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勇者の称号を剥奪された体力バカ~「超回復:体力」を魔力とステータスに変換して無双します~  作者: 信仙夜祭


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第12話 ネーナとの再会1

 少し離れた所で、開拓村を観察することにした。

 途中で、魔物に襲われるハプニングに襲われたが、サクッと倒して食料になって貰う。

 次の日に、ロベルトとイルゼが、僕と三人を連れてダンジョンに向かって歩き始めた。

 こうなると、ヒルデさんは、僕が異世界転移する前日に戻してくれたのだろう。


 ここで思案する。前日に戻ってきた意味だ。

 昔の僕のダンジョン行きを阻止する? そうすると、ヒルデさんと会えなくなる。

 そうなると、ダンジョンから出て来た、ロベルトとイルゼに仕返しかな? 再起不能まで追い込んでみるか?

 【闘気】が使えるようになった今の僕であれば、二人を圧倒することなど容易だろう。


 色々と思考を重ねていると、僕達一行がダンジョンに入って行く……。

 この時点で、僕は何もしなかった。


 そして、日暮れ頃にロベルトとイルゼが出て来た。二人だけだ。三人の同行者も始末したのだろう。

 血液が沸騰するくらいの怒りを覚える。


 色々と考えたが、ロベルトとイルゼには何もしないことを選んだ。報復などしても無意味だ。

 そして僕は、開拓村に『新しく貴族の依頼を受けた者』だと言って住まわせて貰うことにした。

 一応、スキルは〈怪力〉として大岩を持ち上げて、大木を引っこ抜いて見せた。

 これだけで、身元確認もせずに受け入れて貰えたのだ。


 今の開拓村は、工期が大幅に遅れて困っているのである。

 パワー系と偽った僕は、すんなりと受け入れられた。


 ちなみに誰も僕をビットだとは言わなかった。背も体格も四年の研鑽で大きく変わっていたのである。

 似ているかもしれないが、誰も気が付かなかったらしい。


 そして、次の日にビットを含めた四人が消えたと、開拓村に知らせが入り、捜索隊が組まれた。

 捜索隊は、ロベルトとイルゼが隊長を務め、七日間行われたが、結局打ち切りとなる。事実を知っている僕からすれば茶番も良いとこだ。

 一応、葬式を行なって貰い、死体のない墓も作って貰った……。

 自分の墓に手を合わせる。少し、複雑な心境となった。





 開拓村に戻って来て二十日が経過した。僕の主な仕事は、土木工事であった。

 また土木作業の合間に、出て来た魔物を駆除する。今の僕にはとても簡単な仕事であった。

 ロベルトとイルゼには驚かれてしまった。試しに、軽く傷を受けて、回復までに数日かかる演出もする。また、魔法もショボい物しか使えいないことを伝えると、二人の僕への警戒心はなくなって行った。

 ただし、以前の僕……、ビットに面影があると言われたが、それはとぼけておいた。

 以前の僕とは、まず体型が異なる。身長も20センチメートルは違うし、顔だけが似ていると言われても、会った事もないと言えば、それだけで終わってしまった。

 それと新しい名前は、『ストラ』とした。

 まあ、消えた次の日に顔だけ似た人が来たのだ。誰も疑いもしなかっただろう。


 開拓村に戻って来て、三十日が経過した。

 僕の活躍もあって、工期はかなりの短縮となった。自画自賛かもしれないが、皆喜んでいる。称賛も受けられたので、僕も嬉しい。

 そんな時であった。王族が、開拓村を視察すると連絡が入った。明日、この開拓村に王族が来るので、皆仕事を止めて掃除である。


 次の日に、王族の馬車が来た。村人全員で出迎えを行う。

 そして驚いてしまった。馬車から降りて来たのは、ネーナだったのだ。


 ネーナは、眼を腫らしていた。そして、少し痩せた感じだ。

 力なく歩みながら、開拓村を見て回る……。

 そして、僕が使用したテントに着いた。

 ネーナだけが、テントに入り暫し待つ。悲しんでくれているのであろう。嗚咽の声が聞こえて来た……。

 でも、僕は名乗り出ることはしなかった。

 今生きて戻って来たことを伝えても、何も問題が解決しないからだ。いや、ロベルトとイルゼからの暗殺が来るだろう。一応、王命を受けたのだし。

 ネーナには、僕がいない新しい人生を歩んで欲しいと思う。


 それが、僕の結論だった。


 ネーナが、テントから出て来た。僕の遺品を抱えている。それを護衛が受け取り馬車に運んだ。

 ここで目が合ってしまった。慌てて背けるが、ネーナが近づいて来た。


「その短剣は何処で手に入れたのかしら?」


 下を向いたまま、意外な質問を受ける……。

 しまった。僕の顔に興味を引かれたのではなかったのか。

 これは、ネーナに貰った短剣だ。唯一無二の物である可能性がある。

 ネーナには隠せないが、誤魔化すしかない。


「ダンジョンだったか、外の魔物だったかは忘れましたが、数年前に魔物の腹から出て来ました。ミスリル製で酸にも強く、まだ使えそうだったので、護身用に持っています……」


 ネーナは、大きな涙を流し始めた。スカートをギュッと握っている。


「それを譲って頂けないかしら?」


「良く分かりませんが、献上いたします」


「ありがとう、それとお名前を教え願えますか?」


「……ストラと言います」


「ありがとう、ストラ。この村の滞在期間を短縮するように進言いたしますわ」


「申し訳ありません。この村へは自分の意志で来ました。ここで、関所を作った後に土地を貰って過ごして行きたいと思っています」


「あら……、そうなの。それでは、何か欲しい物があれば言ってくださいな」


「……今は充実しているので、思い浮かびません。何か欲しい物が出てきた時に、ネーナ王女様にお願いすることでいかがでしょうか?」


「……そう。まあ良いですわ。出来る限りの物を用意すると約束致します。ストラですね、覚えておきましょう」


「ありがとうございます」


 一礼すると。ネーナもスカートを少し持ち上げる礼を取った。そして、ネーナが馬車に乗る。

 こうして、ネーナとの再開は終わった。


 僕だと気づかれていないことを祈ろう。

 そして、僕のいない新しい人生を歩んで欲しいと思っていた。


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