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52話 魔力測定2

2年生になった。


 けど、あまり一年生の時とやることは変わらない。簡単な授業を受け、簡単な魔法を使い、家に帰ってぐうたらして、学校に来てセシルに癒され、という毎日を過ごしている。


 今年で俺は3歳だが、この世界には誕生日という概念が無いらしく、そのため俺の誕生日を祝う人もいなかった。

 一年たって学年が一つ上がったというのに、実感が全く浮かんでこない。というか一年たったということすら実感がない。

 まあ、2度目の学校生活だっていうのもあるし、なによりこの世界での生活が楽しくて時間が過ぎるのが速いのだ。

 魔法を学んでたらいつの間にか一週間、決闘していたらいつの間にか1か月、レベリングしていたらいつの間にか1年。時が過ぎるのは早いものだとつくづく思うよ。

 まあ、ゲームをしているときに比べれば全然遅いがな。

 あれだ、ずっと集中してゲームしていると、どんどん時間が加速していくんだ。1時間なんてもはや時間ですらない。「あっ」と思ったら24時間だ。一瞬だ。抵抗できないのだ。時間がゴミのようだ。

 あ~こっちの世界でもゲームしたいな~。 パソコンを創造魔法で作ればいいんだろうけど、電源がないんだよな。電源が。

 まあ、それは電池やら発電機やらを出せばまあなんとかなるが、電源が確保できたところでネットワークがないからゲームができないのだ。

 しかも俺の本業はFPS。ドラッグショットだけなら全一と称された俺であっても、他のプレイヤーがいないのでは対戦すらできない。ゲームがうまくても意味ないのだ。

 元の世界のネットワークにつなげられないかなぁ…なんて考えてもみたが、いや、無理でしょ。どう考えても無理でしょ。電信柱すらないこの世界で、人工衛星が打ちあがっててネットワークを構築して更にはGPS機能までついてますよ、なんてことありえないよ、どう考えても。そんな異世界あってたまるか。どんだけ高性能な異世界だよ。

 まあ、やれればやりたいなーくらいに考えておこう。別に元の世界のネットワークが無くても、こっちの世界で作っちゃえばいいんだしね。まあそれは不可能に近いだろうけど。



  さて、今日は毎度おなじみの魔力測定である。 この学校では学年が上がるごとに魔力を測定しているらしい。

 ほかの学校ではどうなのかは知らないが、とりあえずこの学校ではやってる。全校生徒が全員やっているのだ。

 日に分けて学年ごとに進めていくから、行事の規模としては結構大きいものになる。なにせ人が多いからね。

  番号順に並ばせられ、どんどん測定されていく。

 すると、後ろからセシルが声をかけてきた。


「ルーラ、気を付けて…」


 一瞬なぜ声をかけられたのか分からなかった。 いつだかは忘れたが、ロリババァ女神さんにも警告されたことあったかもしれないから、それのことかと思ったが、すぐに別の案件だということが判明した。


「ああ…うん。が、頑張るよ」


 去年やらかしたのだ。

 一年生のはじめの時に測定したときは、魔力が強すぎたのがダメだったのだろうか、どこかの大佐のように目がやられてしまったのだ。

 あれは完全に不可抗力だったが、同じことがまた起こらないとは言えない。

 むしろ一年たって成長した分、威力も底上げされているのではないかと思える節もある。

 そりゃぁセシルも心配せずにはいられないだろう。それで声をかけてきてくれたのだ。あぁ、ありがたい。

 だがセシルたんを心配させてしまったのは看過できない事態だ。ここはガツンと一言言って安心させよう。


「大丈夫、今回はもう、絶対失敗しないから。超完璧だから」


 これでセシルも安心したことだろう。

 あとは張り切って、しかし慎重に、去年と同じような過ちを繰り返さないように測定すればいいだけだ。もしかしたら、去年測定に使った水晶がおかしかっただけかもしれないしね。まさか今年も同じ道を歩むことなどないだろうしね。うん。

自信満々な心構えで、俺は悠々と測定に向かっていった。



「ああ…うん。が、頑張るよ」


 ルーラからたどたどしい返答が返ってくる。 去年ルーラが何をしたかを遠くから眺めていたセシルからすれば、今年もまたやりかねないと不安が募るばかりの心境であった。

 そんな状況で目の前にルーラがいたとすれば、声をかけないことの方が難しいだろう。心配で心配で仕方ないのだ。


 「大丈夫、今回はもう、絶対失敗しないから。超完璧だから」


 ルーラの「超完璧」という言葉遣いの意味がセシルにはよく分からなかったが、それ以上に、ルーラが失敗してやらかすイメージしか浮かばず、思わず顔をしかめてしまった。

 なんでだろう?ルーラは大丈夫だって言ってるのに、全く信じられないよ…

 フラグ、というものを知っているのかいないのか、ともかく、セシルはルーラの言葉を聞いたらますます心配になってしまった。

 別にルーラを信じたくないと考えているわけではない。が、しかしセシル自身でもなぜだかわからないが、絶対ルーラはやらかすとしか思えないのだ。

 長い間一緒にいたから、ある種の勘というものが養われたのだろうか。もうルーラがこれからどうなるか、目に見えてわかる。とまではいかないものの、どうにもルーラの言葉が信じられないのだった。

(……でも、ルーラが大丈夫って言ってるから、大丈夫だよね…ルーラの言葉を信じよう!)  今までずっと一緒にいた大好きなルーラの言うことを信じないでどうするのか。信じるほかは道はないだろう、だから信じる。

 危ない場面ではいつもルーラに助けてもらっていたのだ。ルーラは頼りになる存在。だから、魔力測定をするだけでやらかしたりなんてしない。そうに決まっている。

 私はルーラを信じてついていけばいいんだ。 セシルは心の中で決心した。

 そして、満面の笑みでルーラの方を見てみると、もうルーラは測定に行ったようだった。

 ふう、とセシルが安心した時、爆発でもしたかのような水晶の光が見えた後、目がぁぁぁ!!目がああっぐああぁぁあ!!!、という謎の悲鳴が聞こえてきた。

 セシルはこの日から自分の勘を信じるようになり、また、ルーラは危ないという認識を心の隅っこに置くようになった。

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