動揺と状況
「「え?」」
どういうこと?なぜ今出ていこうとしている扉の向こうが光っているんだ。誰か説明してもらえると助かるのだが。
風斗と顔を見合わせ、十秒ほど絶句する。
「あーっと・・・夢かな?」
と風斗が言葉を絞り出す。
とりあえずほっぺをつねったら痛かったので、「夢じゃない、、ね。これ。」と言う。
その瞬間、風斗が叫んだ。
「どおぉぉぉしよ!まじでどーすればいいの!?何が正解?こんな事になったらこうしろとか何も言われてないんだけど!」
「風斗おおお落ち着け。つーか餅つけ。そりゃあ教わってねーよ、こんなん教わってたらすげーわ!」
「お前も落ち着けてねーじゃん!」
それから十分ぐらい経ってから、「よし!とりあえず状況整理しよ!」と風斗が提案する。
「状況!ドアの向こうが光ってる。」
「廊下に面してる窓も全部光ってるね。」
「外に面してる窓は光ってない。」
「外の景色も変わってないね。」
「楠原は、どうすればいいと思う?」
「うーん、、、帰るにはドアから帰るしかないんだよね。外に面している窓からは、ここ4階だし出れない。でも、、」
「、、ドアからはなんかやな感じがする、、と。」
そうなのだ。ドアからは金色の美しい光が漏れ出しているのだが、なんというか禍々しいオーラも放たれていて、どうしても通る気が失せる。
「ヘイ楠原、こんな状況でするべきこと。」
「うーん、、、」
ふと、前読んだ小説の内容が思い浮かんだ。確か、死んで異世界転生したーみたいな内容だった気がする。でも、私達死んでないし、こんなときは異世界転移があってるのかな?
「とりあえず通ってみる?異世界転移〜とかするかもしれないし(笑)」
そう言った瞬間、風斗が凍りつく。
「?どうしたの風斗?」
「、、、いや、なんでもない。でも、通るんだったらしっかり準備して行こうぜ。なんか怖いし。」
なぜ凍りついたのか疑問に思いつつも、せやな。と相づちを打つ。
さて、何を持っていこうか。