性生活……」


 私は今の会話の中で、何か、奥底から何かが沸き上がりそうな感覚に襲われた。

 天啓が、下るような、閃きが私に舞い降りる寸前まで来ていた。


「…?アリー?どしたの?」

「アリーシアも疲れているんだ。今日の所はそっとしておいてやろう。なんなら精神を落ち着ける薬でも──……」

「これだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!」

「なっなんだ!?」

「えっなになになに」


 私は神様からの贈り物と錯覚しそうになったアイデアに対し、歓喜の雄叫びを上げ、椅子を思いきり膝裏で押して立ち上がった。


「うおおおおおおおおセックス中止作戦の開始だぁっ!」

「ほんとうになに?」

「アリーシア、お前最近おかしいぞ。まさか本当に気でも触れてしまったのか……?」


 タマリとアルカンカスさんが私に対し畏怖と気遣いの視線を送ってきたが、今の私は何も気にしない。


「私、思いつきました!サビターさんとセアノサスさんのセックスパラダイスを阻止する方法が!」

「そうか、アリーシア。それは俺達としても嬉しいがそのような卑猥な言葉を使うのは控えるんだ。みっともないから」


 アルカンカスさんの言葉にタマリはうんうんと首を縦にして頷きながら同調する。


「あっ、すみません私としたことが。興奮して先走り過ぎてしまいました」

「さきばしりて、アリーまだえっちなことばつかってる」

「タマリ、お前はもう黙ってろ」

「…あい」


 アルカンカスさんの少し怒りの混じった言葉に気圧されてタマリは唇を突き出して俯き気味に答えた。


「さて、アリーシア聞かせてくれ。君は一体何を考え付いたんだ?」

「ええ、これが成功すれば、必ず私達に平穏な日常が戻ってきます。まずですね……」


 私は思いついた作戦について、彼等に一つずつ話し始めた。




 

俺は一体何を書いているんだ……そしてこの女は何を言っているんだ……

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