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勇者の称号を剥奪された体力バカ~「超回復:体力」を魔力とステータスに変換して無双します~  作者: 信仙夜祭


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第54話 怪物3

「青年! 来てくれたのか!」


 考えている時に、不意に声を掛けられた。

 声の方向を見る。兜に羽根が付いている。竜人達の顔の違いは分からないのだが、この竜人だけは見覚えがある。


「カンエイですよね? 久々だ」


「うむ。覚えていてくれたか。まあ、また来ると言われた時は、少々驚いたがな。

 いや、今はその話ではない。それよりもあの魔物の話がしたい」


「何処かで座って話せる場所はありますか?」


「着いて来てくれ」


 そう言うと、カンエイは鳥を方向転換させた。ネーナもそれに続いて鳥を旋回させる。

 ネーナは器用だとは思わないが、一日足らずで鳥の操作を覚えているのか。

 これならば、僕でも乗れそうだ。後で、聞いてみよう。





 怪物の進行方向から外れた場所に降り立った。

 関所ではなくて、監視所に近い建物だ。小さいが高い。


「まず、聞きたいのだが、あの魔物に覚えはあるのか?」


「これからは、あの魔物を怪物と呼びます。

 僕達の開拓村時代のリーダーにスキル〈超回復:負傷〉を持った人物がいました。

 先ほど、魔力の流れを見たのですが、その者を取り込んでいるみたいです。

 それと、エネルギー源ですが、〈賢者の石〉です。竜人達は聞いたことはありませんか?」


 重要な事だけを、端的に話す。


「……やはり、そなた達が開発したスキルなる物が関係していたか。

 それと、〈賢者の石〉は、聞いたことあるが、伝説上の物だ。神話や幻想の物語に出て来る物だぞ?」


 竜人達の状況が、なんとなく掴めて来た。

 スキルも〈賢者の石〉も知らないのであれば、あの怪物は理解出来ないだろう。


「まず、我々が行ったことを説明するところから始めさせて貰いたい」


 今度は、カンエイからの情報か。

 僕は、頷いた。


「お願いします」


「数十日前になるが、他の魔物を取り込んでいる大脚竜を見つけたのが始まりだ。

 そして、その捕食方法なのだが、足で踏み潰して足裏から肉を取り込んでいた。

 その異様な行動に恐怖を覚えて、処分しようとした」


 ここまでは、インコウとチョウホウの話と同じだ。


「捕食と言うのは、普通は口からではありませんか? 竜人領には足からと言うか、皮膚から吸収する魔物はいますか?」


「いや、我々も初めて見る。

 だが、記録はある。スライムなる生物が、全身から物質を吸収するのだそうだ。

 スライムは、千年前に魔人族と共に召喚されたのだが、現在生き残っているかさえ分からない存在だ」


 なるほど、スライムね。見たことあります。

 そうなると、かなりまずいな。


「仮にの話ですが、捕食した魔物の能力を取得出来るのであれば、お手上げですね。

 無限に成長し続けると思います。それこそ、この大地にある全ての命を吸収するまで。

 そうなると、殺害方法はないと思います。閉じ込めるか、封印が妥当かな?」


「ビットには、その方法がありまして?」


「僕には、正直ないかな。でも、方法は知っているよ」


「教えてくれ!」


「まず、ダンジョンに押し込めます。その後、あの巨体が出れない出口に層を改造して、さらに層の時間を加速させます。

 ダンジョンマスターであるチョウホウなら可能なはずです」


 ヒルデさんの冒険譚からの引用だ。

 空間魔法を使用した封印方法を話してくれていた。多分だが、今回の件を事前に教えてくれていたのだろう。

 そうなると他の冒険譚も、これから起こるのかもしれないな。

 忘れないように、メモを取っておいた方が良いかもしれない。


「なぜそこまで詳しいのだ?」


 おっと、会話中に余計な思考をしてしまった。


「僕の師匠が、空間魔導師だったので、色々と教えて貰いました。

 過去にも同様のケースがあったそうです」


 ネーナとカンエイが頷いた。


「実績があるのですね。良いですわ。それで行きましょう」


「近くにあるダンジョンの場所を教えてください」


 カンエイが地図を広げた。

 ダンジョン位置を地図上で教えて貰う。

 一番近いのは、竜人領を進む方向であった。ちなみに、僕が寝ていたシスイ関前は、ちょっと距離があるかな。


「あの怪物のスピードと距離から、何日くらい掛かるか計算出来ますか?」


「……真っすぐ進んでくれるのであれば、三日程度だろう。

 そうなると、方向をどうやって誘導するかだな」


「……餌を目の前にぶら下げるのが、良いと思われるのですわ」


「餌? あの怪物の方向を変えられる方法があるの?」


「生命力に反応するのだわ。それで、ビットを連れてこようと思ったのですわ」


 え? 餌って僕のこと?


「……方向は、まあ誘導してみます。

 それともう一つ、ロベルトの件です。あの魔物がロベルトを取り込んだのか、ロベルトが操っているのかは分かりませんが、〈超回復:負傷〉と〈賢者の石〉の組み合わせは最悪と言えます」


「先ほど〈再生〉と言わなかったかしら?」


「僕の〈超回復:体力〉は、成人の儀の時の状態に戻すスキルなんだ。ロベルトとイルゼも同じだと思う。老化しないと言えば伝わるかな?」


「〈負傷〉が進化して〈再生〉と言うことかしら?」


「元の形に戻れない時点で暴走していると思う。進化と言えば、進化だけど、悪い方向の進化だね」


 チョウホウは黙ってしまった。スキルは分からないのだろう。


「ビットは、ロベルトを助ける気なのかしら?」


「いや、助けるのは無理だと思う。今の状況はロベルトよりも、世界の危機って感じがする。

 でも、なぜあのようになったのかだけは、調べておいた方が良いと思う」


「ダンジョンで拘束してから、調べたいと言うことかしら?」


 頷いて、ネーナの言葉に肯定した。


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