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ダンジョン都市  作者: ノジー・マッケンジー
7/12

7 付与魔法

次の日、いつものように集合した後、サミィからみんなに話したいことがあると切り出した。



「……って訳やねん。今まで黙っとってホンマにごめんな。」

「彼女の言った通り僕も昨日話を聞いたところです。色々と思うところはあるだろうけど、僕は彼女にパーティから抜けてもらうつもりは無いです。とはいえ、僕一人の独断で決めてしまって後々ひずみが出ても困るから、今の時点でみんなの意見を聞きたいんですが…、どうでしょうか?」


自身が魔力音痴である事、前に組んでいたパーティの事、今のパーティに入ってからの事、そして昨日僕と2人で話をした事。全て皆に打ち明け、又僕も所々補足を入れつつまずは皆に話を聞いてもらった。


「わたくしは何も問題ありませんわ。リーダーがおっしゃる通り、事前に付与魔法をかけておけば魔力音痴は関係ないでしょうし。」

「私も賛成です。まだ少ししか一緒にダンジョンに入っていませんが、確かにサミィさんは皆さんの事を気にかけてフォローされていたように思います。恥ずかしながら、私なんか自分の事で精一杯でしたし。」

「わ、私も大丈夫です。せっかく一緒のパーティを組めたのに、こ、ここでさようならなんて寂しすぎますから…。」

「…(コクリ)。」


どうやらみんなサミィがパーティに残ることに賛成のようだ。


「み、みんな…。」


昨日僕に引き留めれれたとはいえ、他のメンバーに何て言われるか不安で仕方なかったのだろう。その眼にはうっすらと涙が溜まって見える。


「よし!じゃあ話もまとまった事ですし、今日も探索頑張りましょう!何て言ったって昨日は一人たった400Gの稼ぎしか無かったですからね。」


パンパンと手を叩き話題を変える。せっかく良い感じで話がまとまったので、その良い雰囲気のまま探索に入りたい。

僕の言葉にみんな表情を切り替え、6人一緒にダンジョンの入り口に向かった。

今日の目標は『昨日よりも稼ぎを増やす』だ!








ダンジョン内に入り、レミの先導で進んでいく。

ちなみにこのダンジョン、夫々1フロアが非常に広い作りになっている。

この入り口から2階層までの階段まで一切寄り道せずにまっすぐ進んだとしても大体半日ほどかかると言われている。そして人によって内部が違ったり、入るたびに構造が変わるような不可思議な事は無い為(何故か罠は突然発生するが)、1階に関しては完全に内部の道が判明している。とはいえ、それは多くの探索者の力と時間と犠牲の上に出来上がったものであり、2階以降は全ての道を把握しきれていない。当然下に進めば進むほど、探索者の数の少なくなる為、2階層で言えば全体の95%は判明しているが、40~50階まで行くと、大凡2~3パーセント程しか把握できていない。内部の情報はギルドに持ち帰れば、それが未発見の物であったり有益な情報であれば高額で買い取ってもらえ、その情報は主にギルドが販売している『ダンジョンマップ』に使用される。1階層だけは全探索者に無料でマップを公開しているが、2階層以降になると自分でマッピングするか、ギルドから地図を購入しなければ内部の情報は手に入らない。地図にも情報量の多い少ないでランク分けされており、当然情報量が多いものほど高い。しかし、いくら地図が正確だとしても魔物のリポップ(再発生)場所はランダムの為、常に気を抜くわけにはいかない。

まあ、僕たちに関しては2階層にたどり着くのもまだ先になりそうだし、何より焦って先に先に進んだところで実力が身についていないと意味が無いからね。


そんなことを考えているとレミから合図があった。

相変わらず無口だけど、何かあれば指差しで教えてはくれるから、合図を見逃しさえしなければ大丈夫。

…本当は口に出してくれれば一番いいんだけど。


レミが指差す先にはグレースライムが2体。

早速サミィに付与魔法をかけてもらう。

マリーに『ディフェンスアップ』、僕に『アタックアップ』。

本当ならそこまでしなくても十分勝てる相手だけど、せっかくだからサミィの付与魔法も確認しておきたい。…能力を下げられることはあっても上げられることは無かったからね。


サミィの手が僕の背中に触れる。


「じゃあいくでぇ。……アタックアップ!」


彼女の手から光が漏れ、それが僕の背中から徐々に広がり体全体を覆っていく。光が全身を覆った後僕は試しに素振りをしてみるが、何となく力が強くなったように感じる。


「ほんなら次はマリーやな。いくでぇ……ディフェンスアップ!」


僕の時と同じようにマリーの肩に置かれた彼女の手から光が溢れ、マリーを覆っていく。


「よし、オッケーや。」

「あ、ありがとうございます。」

「じゃあ早速、マリー、お願いね。」

「は、はい。では、挑発行きます!」


防御力の上昇したマリーがスライムの前に進み、挑発スキルを使う。

これは本当に魔物を挑発するのではなく、魔法の力で魔物からの意識を集めやすくするものらしい。

スキルの効果によってグレースライム2体はマリーに向かって飛びかかるも、防御力の上がったマリーには傷1つ付けることができない。その隙に僕はスライムの後ろに回り込み、剣を上段から振り下ろした。

