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40話 一位の実力

更新遅れました




 始業のチャイムが鳴る。

 次は魔法学の授業。

 魔法学は学年で一斉に授業を受ける。

 実践演習場という名のでかいグラウンドには100人ちょっとの一年生が並んでいた。


「えーこれから授業を始めますが、始めに一番大事なことを言いますので、よく聞いていてください。」


 魔法学担当の先生が言う。


「魔法は先生が指示したとき以外、絶対に使わないでください。けがをするだけならいいですが、最悪の場合人が死ぬこともあります。なのでくれぐれも魔法を勝手に発動することのないよう、注意して使ってください。」


 魔法学の授業では、座学で学んだ魔法を実際に使って魔法を学ぶ。

 そんで危ないから勝手に魔法を打つなと。

 めんどくさいルールだけど、魔法が使える=小学生にナイフを持たせるようなものだ。

 こういうふうに規制しないといつ事故が起こるか分らないからね。しょうがないね。


 先生が授業内容を説明していく。


「今回の授業では、自分に合った属性を知るということをやっていきます。様々な属性の魔法を使い、自分に合った適性の属性を見つけてください。それが、一生使っていく魔法の属性になるので、きちんと行いましょう。」


 なるほど。

 測定だけじゃ細かなところはわからないから、自分で実際に確かめてみるということだな。

 しっかしまあ、適正属性がない俺としてはクソつまらない内容にしか思えないんだが。

 

 ...まあ、やってみるしかないか。


「では、各自担任の先生の指示に従って始めてください。」


 この言葉を合図として、みんな魔法を使い始める。

 グラウンドに色とりどりの魔法が見え始めた。

 ああ、早く俺もやりたいぜ。


 と、ここで担任の先生こと貴族のおばはんが指示を出してくる。


「はーいみなさん!あなたたちDクラスのみなさんはあまりお上手にできないでございます。ですから、まずはわたくしがお手本を見せるので、よ~く見て、真似をしていただければいいでございますわよ。」


 え~めんどくさいな。勝手に使わせてくれよ。

 ていうかあいつ魔法使えんのか?


「では行きます。最初は炎の魔法です。」


 と言って大げさに動きを付けてから言う。


「【火玉】でございますわ!」


 すると、先生の手の先に小さな魔法陣みたいなのができ、小さい火の玉が生成された。

俺はびっくりして目を見張る。

これが……魔法というものなのか!


そしてそこから火球が勢いよく飛ばされた。

おお!良い感じだ!

 ずっと燃え続けるのか?と思いきや、火の弾は15mほど飛んだところで燃え尽きてなくなった。 


 ...なんか、意外としょぼいな。

 

 すると先生はどや顔で言う。


「どうですか?これが魔法というものです。では皆さんもやってみてくださいまし。まあできればの話でございますが!オッホホホホ!」


 くそ、うざったらしい言い方だ。

 ていうか火弾のスキルならすでに持っている。

 俺にでも使えるはずなのだ。

 

 そう、頑張れば俺にだって火の弾ぐらい出せるはず...


 ......よしっ!


「【火玉】っ!」


 唱えると、手に魔法陣が─――


《属性適正が0のため失敗しました》


「ぐあぁぁぁ!適正がぁぁぁ!」


 ああ!もう!

 適正なんて嫌いだ!大っ嫌いだ!


 周りから他の生徒の声が聞こえてくる。


「【火玉】...できないなぁ......」


「できた!やった!」


「これぐらい私にできて当然よ!」


「ぼ、ぼくはどうせできないから遠慮するよ……」


 やっぱりできる人とできない人がいるのか。

 できない人は俺絵だけじゃないよね。

うんうん。

よかった、仲間がいて。


 安心したところで、セシルの方を見てみる。

 セシルも一生懸命魔法を唱えているみたいだ。


「【火玉】!えいっ!」


 すると、セシルの前にひと際大きな魔法陣ができる。

 先生の使った魔法の3倍以上の大きさだ。でかすぎる。

 と思ったら魔法陣が一気に凝縮する。巨大な炎の玉が生成されると同時に発射された。


 玉は地面を焦がしながら50mぐらい進んだところでやっと消えた。


 すげぇ...。

 周りのみんながみんな口をあんぐりさせて、驚きのあまり固まっていた。

 

 一方のセシルはというと、


「やったぁ!できたよルーラ!今の見てくれた?」


 なんで俺にそんなに自慢するんだ...

 

「うん、見てたよセシル。すごい大きい魔法だったね。うん、なんか...すごい......おっきいです。」


 もういやだ。

 俺も魔法使いたい。


 と、ここで唖然としていた先生が、はっとしてこちらに寄ってきた。

 

 俺に何か用かな?と思って先生の方を見る。

 なんですか?と声をかけようとすると、先生は俺を無視してセシルの方に向かっていった。


「あらあらセシルさん、とってもすごいでございますわよ!こんなに魔法が使える人なんて何年ぶりに見たことでしょうか......。あなたは才能に満ち溢れているわ。魔法を愛し、魔法に愛されているからこそ、こんなにすごい魔法をつかえるのですええそうに違いないでございますわ。そんな魔法を使えるのもひとえに先生のおかげでございますわ。ですからもし貴族となり高貴なお仕事をなされるのでありましたら......」


 おいおい小学生に商談かよ。

 しかも貴族とつながりを持ちたいだけじゃないか?

