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50話 レベリング




 学校の帰り。

 いつもはセシルと一緒に帰るのだが、今日は先に帰路についた。

 一人でないといけないのだ。セシルには申し訳ないが、仕方のないことだと割り切る。


 家に着いて一旦荷物を置いたら、そそくさと家の裏の方の道なき道を進む。

 懐かしいな、ここでトラみたいな魔獣と戦ったっけ。

 

 途中で木刀同士がぶつかり合うような音が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。

 どんどんと奥へ進んでゆく。


 結構奥に進んできた。時間にして30分ぐらいだろうか。

 森も深くなり、俺の身長より背の高い草が沢山生い茂っている。

 というかかなりうっとおしい。


「クリエイト・ウインド」


 風の球を作り、もうもうと生い茂る雑草をおしのけながら進んでいたら、やっと草のない場所に出てきた。

 森は森だが、東京のビルぐらいのでっかい木が沢山生えていて、しかし地面は荒野のように荒れ果てて木以外何も生えていないという不思議な空間だ。

 

「わかりにくいけど、ダンジョンで間違いないな」


 ダンジョンは、魔力が強い場所にできるモンスターの根城みたいな、そんな場所だ。

 練り固まった魔力で凶悪なモンスターが生み出され、ダンジョン内を徘徊する。

 敵を見つけると攻撃を開始し、駆逐して栄養とする。

 ダンジョンも生き物のようなものらしいので、死体とか弱い植物とかはすべて吸収されるみたいだ。

 これを聞く限り害悪でデメリットだらけの悪い場所みたいに思えるかもしれないが、実はそうでもない。

 

 モンスターは倒すと経験値を得ることができる。

 あれだ、たくさんゲットするとレベルアップできるというあれだ。

 そしてダンジョンと呼ばれるだけあって、お宝もある。

 魔力が練り固まって生まれるモンスターと違い、吸収した死体や植物などを媒体として生成されたものが、武器や特殊な魔術的要素の絡んだレアアイテムになることがあるらしい。

 そしてダンジョンには核が存在し、その核を破壊されるとダンジョンは成り立たなくなる。

 人で言うところの心臓だな。急所と言っていい。

 ダンジョンの核。実はこれを構成するものの一つに魔結晶というものがあり、これがとっても高値で売れるのだ。

 つまり、ダンジョンの核を見つけ出して破壊し、魔結晶を持ち帰って売りさばけば大儲けできるということだ。最高だな。


 しかし、話はそんなにおいしいようにはできていないってのが世の中。

 ダンジョンもそうされないように対策してくる。

 ダンジョンの核は地面に埋めたりはできない。

 空気中の魔力を吸って機能するようにできているので、必ず通気性が確保されていないといけない。

 しかし普通に空気の通り道を作ればすぐに核を壊される。

 ということで、ダンジョンにはモンスターとボスが配置されている。

 核の前の部屋には強力なボスを出し、侵入者を排除するのだ。

 途中に迷路を作り、迷わせたりもする。


 そういった感じにダンジョンには危険が沢山潜んでいる。

 ただで宝探しはさせてくれないのだ。

 

 しかし、それが余計に冒険心をくすぐるというか、そういう危険に身を投じてでも宝を探したいという人は少なからずいる。

 それが冒険者とか探索者とかだ。

 危険も伴う仕事にあこがれるひとは多いのだろう。

 実際俺も結構あこがれてたりする。面白そうじゃん、宝探し。



 そして目の前にはそのダンジョンがあるというわけだ。


「いや~これは探索してみたいよね、ここまできたんならね」


 家の地下室にあった本に、ダンジョンの存在と性質などが書かれた本があったのだ。

 森の中にダンジョンがあるという話は学校でも教えられたので、それは言うまでもない。

 場所とその内容が分っていれば、もうあとは来るしかないだろうと思っていたのだが、セシルがかわいすぎて忘れてた。てへっ☆


 …というのは冗談で、俺のいろんな噂話が学校ではやっていたので、それが落ち着くまで変に動けなかったのだ。

 別に来るだけなら簡単だったが、そこを誰かに見られる可能性があったため来れなかった。


 来たい来たいと思っていたダンジョン、ついに来た!


 というわけで、今はとてもハイテンションだ。



 が、今日は宝さがしはしない。

 目的は……と考えながらあるいていたら、200mほど前方にゴブリンみたいなモンスターを発見。 

 丁度いいので狩る。


 極歩と身体強化発動。からのダッシュ。

 足の回転速度を一気に上げて、距離をどんどん詰める。

 

 のこり10mぐらいのところでようやくこちらの存在に気付いたモンスター。だが、もう遅い。

 俺はモンスターの横を素早く駆け抜けながら敵の顔を掴み、そのままもぎとった。

 疾走の勢いを止めるため足で急ブレーキをかけながら、後ろを振り返る。

 頭がなくなったモンスターの体がばさっと倒れるところを目撃。一瞬だったが、モンスターを一匹討伐、完了。モンスターの頭をそこらへんに投げ、手についた土を落とす。


 今のような感じで、どんどんモンスターを狩っていく。つまり、ここでの目的はレベリングだ。

 モンスターがかわいそうだと思うかもしれないが、いちいち気にしていてはきりがない。そのうち慣れるだろうし、一番優先するのは効率だ。

 剣を使わないことによって走るスピードを上げ、首をもぎ取ることによって確実に仕留める。

 多分これが一番速いと思います。

 このダンジョンには、というか森林型のダンジョンの浅いところにはゴブリンしか出ないらしいので、俺はずっとここで狩りまくろうと思う。

 ゴブリンスレイヤータイムアタックだ。


 毎日これをやっていればレベルも上がっていくだろう。

 これでステータスの差を埋められる。

 万事解決。すべてがうまくいくのだ。

 

 ということで、俺はモンスター100体をめどにレベリングするのだった。

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