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72話 理の真贋

 今回は新たなスキルを作るわけではない。

 というかこれ以上何を増やせばいいのか分からなくなって来た。

 ネタ切れだ。


 じゃあ何をするかってことなんだけれど、この前作ったスキルの一つに『理の真贋』というものがあった。

 最初はこれの効果がよくわからなかった。

 けど、鑑定がLVMAXになったことだし、調べてみれば何か分かるんじゃないかと思った。

 流石に鑑定して分からなったら諦める。

 けど、どう考えてもこのスキル強そうだしね。

 名前がかっこ良いというのもある。

 まあ、とりあえずは鑑定だ。


 ステータス画面を開いてスキルに向かって鑑定を使う。


 すると詳しい解説付きの鑑定結果が出てくる……と思っていた。

 が、思っていたものと全然違う画面が表示された。



─────────────────


〈理の真贋〉


世界の理を示す。

願望が募る時それは森羅万象となり、確たる願いをその身をもって体現する。

不可能の体現は叶わず、万象に従いし願望のみを成就する。


─────────────────



「……は?」


 目をこすって何度も見直す。

 が、画面は変わらない。

 何度見ても同じだ。


 古典で出てきそうな意味不明な文章だ。

 一応日本語にはなっているが、この文章が何を意味するかが分からない。

 なんというか、英語を翻訳したグーグル先生の言葉みたいな、そんな違和感がある。

 いや、日本語うろ覚えの外国人の方が近いかな?


 でも文章的には、強く願望を抱いてスキル使いましょうって感じの意味だと思うんだよね。

 森羅万象が何なのかいまいちよく分からない。

 けど、とりあえず使ってみないとね。


 前使った時は何も意識せずにスキル発動させたけど、今回は強い思いを抱いてやってみるか。


「よし……」


 イメージは……うーん、何を願えばいいのかな。

 とりあえず、スキルが発動しますように、ってことでいいか。

 別に願いなら何でもいいでしょ。


 俺は願望を口ずさむ。


「スキルこい……スキルこい………スキルこい……理の真贋、はつどぉぅっ!」


 気合を入れた声が、地下室に響く。

 スキル発動しろぉぉ!

 と祈りに近い願いを、頭の中で反復する。



 ──しかし何も起こらなかった!


「なんでや!」


 せっかくここまで頑張って願ったのに……


「……いや、これは俺の気合いが足りないんだな」


 と言いつつもう一回やり始める。


「スキル……こぉいいいっ!理の真贋っ!」


 しかし何も起こらない。


 俺は連呼した。


「理の真贋っ!理の真贋っ!理のっ! SI N GA N !!」


 しかし何も起こらない。


「はぁっ……はぁっ……なんで発動しないんだよ……」


 何度言おうと、発動しない。

 MPも減っていないところを見ると、本当に何も起こっていないんだろう。

 つまり俺は、地下室で発狂していただけとなる。

 なんてこったい。


 俺は目をつぶり懇願した。


「あぁ……お願いだから発動してくれよ……やっぱり理の真贋はゴミスキルなのか?」


 もはや喋るのすら面倒になってきた。

 どうすれば俺は……


『願いを問う』


 突然聞こえた声に驚き目を開ける。

 周囲には何もない。人もいない。


 どこからだ?

 そう思って周りを見ると、違和感が押し寄せた。

 地下室なのに、おかしい。

 何が、と言われるとどう答えていいのか分からないが、言ってしまえば全てがおかしい。

 見えるもの全てが無機質すぎる。

 何もかもが色あせて、その存在を薄れさせている。


 これは……世界が止まっている。

 灯されたろうそくの炎は停止して風になびくこともない。

 揺れる光に照らされるはずの地下室は、しかし光の変化は一切ない。

 音もすべて消え去っている。

 シーンと静まり返るのではなく、音が存在しない世界だ。

 無音ではない。

 『無』になる音がないのだ。

 感じるのは、極限まで停止した無機質。


 でも、俺は動ける。

 なぜ?と思ったが、俺の体の表面をうっすらと光の膜が覆っているのが見えた。

 これがスキルの効果か。


 つまり……時間停止。

 俺だけこの世界で動けて、しかも相手は動けないから攻撃し放題。

 うん……?ちょっとまてよ?


 ……これ最強じゃね?


「まさか……ついに……俺のターンが来たというのか!?」


『願いを問う』


 テンションが上がった瞬間、また声が聞こえた。

 

 願い?

 確か鑑定したときの説明に、願いを成就させてくれるみたいな風に書かれてたな。


 まあ、急いでもダメだ。

 とりあえず願いを言う前に、この時間停止の強さを検証しなければ。


「よーし、まずは身体強化から……え?」


 身体強化を使おうとした。

 が、使えなかった。

 

「え?なんで使えないの?」


 意味不明だ。

 この空間だとスキル使えないのか。


「……しょうがない、とりあえずポテチでも食べて落ち着こう……はぁ?」


 ポテチに手を伸ばした俺だったが、掴んだポテチは一ミリも動かなかった。


 なるほど、本当に世界が停止しているんだな。

 けどこの状態じゃ敵に攻撃してもダメージ入らないじゃん。


 結局このスキルは雑魚かったということか。


「あぁ~どうすればいいんだよ~」


『願いを問う』


 また声が聞こえた。

 願いを問う、とはいったい何の願いを問われているんだろう。


 もうこのスキルに用は無いんだけど、とりあえず願いを言えばいいのかな。


 俺はゆっくりと喋る。


「……森羅万象チョコがほしいです」


《【理の真贋】によって 【森羅万象】が発動しました》


 体が勝手に動き始めた。

 止まっていた時が動き出し、勝手に俺の口が動いて


「クリエイト・森羅万象チョコ」


 と唱えた。

 何が起こっているのかよくわからなかったが、気づいたら目の前にチョコレートがおいてあった。


「……なにこれ」


 今のがスキルの効果?

 でも、チョコレート作っただけだよね?


 俺はもう一回、理の真贋を鑑定する。


 

─────────────────


〈理の真贋〉


世界の理を示す。

願望が募る時それは森羅万象となり、確たる願いをその身をもって体現する。

不可能の体現は叶わず、万象に従いし願望のみを成就する。


─────────────────



 そしてやっと理解した。


「なるほど、要するにこのスキル、俺が願ったことを最短ルートで実行してくれるみたいな感じか」


 俺が何かをしたいと願った時、最高効率で代行してくれるのだろう。

 実行される際は、アナウンスさんが言ったように森羅万象スキルが発動すると。


「で、不可能なことはできません、ってことか」


 不可能の体現は叶わず、万象に従いし願望のみを成就する。

 俺の身をもって再現できること以外は、願ってもできませんよってことなのだろう。


「うーん、どう使えばいいのかわかりにくいな」


 一体どういう状況の時に使えばいいのだろうか。

 俺にはよくわからない。

 けどまあ、使えて損はないだろう。

 時間停止の効果もあるから、ピンチになったときにとりあえず使っておけば間違いはないだろう。


 にしても、今までこんな意味不明な効果をもったスキルの存在に気づかなかったなんてびっくりだ。

 意味不明なスキルではあるが、逆に言えば使えるときは使えるのだ。

 あとでいろいろ検証してみたいな。



 俺はおもむろにポテチへと手を伸ばし、ちゃんと動かせることにほっとしながら、パクッと一口で食べるのだった。

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