4話 初魔法と働かない識別
家族と会ってから一週間たった。
この一週間で家族の名前を知った。
俺のお姉ちゃんの名前はエマ・ケイオス、お父さんはハドソン・ケイオス、お母さんはライリー・ケイオス。
あと、侍女のお姉さんはアメリー・アダムスだった。
聞き取るのすごい大変だったな。
でもみんないい名前だね。ほんと。前世のバカ親に紹介したいぐらいだ。
それと、例の魔法陣らしき何かが書かれた本を読んだ。いや、正しくは読もうとしたの方が正しいな。
知らない字で書かれてるし、逆に読める人の方が少ないと思う。
それで俺が読めなくて苦戦してるところにエマ姉さんが来て読み聞かせてくれた。
意味不明な単語が多すぎて、読み聞かせられたけど内容がよく分からなかった。
異世界の本強し。ちゃんと最後まで読みきるには時間かかりそう。
一週間でやったことはこれくらいかな。
それで、本を読み聞かせられて知ったんだけど、自分のステータスを見れる魔法があるらしいんだよね。
うまく発動できれば魔法使えるかもと思ったので試してみることにした。
ただ、幼い赤ちゃんがステータス見る魔法を唱えるのはちょっと普通じゃない気がする。
ので、みんな寝静まった頃合いを見計らって、深夜に試してみることにした。
*・゜゜・*:.。..。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゜・*
時は深夜。
今俺はベットの上にいる。他の家族は別の部屋で寝てると思う。あとこの部屋にいるのは侍女のアメリーさんだけだ。そしてアメリーさんも静かに寝息を立てて寝ている。
よし。時は満ちた。やるぞ。我、ルーラ・ケイオス、今ここでステータス魔法を唱えるんじゃぁー! いっくぞー!
「★〓◉◎」
何度も心の中で練習した異世界の言葉を唱えた瞬間、ポーンという音が頭の中に響くと共に、目の前に半透明のウィンドウみたいなのが出てきた。
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【ルーラ・ケイオス】
2歳 女
HP :12
MP :33
攻撃 :3
防御 :4
魔攻 :6
魔防 :4
俊敏 :2
-スキル-
-魔法スキル-
創造魔法LV∞(神域限界突破)
-称号-
異世界人
創神
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《【創造魔法LV∞】によって【スキル記憶】が自動作成されました》
ウィンドウが表示されると共に、脳内に直接文字が浮かび上がってきた。
なんかこう……すごいです。
とりあえずゲームっぽいな。ゲームの世界の中に入ったらこうなる、ってのをそのまま現実にしたような感じ。
ステータスは、他の人の基準がわからないから今はなんとも言えないな。
それはいいとして、問題はスキルだ。
創造魔法ってなんだ? しかもその後にスキル記憶なるものが創造魔法で作られてるし。
うーん……このスキルの使い方とか、誰かに聞くわけにもいかないし、どうしたものか。なんか、鑑定スキル的なのがあればいいんだけどなぁ。
……創造魔法で作れたりしないかな。レベル∞って、カンストしてるって意味だよね?
しかも神域限界突破とか、超強そうなんだけど。まさかのチートスキルきたこれ?
よし、これはやってみるしかあるまい。
……どうやればいいんだ。
とりあえず適当に頼んでみるか。
(創造魔法さーん、なんか鑑定スキル的なの作ってくれーついでにスキルの使い方とかも教えてー)
《【創造魔法LV∞】によっ…*‰&?!~≒±ゞ◦
魔法行使に失敗しました。》
脳内に文字が出た。
……いや、冗談のつもりだったんだけど。
マジでしてくれるとか、さすが神域限界突破してる魔法だね。意味分かんないけど。
適当に言ったら失敗しちゃったから、次はもうちょっとゲームっぽくやってみるか。
(創造魔法で鑑定魔法を作成)
《【創造魔法LV∞】によって スキル【識別LV1】が作成されました 【識別LV1】は【スキル記憶】によって自動で記憶されました》
おお、きたよきたよ!
鑑定スキルじゃなかったけど、多分効果同じでしょ、これ。
んじゃ早速ステータス開いてやってみますか。
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【ルーラ・ケイオス】
2歳 女
HP :12
MP :33
攻撃 :3
防御 :4
魔攻 :6
魔防 :4
俊敏 :2
-スキル-
識別LV1
-魔法スキル-
創造魔法LV∞(神域限界突破)
-称号-
異世界人
創神
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よしよし追加されてるね。
それで、どうやって【識別】を使えばいいんだ?
昔読んだラノベとかだと、対象を集中して見れば使えたとか書いてあったな。
よし、創造魔法の文字を集中して見てみよう。ジ———。
するとまた頭の中に文字が出てきた。
《創造魔法:色々作れる》
いや、そうなんだけどさ! その通りなんだけど!
なんなの? めんどくさかったの? やる気がないの?
色んな意味で期待を裏切ってきたぞこいつ。
……とりあえず他のもやってみるか。
《異世界人:異世界の人》
……まあ、そんな感じになるんだなぁとは予想してたけどね。
LV1って予想以上に凄いな。逆に笑えてくるよ。
まあ、落ち込んでてもしょうがないから、他のやつも調べていくか。
《HP:体力》
《MP:魔力》
《スキル:SPを消費して使える》
《魔法スキル:MPを消費して使える》
《称号:勲章》
お? 意外と知らない単語が出てきたぞ。SP……ってなんだ? スキルポイントかな?
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【ルーラ・ケイオス】
2歳 女
HP :12
MP :3/33
SP :2/10
攻撃 :3
防御 :4
魔攻 :6
魔防 :4
俊敏 :2
-スキル-
識別LV1
-魔法スキル-
創造魔法LV∞(神域限界突破)
-称号-
異世界人
創神
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おお、なんかSP追加されてる。これを使って色々やんのかな?
結構減ってるけど、多分識別使った分だよね。
……とかやってたら、なんかすごい眠いな。頭がクラクラする。あれか、MPの使いすぎってやつか。なんかこれ、MP0になった途端に気絶とかしそうだな。
ともかくMPの使いすぎは禁物ってことか。戦闘中とかにMP枯渇してダウンとかシャレになんないしね。ていうかSPは少なくなっても何もデメリット起こらないんだな。親切設計ありがたし。
そんじゃ実験の成果を整理しようか。
まず、ステータスは俺のスペックを数値化して表してくれる。
攻撃とか防御とかを具体的な数字にして見せてくれるみたいだ。
あと、スキルと魔法スキルなるものもある。スキルはSPを、魔法スキルはMPをそれぞれ消費して使う。MPは使いすぎると精神に支障をきたす、と。
あとは称号。これは言わずもがなだな。
そして一番重要なのが創造魔法!LV∞で神域限界突破とかしてるし。
これはチートじゃないか?と思いつつ調べたものの、何もわからずじまい。
ただ一つだけわかったことは、識別とかスキル記憶とかのスキルなんかを作れたりするという事。
それ以外は全くわからない。識別さんが働かないせいなのだが、こればっかりはどうしようもないね。
以上が今回の成果。
うん、結局あんまり分かんなかった。創造魔法なるチートスキルっぽいの以外は特に目立ったのなさそうだし。
ただ、やはり初めて魔法を使えたっていうのは嬉しい。なんか、こう魔力を操ってる感じしない? するよね? 俺はしなかったがな。
ちょっと残念に思いつつ、眠気に耐えられなくなった俺は、深い眠りにつくのだった。