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3話 家族と

 転生してから1週間たった。

 ほんの僅かに言葉が分かるようになってきた。たった1週間で言葉を覚えるとか、幼児の頭は前世の俺の頭より性能がいいらしい。高スペックである。まあ他にやることが無かったからって言うのもあるけど。結局暇なのだ。


 それで、今世の俺の名前はルーラ・ケイオスらしい。

 お姉さんが何回も言ってたから多分これであってると思う。


 変な名前じゃなくて一安心だね。ちなみに前世は「安藤頭緒」という名前だった。「あんどうかみお」と読む。

 男だか女だか分かりにくいし、なんだよ「かみお」って。神の男なの? なんなの神様なの? って感じだった。


 なのでルーラ・ケイオスは大当たりと言えるだろうね。女の子だけど。


 そんなことを考えてたら、チャリンチャリンと家のチャイムが鳴った。

 誰か来たようだ。お姉さんが玄関に向かって行った。


「◆●▼◆●★■◆●▼◆」

「◆●▼◆★▲◆●▼◆」


 少しして愉快な話し声が聞こえてくる。何を言ってるかはわからないので、俺は全然愉快じゃ無いが。


 暫く会話が続いたあと、お姉さんと、その後ろに続くように見たことない人が3人部屋に入って来た。


 男一人と女二人だ。

 男は背が高い。180センチ以上あるんじゃないかと思うぐらいの背で、筋肉のついたチョビマッチョな体付きだ。清楚な青い髪を切りそろえて、イケメンとまではいかないものの、優しさと威厳を少しずつ兼ね備えた感じの顔をしている。


 女の方は、一人は中背中肉の体つきで、170cmいくかいかないかぐらいの背丈だ。こちらはおっとりとした目をしている。顔は近所にいそうな美人さんって感じだ。少し青みがかった綺麗な白い髪を肩まで下げている。


 あと子供が一人。身長が150cmちょいぐらいの女の子だ。薄赤の髪を腰まで下げている。なんか、猫って感じの子だ。顔がちっちゃくて、背もちっちゃい。


 するとちっちゃい方の女の子がこっちを見て来た。そしてキャッキャ言ってる。

 時々「かわいい」って意味の単語が聞こえてくるあたり、俺が可愛いんだろう。

 ……俺が可愛い? なんか自分で言ってて気持ち悪い言葉だな。あんまし嬉しくない。


 って考えてたら、その女の子に持ち上げられた。めっちゃベタベタ触ってくる。

 やめろ、俺の本体は男だぞ!

 そして女の子よ、胸を俺に押し当てるな! まだ幼いから当たり前だけど普通に胸が薄くて失望したぞ! じゃない、ちょっとはしたないぞ!


 少し離れて立っている男女二人はにこにこ笑顔だ。まるで本当の家族のような表情。


 ……もしかして、この人たちが俺の家族?


 それだと、いっつも俺の世話をしてくれてるお姉さんは侍女ってことになるな。意外とお金持ちの家庭に俺は生まれたのかな。


 そう思うと涙が出てくる。


 前世の小さい頃は割と貧乏だったからな。

 節約しろとうるさい親と口喧嘩した回数は数え切れない。

 それが、ちゃんと働いて稼いで、俺みたいな赤ちゃんに侍女までつけてくれる親がいるだなんて。VIPだよね。

 持つべきものは収入のある親だよ。うん。


 急に涙を流し始めた俺を見て、みんながびっくりした表情を浮かべてる。

 全く、貧乏な家庭に生まれてから裕福な家庭に転生したことのない奴らは分かってないな。いや、そんなやつ普通いないか。


 なんて変なことを考えながらの、家族との初対面だった。

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