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勇者の称号を剥奪された体力バカ~「超回復:体力」を魔力とステータスに変換して無双します~  作者: 信仙夜祭


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第57話 対策3

 さて、どうしようか……。

 チョウホウは参戦出来ず、封神巻子装は魔力が足らない。

 イルゼの魔導具に期待したいが、完成までには時間がかりそうだ。


 僕は、コートを着て浮かんだ。上空より怪物の方を見る。

 土煙が上がっており、場所は簡単に分かった。

 そして、思った。


「ここに向かって来ている?」


 どう考えても方向転換していた。

 始めは竜人領の奥地に向かっていたのだが、今は方向転換してこちらに向かって来ている。

 ここで思う。


「先ほど、【闘気】を使ったので、僕に反応した?」


 ネーナは、僕が餌になると言った。当たっているのかもしれない。

 そうなると、僕がここにいるのは危ないな。移動しよう。


「コウコン。怪物がここに向かって来ています。

 僕はダンジョンで迎え討つとネーナに伝えてください」


「うむ、承知した。して、何か考えが浮かんだか?」


「僕の生命力を使っておびき寄せてみます。ダンジョンと封神巻子装を上手く使えば足止め出来るかもしれません。成功するかどうかは分かりませんけど」


「……若者に命を掛けさせることに謝罪させて欲しい。

 だが、そなた達に頼るしかないのも事実だ。よろしく頼む」


 コウコンは頭を下げて来た。

 共通の脅威がいるので、一時的に手を取り合っているだけかもしれないが、共闘は出来るのだ。

 成功したら、交流を深めてみたいと思う。

 この世界についても、まだまだ聞きたいことは山ほどあるのだ。


 こうして、僕はダンジョンに向かった。





 上空より、教えて貰った場所を捜索していた。


「これかな?」


 ダンジョンは、イルゼのいた場所からそう遠くない場所にあったようだ。

 また入口は、洞窟ではないな。

 幅数キロメートルの地割れと言った感じだ。これは都合が良い。もしかしたら、ダンジョンに押し込められるかもしれない。

 地面に降り立ち、とりあえず石を落としてみる。

 数分経っても音が返って来なかった……。深いなんてもんじゃないな。


「失敗した。竜人達にダンジョンの特徴を聞いておくべきだった」


 どうしようか。一度降りてみるか?

 だけど、戻って来れないダンジョンだった場合は、致命的である。

 どうしようもなく手詰まりの状態……。もう、博打というかぶっつけ本番しかないかな……。

 とりあえず、【闘気】を魔力に変換して最大値まで溜めることにした。

 これで、怪物が僕の生命力を狙っているのであれば、ここに来るであろう。

 遠くを見るが、まだ土煙ははるか彼方である。


 とりあえず、することもなくなったので、僕はヒルデさんの冒険譚を思い出していた。

 冒険譚は、全部で五話だ。

 一話目は、触れない魔物をダンジョンに押し込めた話。今回の怪物が近い。

 二話目は、一度入ると抜け出せないダンジョンの話。人類領にもダンジョンがあったので注意喚起だったのだと思う。

 三話目は、砂と氷の大地の話。生命を拒む土地があると言っていた。

 四話目は、海の魔物退治の話。山よりも大きい魔物を陸上に引き上げて焼いて食べたと言っていた。

 五話目は、魔人族と他種族……。多分、エルフとの戦争の話。世界を旅するのであれば、エルフ族と出会うこともあるだろう。


 今後役に立つのかもしれない。忘れないでおこう。

 そして、少し疲れたので、仮眠を取ることにした。

 睡眠時間の拘束……。僕は、一定のリズムで生活しなければならない。

 戦争への参加などは、自殺行為である。探索者は無理だったし、狩猟生活なども向いていないのだろうな。農業なんかは良いかもしれない。

 結局のところは、開拓村の生活が一番合っていたのかもしれない。

 今度は、竜人領と人類領を繋ぐ配達人になってみるかな。

 そういえば、【念話】は思ったほど使えなかったと聞いた。長文を送れなかったのだ。まあ、スキルを持っている人の熟練度が上がることを期待しよう。


 そんなことを考えながら、意識を沈めた。





 ……どれくらいの時間が過ぎたかは、分からない。だけど、目が覚めた。

 周りは明るいので、一~二時間程度と思われる。

 目の前には、ダンジョンがあり、そして、怪物が迫っていた!?

 さっきまでの歩く速度ではない。気を抜いた短時間で、状況は目まぐるしく変わっていた。

 まず、自分の状況を確認する。

 篭手に溜めた魔力は残っている。封神巻子装は問題なく起動出来そうである。


 立ち上がり、棍棒を背中から抜いて構えた。

 最悪の想定をすると、目の前のダンジョンを飛び越えて僕に襲い掛かって来る可能性がある。

 それだけは避けたい。

 僕の飛べるコートはスピードが出ないので、回避は不可能だろう。

 そして、これが最初で最後のチャンスでもある。


「ふぅ~、これしかないか……」


 怪物が、目の前に現れた。

 視認出来たのを確認して、僕はダンジョンに飛び込んだ。


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