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勇者の称号を剥奪された体力バカ~「超回復:体力」を魔力とステータスに変換して無双します~  作者: 信仙夜祭


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第25話 魔境4

 バジリスクは、やはり状態異常系の【闘気】を放って来た。ヒルデさんに【闘気】を使用した〈魔眼〉について聞いていなければ、危なかったかもしれない。最悪、拘束されていただろう。

 僕は、バジリスクの攻撃を躱して、眼を潰した後に脚を棍棒で打ち据えた。バジリスクは、脚が折れて行動不能になったと思われる。そうすると、今度は取り囲んでいた魔物が襲って来た。

 一匹一匹が結構強く、数百匹いると思われる。


「邪魔だ!」


 僕はヒルデさんに貰った『魔法が使える篭手』に【闘気】を流し込み、火魔法を発現させる。

 この篭手は後で名前を考えておこうかな。



 火魔法:焔纏



 今はスピード特化の上に魔法の同時使用となり、体力が急激に減って行く。

 でもここまでしないと、この森林を短時間で駆け抜けることは出来ないだろう。


 魔物は、僕に触れると焔に襲われた。その焔は僕が解除するまで消えることはない。

 次々に燃え広がる焔で、森林火災が起き始めた。

 僕は気にも留めずに、とにかく棍棒を振るう。進行方向にいる魔物の脚をとにかく払って行った。


「抜けた!」


 回避と棍棒による攻撃で、魔物を撃退しつつ、ついに僕はシスイ関前の森林を抜けることが出来た。

 一対一であれば、問題のない魔物であるが、数の暴力は脅威だ。

 それに、僕の【闘気】による防御もを貫いて来る攻撃も来ていたのだ。

 多少のダメージはある。服は結構破けており、出血もあるが、ここで止まると、また囲まれる。

 とにかく、最速のスピードでその場を後にした。


 僕の最速での移動は、魔物を寄せ付けなかった。森林を抜けた後は、無駄な戦闘は起きなかったのだ。

 だが、日が落ちると、方向が分からなくなる。


 空が暗くなると、休憩を取るしかなかった。もどかしい。

 焦る気持ちを抑えて、回復のため睡眠をとる。もちろん〈空間固定〉により、就寝中の襲撃対策も万全である。

 軽く負傷していたので、手当ても行う。


 後ろを振り返ると、追って来る魔物はいなかった。

 魔物を操る竜人はどこにいるのだろうか? いや、竜人と決めつけるのは早計か。





 目が覚めた。太陽は出始めた位置にあり、周囲はまだ薄暗い。寝過ごしてはいないのだろう。

 体中の骨をポキポキと鳴らす。さて、日の出と共に再出発だ。

 僕はまた走り始めた。


 川が見えて来た。ワニの大群に襲われた川だ。多分、全行程の半分を踏破したことになるだろう。まあ、正確な距離は分からないけど。

 前回は飛んだが、今回はこのまま行く。

 僕は水面を走って渡った。

 まあ簡単な話だ。足が水中に沈む前にもう片方の足を水面に着ければ良いだけだし。

 ただし、途中で襲われると止まるしかない。その場合は、川を凍らせるかな。

 そんなことを考えていたが、問題なく渡ることが出来た。ちなみに、ワニもいたが僕に襲って来ることはなかった。


 この川を境にして魔物の強さは大きく変わる。

 ここから先は、僕にとって雑魚の群れだ。開拓村を襲った大蛇レベルであれば瞬殺出来る。僕の【闘気】による防御を突破出来る魔物もいない。

 油断はする気はないが、少し安心してしまった。

 その時だった。一瞬、影に覆われた。


 上空から襲われたのだ。

 外見は(カラス)だが、大きい。羽を広げれば20メートルはあるであろう。羽の色は真っ黒だ。

 今僕は、後ろ足で拘束されて飛んでいる。そして、明後日の方向に運ばれている。

 まずい……。あの骨の道から外れると開拓村に帰れる保証がなくなる。



 ステータス変更:ストレングス特化



「うおぉ~~!」


 無理やり鴉の後ろ足を広げて拘束を解く。そのまま地上に落ちようとすると、今度は嘴が襲って来た。

 僕は、ヒルデさんから貰った飛べるコートを持っているが今は着ていない。【闘気】による翼の生成により飛ぶことも出来るが、多少の時間がかかる。つまるところ、今の状態では、自由落下しか出来なかった。

 そして、そのまま食べられる……。


「気持ち悪い」


 僕は鴉の喉の中で棍棒を突き刺して止まっていた。

 一息ついて、右手に【闘気】を集める。掌を開いて、肘から先が刃物になったイメージを持つ。

 横薙ぎに一閃すると、鴉の頭が胴体から離れた。


 そのまま、鴉の喉から外に出る。


「まずい、目印が何もない」


 鴉は、短時間で結構移動していたみたいだ。今は上空にいるが、川すら確認出来ない。

 僕はヒルデさんに貰ったコートを〈空間収納〉から取り出した。

 コートを着て、魔力を送る。今も飛翔しているがさらに高度を取った。


 今日は、雲一つない良い天気だ。どんどん高度を上げると、今度は頭がクラクラしてきた。

 これ以上は危ないかもしれない。その場で停止し、地上を見た。


「知らなかった……」


 この世界の形を見た。

 王城の後ろには、海があることは知っていた。半島の先端に王城があるため、人類が開拓する方向は決まっていたのは知っていたのだが……。

 その先は、広大な土地が広がっていた。

 人類領が、いかに小さいかが理解出来た。


 竜人達に会ったのは、間違いだったかもしれない。

 山を登れば見れると思った風景だったが、ヒルデさんに貰ったコートを使用するだけで見れたのだ。

 いや、魔物に飛ばされてからの飛翔だったのでこの高度まで到達出来たのだ。地上から飛んだのであれば、もっと低い位置で落下が始まっていたか。


 こんな広大な土地に数えきれない魔物が生息しており、それを操れる竜人に喧嘩を売ってしまった。

 今後、防衛戦になるのであれば、僕に勝ち目はないだろう。


 余計な思考が過ったが、落下中に川を見つけて、僕が作った骨の道も視界に入った。


 今はとにかく急いで帰ろう。ネーナの安全が確認出来てから次を考ることにしよう。

 僕は、地上に降りると、再度、開拓村に向かって走り出した。


 補足

 地図について

 イタリア半島を想像して書いています。

 王城:レッチェ

 開拓村:フィレンチェ

 魔境の川:ポー川

 シスイ関:ミラノの北くらい

 ビットが目指した山:アルプス山脈のスイス方向

 GoogleMap見ながら書いていますが、レッチェからフィレンチェまでをジグザクに移動して700kmとしています。

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