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勇者の称号を剥奪された体力バカ~「超回復:体力」を魔力とステータスに変換して無双します~  作者: 信仙夜祭


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第59話 救援

「青年! こっちだ!」


 声の方を向く。チョウホウであった。

 封神巻子装と同じだ。輪の様な物が、空間を区切りその先を別な空間に繁げている。


「チョウホウ! 来てくれたのですね!」


「うむ。挨拶は後回しだ。急げ!」


 僕は、チョウホウの作り出した空間に逃げ込んだ。





「ここは、何処になりますか?」


「そなたには、竜人領の王都と言えば伝わるだろうか? 我々を収める竜王様のお膝元だ」


 窓から周囲を見渡す。

 とても高い建物。美しい街並み。

 イルゼのいた街もまた見事であったが、この街は一段上と言った感じだ。


「助けてくれたのですね。それも人族の僕をこの街に入れる禁忌まで犯して」


「……ダンジョンに異変を感じてな。遠視をすると、青年と今問題になっている魔物が見えた。

 推測するに、ダンジョンに閉じ込めようとしたのか?」


「今イルゼが、何か有効な魔導具を作ってくれています。

 そのための時間稼ぎですね。まあ、あの怪物が、目を離した隙にスピードを上げたので、思ったほど時間は稼げませんでしたが」


「怪物か……。大体の事情は掴めた。だが、ダンジョンに押し込めたのは間違いだったかもしれない」


「何か問題が起きていますか?」


「今は、ダンジョンの時間を操作して、『遅く』している。我々の一日が、ダンジョン内では一時間くらいだ。

 観察しているのだが、衰える気配はない。それと、あのダンジョンには最奥にフロアボスが生息している。怪物が、フロアボスを倒して出て来るのは、時間の問題だろう」


 時間を遅くしたのか。僕とは反対の考え方だな。

 だけど、イルゼの推測からすると、ロベルトの寿命は尽きている可能性がある。

 イルゼとチョウホウの考えが正しいかもしれない。


「僕も空間魔法が使えますが、入り口から出ることは出来ませんでした。

 ダンジョンを立ち入り禁止にすれば、多少の時間は稼げませんか?」


「あの怪物は、今はダンジョンの最下層を目指している。全ての道を埋め尽くすように進んでおり、もうじき到達するだろう。時間はそうだな……、後二十時間といったところだろう」


「ダンジョン内の魔物は、どうなっていますか?」


「倒されているが、捕食はされていない。アンデットのダンジョンで良かったと思えるよ」


「……あの怪物に捕食の上限は、あると思いますか?

 無限に捕食し続けるのであれば、どんな魔物でもパンクすると思うのですが」


「その議論はしたよ。だが、際限なく取り込んでいる。多分だが上限はない」


 ダメだな。突破口が思いつかない。

 その後、竜王様とネーナに連絡を入れると言うことでチョウホウが建物から出て行った。

 僕は建物から出なければ、何をしていても良いと言われたので、本を探したのだが、文字が読めなかったので諦めた。

 会話は出来たので少し期待したのだが。まあ、当たり前か。竜人と人類で共通の言語を使用しなければならない理由などない。

 窓辺で街を眺めて見つかる愚行も起こせない。することがなかったので、仮眠を取ることにした。


「昨日から寝てばかりだ。一定のリズムで生活したいよ……」


 本音がこぼれた。





 どれくらい寝ていたのだろう? ゆすられて起こされた。

 眼を開けると、槍を突き付けられていた。槍を持つ兵士を見ると怯えている。

 チョウホウが話し始めた。


「青年、いやビットと言ったな。すまぬが一緒に来てくれ……」


「良いですけど、どうゆう状況ですか?」


「竜王様がお会いになりたいそうだ」


 面倒な展開だな。


「ネーナとイルゼの同行を求めたいところですね。僕は平民なので作法が分からないのです」


「いや、竜王様は、ビットに会いたいのだそうだ。作法は気にしなくて良い。

 緊急事態ゆえ誰も咎めたりはしない」


 まあ、行くしかないな。


「分かりました。連れて行ってください」


 とりあえず、縛られるようなことはされなかったが、槍の穂先を向けられたまま、馬車のような物に乗り込んだ。

 乗り物の周りを兵士達が囲む。

 そして、竜王様の元に向かった。


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