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勇者の称号を剥奪された体力バカ~「超回復:体力」を魔力とステータスに変換して無双します~  作者: 信仙夜祭


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第52話 怪物1

 久々のマラソンだ。

 風が気持ち良い。それと見慣れない光景にも興味を惹かれた。

 まあ、今は急ぎたいので風景を楽しむ時間はない。


 かなり遠くで粉塵が舞っている。とにかくあそこを目指すため、横目で見ながら竜人領を進んだ。

 抉られた地面が、道を作っているので迷うことはない。

 しかし、どんな生物が通れば 地面を抉るような道が出来るのであろうか?

 酸をばらまいている? 地面を食べている? 抉りながら進んでいる?

 色々と思考を重ねながら、進んで行った。


 まだかなり遠いが、目的の魔物(?)が見えて来た。

 かなり大きいことだけは分かる。


「なんだあれは、本当に生物なのか?」


 独り言が出た。

 多分、長高は数百メートルあると思われる。アルゼンチノサウルスが小さく見えるくらいだ。

 戦闘しているのだろうか? 爆発も見える。

 これは、急いだ方が良いかもしれない。

 多分だが、あそこにネーナがいるはずだ。


 竜人領の集落が見えて来た。

 街であったのだろうか? 半分ほどが跡形もなく、消し飛んでいる。兵士と思われる竜人の亡骸も放置されていた。

 ただし、民間人と思われる人影は見えなかった。武装した人のみだ。

 街は放棄されたのだと思われる。

 街であった場所を調査したいが、足を止めずに進むことにした。今は追い付くことが最優先だ。

 多分、竜人領の関所も100キロメートル間隔で建てられていると思う。体感的にだが。

 そして、今僕は半分の距離を稼いでいた。

 時間はそれほど経っていない。スピード特化の最高速度なのだ。関所間を移動していた時とは、スピードが違う。

 まだ太陽も真上に差し掛かってはいなかった。

 僕の最高速度で走っているのだが、進むにつれて嫌な予感が増して行く。


「……あれは何なのだろうか? そして、僕が倒せるのだろうか?」


 生命力の塊……。そんな感じがする。





 視認出来る距離まで来た。とにかく大きい。もはや、山である。

 形は不定形としか言いようがない。スライムとも言えるが、肉の塊の山……。そうとしか言えない。

 竜人達は、飛翔生物に乗っており魔法を撃ち続けていた。方向を誘導しているのだろう。

 魔物の通った跡は、途中からカーブしていた。戦闘の形跡から大雑把に経緯が推測出来る。

 そして、幸いな点は、魔物のスピードがとても遅いことだ。

 動いてはいるが、ほとんど進んでいない。日に数キロメートルと言ったところだろう。


 近くにネーナがいると思われるが、まず僕の到着を知らせた方が速いな。



 ステータス変更:マインド特化



 火魔法:炸裂焔弾



 魔法特化型にして、得意の焔を生み出す。

 放たれた魔法は、魔物に当たると炸裂して、焔をまき散らした。

 そして、僕の生み出す焔は、生命力が続く限り消えない。数秒の後に燃え広がり、大量の黒煙が上がった。


 それを見た竜人達の飛行部隊が離れて行く。

 誰が指揮を執っているのかは分からないが、良い判断だと思う。

 そして大きな鳥が、一羽向かって来た。


「ビット! 遅いのだわ!!」


 ネーナが鳥に乗っている。ネーナは此処にいたか。予想通りである。

 ネーナと合流したいが、降りて来て貰うのはリスクがあるな。飛び散っている焔が当たらないとも限らない。

 仕方ないか。あまり得意ではないが、ここは空間魔法を使う。


 僕は瞬間移動で、ネーナの頭上に移動した。

 瞬間移動って酔うんだよな。そして、座標指定を間違えると、その場所を破壊してしまうし。

 ヒルデさんは上手かったけど、僕には苦手な魔法だ。





「ネーナ。現状を教えて。昨日寝てからの記憶がないんだ」


「ま~ったく、寝坊助だこと。まあ、良いですわ。

 王都に〈ロンギヌスの槍〉を取りに行って、竜人領に来ましたの。そして、あの魔物に投擲したのだけど、効かなかっただわ」


「……スキル無効は効果がなかったってこと?」


「う~ん。ちょっと違いますわね。槍が当たった部分は、活動が止まりましたの。でも、深くは刺さらずに、急所まで届かなかったのですわ」


「ネーナが投擲したのだよね? それで貫けなかった?」


「そうなりますわね。体の半分くらいまでしか刺さりませんでした。それで、山を吹き飛ばすくらいの威力が必要と判断しましたのよ」


 そんなの僕にも無理だぞ?


「イルゼは、今何処にいるの?」


「竜人領で魔道具を作成していますわ。第二案を実行中ですのよ」


 ……イルゼは、受け入れて貰えたのか。僕は追い返されたと言うのに。まあ、今は非常事態である。

 後で、竜人領を案内して貰おう。


「僕は、森が破壊されたと思われる場所で寝ていたのだけど、昨晩は何があったの?」


「第一案が失敗したので、第二案を実施することになった時に、インコウがビットを連れて来て欲しいと言い出して……。私が、簀巻きにして運んで来たのだわ」


「まあ、それは良いのだけど。なんでシスイ関前だったの? 結構危ない魔物とかいたのに」


「……気が付いた時には、落としていたのだわ」


「はい?」


 話を聞くと、鳥の魔物の移動と迷宮(ダンジョン)間移動で、僕を竜人領に連れて来たらしい。そして、運んでいる最中に落としていた……と。夜中だったので、飛行中のどの時点で落としたかが分からず、探すことはしなかったらしい。

 朝日が昇れば、自力で来るだろうと、ネーナが判断したと白状させた。

 僕が人類領に帰っていた場合は、どうしたのだろうか?


「まあ、いいや。それで、あの魔物について分かっていることを教えて」


「ロベルトが関係していることだけは、確かですわね。でも、触れないし止められないので、足止めしか出来ていないのが現状なのだわ」


 ロベルト? ありえるのか? 

 そうなると、僕達のスキルを魔物が取り込んだという仮説が当たっていそうだ。

 イルゼの魔道具の完成まで、足止めしなければならなさそうだな。

 魔物を見る。

 僕の焔で燃えた部分を切り離している。外部からの攻撃では効果が薄そうだ。

 次は、内部破壊の魔法を撃ってみるか。


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