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第10話 冒険に出かけよう!


 これまでのあらすじ。胸のでかい女の胸を揉んだら胸の小さい女のガキにタマタマを蹴られた。


「玉ァ蹴るのはナシだろ」

「いや揉んでいいと言われて揉む方がナシじゃろて」


 俺は未だ痛む股間を押さえながら言うが、蹴った本人は気にも留めていない。俺とライラは客用の座席に座りながら駄弁っていた。俺達4人は面接を終了すると直ぐにギルドハウスから飛び出し、スウィートディーラーへと戻った。今はこれから行う仕事内容を教えようとしていたところだった。


「んっ……」


 俺とライラが話している時に喘いでいる奴がいた。全く、俺の店はそう言ったいかがわしいサービスはしていないというのに、お灸を据えてやらねばならんな。


「おい、俺の許可なく喘ぐな」

「す、すみません……あんっ!」


 俺は後ろに突っ立っているアリーシアの両胸を揉みながら注意をした。ライラは何故か顔を赤くしながら今にも襲い掛かりそうだった。


「お、お主ワシが言ったことを聞いてなかったのか!?何故またそやつの胸を揉んでいるのだ!?」

「なんだそんなことか。セクハラされることもこいつの仕事の内だ。それに本人も良いって言ってんだから良いだろ」

「良いわけないじゃろが!?」


 本人達が良いって言ってんのにピーチクパーチクうるせえガキだ、と俺が憂鬱な思いを抱いていると、乳デカ女と一緒についてきたガキが俺の元に近づき、ジッと俺を見ながら


「おじさん、僕達はこれから何をすれば良いの?」


 僕、という事はコイツは男か。俺は銀髪のショートボブのガキを見据える。


「お前、名前は?」

「タマリ」

「タマリ、これから俺達はこの国を裏から支配する。そのために必要な商品を作りたいんだ。それが何か分かるかな?」

「うーん、ここはお菓子屋さんだから……お菓子?」


 タマリが答えると俺は「チッチッチッ」と人差し指を左右に振りながら残念そうに顔を下げる。


「ウッザい演技じゃ。殴りたくなってきたわ」

「菓子屋なんてのはただの表向き。本当の裏の姿は……」


 俺は皆まで言わず、手のひらになった空の瓶を見せた。


「それは…ポーションの瓶ですか?」


 アリーシアがタマリの代わりに答える。俺は「その通り」と言って彼女の胸をペチペチ軽く叩く。彼女は身悶えしながら「あまり叩くのは……」とモニョモニョ言っていたが気にしない。


「だがただの傷や病を癒す為のポーションじゃない。嗅げば飛んで、飲めば天国の嗜好品のポーションだ。俺達はそれを大量に作り、捌き、大金を手に入れる」

「しかしな、それを作るための材料がちと不足しておるのじゃ。なので我々は今日材料集めをする。なにか質問はあるかの?」


 ライラが俺の代わりに言うと、アリーシアとタマリはポカンとしながらも、先にアリーシアがおずおずと手を上げる。


「あの、それって犯罪なのでは?」

「そうだが?何か文句でも?」

「ありますよ!立派な犯罪じゃないですか!もう悪事に手を染めたくはないですよ!」

「おいおい、ここまで来て何言ってんだお前。ここ入る時に何でもするって言ったじゃねぇか」


 俺がそう反論するとアリーシアは自分が言った言葉を思い出し、口を噤んだ。いや、今何かこの女違和感のある言葉を使わなかったか?『もう』っていうのはどういう意味だ?


「腹を括れぃアリーシアよ!ワシ達が協力してポーションを作って捌けば一億二億三億と大金を稼ぐ事ができるのじゃぞ!」

「い、一億?二億……?」


 金の話になった途端、アリーシアはピクリと耳を立て、表情が真剣になった。


「……わ、分かりました。やります。私やります。私、お金が必要だもの……」


 アリーシアは意を決した顔でキリッとした雰囲気になる。


「ま、お前見たところ訳ありなんだろ?」

「はい……」

「詳しくは聞かねぇよ。誰にだって恥ずかしい秘密の一つや二つある。俺の手と足と胸とケツになるなら良いってことだ」

「ありがとうございま……え?胸とケツってなんですか?」

「さぁーて諸君。材料採取のお時間だ。ウィルヒル王国の外へ繰り出そう!」


 俺はアリーシアに最後まで言わせず、選手宣誓を掲げるかのように高らかに言った。


「よぅし皆の者、しゅっぱぁ〜つじゃ!」


 ライラも俺に続けて言う。


「しゅっぱーつ!」


 タマリもライラに合わせるように言い、俺達はアリーシアを見る。


「しゅ……しゅっぱぁ〜つ……」


 アリーシアは恥ずかしそうに、目を伏せながら右腕を弱々しく上げて言った。


「ギャアーハッハッハッ!行くぞお前ら!」


 俺は高笑いしながらライラ、タマリ、アリーシアを引き連れて王国の外に出た。具体的に何を持ち帰ればいいのかも知らずに。




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