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59話 魔力測定3



 今年も魔力測定の時期がやってきた!

 

 普通の人は気兼ねない学校行事の一つだが、俺にとっては超重大イベントだ。

 この一瞬で、俺がム〇カになるかならないかが決まってしまう。

 気兼ねなく受けるなどとんでもない。細心の注意を払って行動せねば。


 学校に到着し、体育館へと向かう。

 列を成して我々(自分だけ)の戦場へと向かっていく。


 思えば過去2回行った魔力測定の結果は、そりゃもうひどいものだった。

 セシルが過去の記録を大幅に上回るような測定結果を残し、俺もいい結果出してやるぞと意気込んで、そしてフラッシュに目を奪われた。

 瞬きさえも許してくれない激しい白光に見舞われ、俺の目は喪失寸前まで追い込まれた。多分。

 1回失敗を経験したから次こそは、と気持ちを固めた2回目の測定も同じ。

 まさか一回目より強烈な自爆テロに遭遇するとは思いもしなかった。ちなみに自爆テロの首謀者は俺で、被害者も俺だ。


 しかし、さすがに三回目の失敗は許されない。

 人は幾多の失敗を経験するが、同じ失敗ばかりを経験するのはただの愚行だ。というかただのアホだ。

 俺はアホではない。同じ失敗を繰り返すほどヤワな頭の鍛え方をしてきたつもりもない。


 列が進む。

 もう体育館の中の様子が見えてきた。

 そろそろだろう。

 すると後ろからセシルがやってきて、不安そうな顔で俺に言う。


「大丈夫?またひどい目に遭わない?」


 こんなことを聞かれている時も俺は、セシルの目はきれいで純粋でどこまでも透き通った瞳だなと場違いなことを考えていた。


「大丈夫、心配ないさ。もう、俺は失敗しない、絶対に。この笑顔、この瞳、守らなければならないものが俺にはできた」


 セシルは、ルーラが何を言っているのかちょっとよく分からなかったがとりあえず頷いた。

 それを見て、しかし俺の決意は一層強くなる。


「俺は……。今度こそ絶対に成功させる!」


 そう言って、体育館の方へと歩き出した。

 俺がセシルの方に振り返ることはもうなかった。

 固い決意が俺の歩みを揺るぎないものにしていた。


「ルーラ!」


 後ろからセシルが声をかける。

 どうすればいいのだろうと俺の頭は考えるが、しかしもう振り返らないと決めたのだ。

 前を向いて歩く。

 すると、セシルの声がまたふりかかる。


「がんばって!」


 すると、一人の少女がそれに答えるように振り向きニコっと笑った。

 確信を持ったような笑顔だ。自信満々だ。

 俺はもう振り返らないと決めたから、おそらく他の誰かだろう。

 誰だろうか。


 小学生にしては低すぎる背丈。

 というか体が小さい。

 一般的にはこれくらいの年齢の子が、家の中であやされるのではないかと思える小ささだ。

 そんな幼い少女が振り返ってニコっと笑っている。

 しかし俺はもう振り返らないと決めたから、うん。

 決めたから。

 決めたもんね。

 振り返ってるのは誰なんだろうね~。



 セシルがこちらに向かって手を振ってくれる。

 周りの視線など気にせず手を振ってくれる。

 嬉しいので、俺も手を振り返す。

 嬉しいです。


 手を振り終えてから、俺は静かにつぶやく。


「振り返らない?あれは何かの勘違いだ。セシルがいたら、振り返るしかあるまい」


 なぜか古風な言い回しで、自分に言い訳をしていた俺だった。


 

 もちろん、その後体育館は、眩しくなった。

 



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