グレースライム1体を真っ二つにし、そのままマリーに体当たりを続けているもう1体も横薙ぎで切り裂く。

呆気ないほど簡単に戦闘は終わり、地面に落ちた魔石二つを拾ってみんなの元へ戻る。


「やっぱり付与魔法が有ったら全然違うね。」

「そ、そうですね。私も全然痛くなかったです。」

「へへー、お役に立てたようで何よりや。」


僕たちの言葉にサミィは少し照れたように笑った。


「よーし、じゃあこの調子で頑張りましょう!」


付与魔法の効果も確認でき、メンバーもサミィを褒めたり魔法についての話をしたりと和やかで良い雰囲気だ。やはりサミィにパーティに残って貰えて本当に良かった。





そしてそのまま探索は進み、数十分後。


「………ん…。」


レミが通路の先を指差した。また魔物のようだ。


「今度はグレースライムが3体みたいですね。じゃあ今度は付与魔法無しでやってみましょうか。」


付与魔法は確かに戦闘を楽にしてくれるが、それに頼り切っていてもいけない。それに毎回付与魔法を複数人に使っていてはサミィのMP(魔力)が持たなくなってしまう。

しばらくは付与魔法を掛けたり掛けなかったり、又使う魔法を制限したりと色々試してみて、一番効率の良いパターンを探したいと思う。


先程と同じようにマリーが前に出て盾を構え、挑発スキルを使用する。

スキルにつられてスライムがマリーに攻撃を加えるが、やはり2体が相手の時とと比べ3体が相手では対応が難しいようだ。2体までなら何とか盾で受けることが出来ているが、3体目は盾で受けきれず体への攻撃を許してしまっていた。


「フッ!」


スライムに近づき攻撃を仕掛ける。先ほどと違い1度の攻撃で倒しきることはできなかったが、すぐさま追撃を加え1体を倒す。

スライムが2体になったことでマリーも少し余裕が生まれ、それ以降は全て盾で防いでいく。

その間に僕もスライムに切りかかり、1体づつ確実に仕留めていく。


3体のスライムを全て倒し、落とした魔石を拾ったのちマリーと一緒に皆のところに戻る。


「こうやってみると付与魔法の有り難さがすごい分かるね。」

「は、はい、そうですね。」


スライムに攻撃された横腹をさすりつつ答えるマリーの元へ、みんなが心配そうな顔で近づいてくる。


「マリーさん、大丈夫ですか?」

「は、はい。そんなに痛くはないんですけど…。」

「どれどれ、見せてみぃ…って、痣になっとるやん。やっぱり痛いんとちゃうの?」

「…(コクコク)。」

「い、いいえ、本当にそこまで痛くはないんです…。」


心配そうな顔のメンバーに慌てながら答えるマリーだったが、どうやら本当に痛みはそこまでなさそうだ。

見た感じは痣になっておりかなり痛そうにも見えるんだけど。


「ふふふ…、ついにわたくしの出番ですわね!」


僕がダメージについて1人考察していると、突然シルフィーが声を張り上げた。


「マリーさん!」

「は、はい!」


名前を呼ばれ反射的に返事をするマリー。


「この治療師であるわたくしに任せて下さいませ。乙女の肌にそんな傷を残すわけにはいきませんわ!」

「は、はい…、お、お願いします?」


シルフィーの迫力に思わず疑問形になっている。


「では行きますわよ。……ヒール!!」


シルフィーが魔法を唱えるとマリーの体が光を纏い、今皆でで見ていた痣が綺麗さっぱり消えていった。


「おお…。」

「すごい…。」


どうやら皆回復魔法を実際に見るのは初めてのようで、その効果に驚いている。

僕も学校で習っただけで実際に見たことは無かったので、本当に怪我が治ったのを見て少し感動した。


「す、すごいです!あ、ありがとうございます、シルフィーさん!」


マリーも自分にできた痣が綺麗さっぱりなくなったのを見て、感激した風にシルフィーにお礼を言う。

しかし振り返った先に見たのはドヤ顔のシルフィーではなく、彼女が地面に倒れ伏している姿だった。


「し、シルフィーさん!?」


慌てて駆け寄り抱え起こすと、彼女は息も絶え絶えに言った。



「ま…、魔力が…切れました…わ……。」




その場に何とも言えない空気が流れた。

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