71話 予感
山登りをした翌日。
休日なので今日は学校は休みだ。
いつもならだらだらと寝ている俺だが、なぜか寝ていられる気分でもなく、休日だというのに朝から地下室で実験していた。
何の実験かというと、俺のステータスについてだ。
久々にステータスを確認してみる。
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【ルーラ・ケイオス】《全熟練度詳細》
3歳 女 魔法使い LV 22
HP :201/201
MP :2001/2001
SP :1050/1050
攻撃 :221
防御 :172
魔攻 :0
魔防 :0
俊敏 :102
-スキル-
鑑定LVMAX
身体強化LV15
身体超強化LV4
縮地LV5
理の真贋LV1
偽装LV6
-魔法スキル-
創造魔法LV∞(神域限界突破)
閃光玉LV1
盲目玉LV1
火玉LV1
水玉LV1
風玉LV1
土玉LV1
-パッシブスキル-
気配察知LVMAX
危険察知LV3
翻訳LV13
解析LV5
魔力操作
-固有スキル-
創神化LV4
-称号-
異世界人
創神
-加護-
創神の加護
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気配察知がLV10でMAXになって、危険察知というスキルができた。
あとは身体超強化と縮地も順調にレベルが上がっている。いい感じだ。
危険察知はその名の通り、危険を察知するスキル。
例えば横から本棚が倒れてきたとき、倒れてくる直前に赤い領域がうっすらと見える。
赤い場所が、本棚に当たる可能性のある範囲となっていて、そこにさえいなければこちらにダメージは入らない。
高性能なスキルだ。
このスキルがあれば、登山の時のトラにも勝てていたかもしれない。
なにせ攻撃範囲が表示されるようなもんだしな。
回避が段違いに楽だ。
ちなみにスキルのLVが上がると、領域がより早い段階で表示されるようになる。
同じように及ぶ危険の重大さが大きいほどよりはっきり赤く見え、これもまた早い段階で見れるようになる。
濃い赤のところにいれば、大ダメージってところかな。
あとは鑑定がLVMAXになった。
こちらもこつこつ使っていたのでいつの間にかなっていた。
LVMAXの鑑定はすごい。
物体を鑑定すると、耐久地、使用者へのステータス補正値、細かい説明、特殊効果、主な用途、注意点など事細かく出してくれる。
生物だと、LV、ステータス、装備品、スキル、加護、称号、歳、性別、名前、熟練度、そしてその人の性格とか出身地とかまで出てくる。
これなら個人情報盗み放題だ。
その上、鑑定妨害スキルを持っている学校の先生のステータスも余裕で看破できる。
もちろん偽装状態でもバレバレだ。
今俺はスキル偽装を使ってるけれど自分のステータスを見ることができるのは、この鑑定スキルのおかげだ。
なんとも有能なスキルだね。
とこんな感じにステータスは成長しているわけだが。
なぜ朝から俺はこんなことをしているのか。
理由は簡単だ。
とてつもなく嫌な予感がするのだ。
具体的に言うと、危険察知が強く反応している。
なぜか、町を包み込むようにして、すごい薄いけれど赤い領域が広がっているのだ。
それは俺の家も同様で、かなり広い範囲がうっすらと赤く見える。
これは普通ありえないことだ。
こんな大きな範囲を一度に危険な状態にするなど、隕石が降ってきたりしない限り不可能に近いだろう。
もしくは超強力な範囲攻撃魔法でも使うか。
いずれにせよ、朝からずっと危険察知が反応している。
だけれど、何も危険なことが起きないのだ。
一つの原因として、ウイルスや病原菌などがただよっている可能性も考えた。
だけど、それは家の中に入れば薄くなるはずだし、手を洗えば手の部分だけ危険察知の範囲外になるはず。
しかしそんなことは起こらなかった。
というかウイルスに反応するんだったら、今までずっと反応しないでいた方がおかしいのだ。
じゃあ結局何が起こっているのか。
色々考えたけど、一つしか原因は思い浮かばなかった。
「今から、重大な危険性のある事件が起きる。多分」
こんな広範囲が危険な場所とされている以上、すぐにでも危険が迫ってくるべきなのだ。
普通は。
しかし今はまだ何も起こっていない。
何にも、本当に怪我の一つもしていないのだ。
スキルのレベルが高すぎて、危険が見えまくっている状態などではあるまい。
だとすれば、ありえないレベルに危険なイベントが迫っている。
そう考えるほかない。
例えるならば、『入れ替わってる!?』で町を救うどっかの映画の隕石みたいな、そんな感じだ。
俺も同じように街を救わなきゃならないかもしれない。
けど、事はそう簡単にはいかない。
なにせ、迫っている危険がいつ来るのかが分からない。
というか、本当に危険なのかも分からない。
アイザックさんは某映画の頑固な町長とは違うし、言えば町民を避難させてくれるだろう。
けれど、今回は迫る『危険』が何なのかすら分からない。
隕石が落ちることを知ってからじゃないとどうしようもないのと同じだ。
起こるかも分からない危険に対して力を割くほど、人は暇じゃない。
暇なのは俺ぐらいだろう。
でも今の俺は、前世のニート時代のボッチな俺とは違う。
大切なものが沢山出来た。
家族のみんな。
お父さん、お母さん、エマ姉さん、メイドさん。みんな大切だ。
そしてセシルが大切だ。
もちろん家族より大切だ。
世界より大切だ。
世界の破滅かセシルかを選ばれたら、俺は世界を捨てられる。
理由はかわいいから。
以上。
そんな感じで、失いたくない物がある。
ただ暇していられる前世とは違うのだ。
そこで、俺は少しでも状況をよくするために、地下室で鍛えることにした。
鍛えると言っても筋トレとか魔力トレとかではない。
今回鍛えるのはスキルについてだ。