 バレバレだぞ?


 ていうかセシルたんにそんなことさせないぞ!

 そういう虫からは俺が守ってやる!


 先生とセシルの間に割って入り、俺は言う。


「先生、貴族がどうたらこうたらって聞きましたが、なんの話ですか?」


 すると先生は顔をしかめて言う。


「あら?ルーラさん、Dクラスのあなたには関係ないことでございますわ。ほら、わかったらそっちの方に行っててくださいまし。今大事な話をしているのですから。」


 ったく、どうして貴族はこうもめんどくさいのばっかりなのか。

 しょうがないから俺が...


 と、後ろからセシルに肩をつつかれた。

 振り返ってみると、セシルは俺の耳元でささやく。


「私は大丈夫だから。ありがとう。」


 そういって先生の前に出ていく。

 先生は、俺がセシルに見放されたと勘違いしたのか嫌な笑みを浮かべてこちらを見ている。

 キモイな。


 しかしセシル、どうするつもりなのか。

 小学生の脳みそで考えてもどうにかなると思えないんだがなぁ。


 と、セシルがしゃべりだす。


「先生、貴族がなんとかっていうのはよくわからないです。でも、もし悪いことをしているようなら...」


 すると、セシルは誰もいない林に向けて魔法を唱えた。


「私に力を...【光線】!」


 瞬間、輝きの強い大きな魔法陣が作られ、レーザービームとでも言うような強力な光線が目の前に生成された。


 光線は地面すれすれを走っていき、100mほど伸びたところで背の低い木にぶつかって消えた。

 光線がぶつかった木は、轟音を立てながら崩れ落ちるようにして倒れた。光線が通った地面は高熱を帯び赤くなっており、衝撃でくぼんでいる。両方とも魔法の威力の強さを体現しているようだった。



 セシルは何事もなかったかのようにして続ける。


「———悪いことをしているなら、私のお父さんと校長先生と、それと私が怒っちゃう。」


 そして付け足すようにして言う。


「先生は悪いことしてるの?」


 光線に目を奪われていた先生が我に返り、あわてて言う。


「そ、そそそんな、学校の先生でもあるわたくしがそんなことし、してるわけないではないでございましょう!?」


 セシルはそれに満面の笑みで答える。


「ですよねっ!」


 そして俺の方を見てウインクした。


 いや怖えよ。

 なんでそんな脅しをかけられるんだよ。

 

 こりゃ、異世界の小学生なめちゃあかんな。

 俺の前世の3倍ぐらいスペックあるぞこれ。

 強すぎるわ。


 これがAクラス1位の実力か......。

 

 ていうか最初からこんな威力の魔法使えるとか、これって完璧チートじゃねぇか。

 俺のレベル∞スキルよりも強い気がするんだけど......。


「ねぇねぇルーラ、私の魔法どうだった?」


 セシルが聞いてくる。

 どうだったと言われても、俺には魔法が使えないから基準がよくわかんないんだよな...

 まあとりあえず褒めとくか。


「うん、すごかったよ。こんなに強い魔法を使える人なんてセシルが初めてだ。私なんて眼中にもないね。」


 ほんと、俺なんて敵にもならないだろうな。

 と、セシルがなぜか不機嫌そうに言い返してくる。


「本当に?」


 な、なんでそんなことを聞くんだ。

 俺は正真正銘魔法を打てない魔法使いなんだぞ?

 何を疑う必要があるっていうんだ!

 うわぁん!

 というか俺も魔法つかいたいんだよぉ!


 と心の中で嘆いていると、セシルが言って来る。

 

「ルーラの方が全然強いのに......」


 ああ、俺の力が認められないのが嫌なのかな?

 でもなぁ...創神化のことはあまり知られたくなし、ていうかあのスキルって諸刃の剣だし。

 使うと自分もボロボロになるってどういうことだよ。


 まあそれはいいや。

 

「セシルが私のことをわかってくれているなら、それで十分だよ。私はセシルと一緒にいられるだけで幸せだから。」


 これは本音だ。

 別に力とか才能を他人に認められたくて今ここにいるわけじゃない。

 ただ単に異世界の魔法とファンタジックな世界観を楽しみたいだけなのだ。


 それに俺の持っているスキルは努力して手に入れたものでもないしな。

 せっかくもらったから有効活用してるだけだ。

 俺自身が強いわけじゃない。


 だから、セシルが俺のことをわかってくれているならそれで満足だ。


 ぶっちゃけ、セシルたんをずっと見ていられるだけで俺はいいんだがな。

 目の保養、大切。


 と、セシルは何か納得しないような顔で言う。


「わかった...ルーラがそう言うなら......」


 ツンデレかな?


 全く、かわいいやつだぜ。

 今すぐ抱きしめてぎゅっとして可愛がってやりたいところだ。

 が、そんなことしたらセシルがレズだと思われてしまうからよしておこう。

 

 さて、一見落着したことだし、魔法の練習の続きでもしようかな......。



 俺がそう思っていると、向こうから厄介種の3人組がこちらに歩いて来た。


………誰だっけ。


明日も更新します

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