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57話 3年生







 なんだかんだしているうちに3年生になった。

 1年前と比べて、俺の身長はずいぶん伸びたなぁと感じられる。


 異世界には季節がないみたいでずっと春の温かい感じの気温が続いているからだろうか。

 時間がたったという実感があまりわかない。

 それを実感したところで何かあるのかと言われても、やはりなんの意味もないんだけれども。


 授業は相変わらず簡単だ。

 前世と比べて、小学生にやらせる内容にしてはレベルが高いような気がしたが、というかすでに前世の中学生並の問題もちらほら見られるようになってきたんだが、一体どういうことなんだろう。

 異世界の勉強はこんなにもハイレベルなんだろうか。

 いや、足し算引き算はいいとして、掛け算割り算もする。それだけならまだしも、分数の計算と正負の計算、そして魔法文字を使った計算まで出てきている。おかしい。明らかにおかしい。

 

 けれども、俺の言う「おかしい」は前世基準だ。

 この世界で行われる授業のレベルがこれで普通というならば、俺が何と言おうと「おかしい」には入らないだろう。

 全く、子供に優しくない世界だ。

 でもこの前セシルにそのことを話したら、


「でも、ルーラはできるんだよね。だったら、私も頑張る!」


 と、なぜか声援をいただいたので俺も頑張らねばならない。なんと皮肉な運命だろう。でも可愛いから許す。



 それと剣術が授業として導入されたことには驚いた。

 先生の話によると、基本的な剣術を使えるのは当たり前だそうだ。

 料理人じゃなくても料理が少しできるのは当たり前。それと同じように、剣士でも剣士でなくとも剣術の基礎ぐらいは使えるようにしておかねばならないのだと。

 もちろん、世の中にいる人全員が全員剣を振れるわけではないだろう。

 だからといってそれを言い訳にして剣術をやらないのはおかしい。

 最低限でも身に着けておかないと人生損するよということなんだろう。


 まあ剣術と言えば男のあこがれみたいなもんだしな。

 やるだけやってみないとだめだな。


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