12話 異世界カルチャートリップ
《条件を満たしました スキル【言語理解LV10】が【翻訳LV1】に進化しました》
おおっ!ついにきたぞ。新しいスキル、その名も翻訳。とりあえず識別しておこう。
《翻訳LV1:対象の言語・文字を翻訳し読み取る パッシブスキル》
おお、文字も追加されてる。これなら……
すっと視線を本へ向ける。………あれ?読めないぞ…?と思っていると、3秒ぐらいで頭の中に文章の意味が入ってきた。夢を見ている時と同じ感じの、もやぁーっとした文字しか浮かんでこないが、とりあえず文章が理解できないことはない。にしてもゆっくりだな。普通に読むより3、4倍時間かかるなこれ……地道にやってくしかないか………
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本を読みまくること約3時間(腹時計)。
《熟練度が一定に達しました スキル【翻訳LV1】が【翻訳LV2】になりました》
おっ!スキルレベル上がったぞ。読み取るスピードが……おお、少し早くなってる。普通の3倍ぐらいだ。遅いですねはい。でも今までよりは明らかに早くなった。よしよし。いいぞいいぞ。
それで、今俺は今何をよんでいるかっていうと、この辺りの地形が乗った地図とか近くにどんな国があるのとか、まあ要するに地理だ。書かれている内容はまとめるとこんな感じだ。
『シーマ王国』:比較的平和な国だがタチが悪い上級貴族が特に多い国。(奴隷はいない事になっているが一部の上級貴族の間で裏取引されていたりいなかったり。)商業ギルド南本部があることで有名。南東の方にある国で比較的涼しい気候。東に『魔界』、西に『アレキウス帝国』に挟まれており、南は海、北は山脈となっている。山脈を超えると『幻獣の住処』(銀樹が生えたお宝の場所と思いきや、見えない魔獣や低級ドラゴン、時々中級ドラゴンもいるので近づけない)があり、またかなり離れたところにある山脈を超えると獣人の『ハイライト共和国』がある。
という感じだ。獣人きたよ獣人!異世界だからいるかもしれないって思ってたけど、まさか本当にいるとは思わなかった。やったぜ、ケモミミを拝められる日も近い。俺の未来に明るい兆しが見えてくるね。ピッカピカだね。
あと、今俺がいる国はシーマ王国だと思う。というかシーマ王国だ。国旗が本に書いてあるんだけど、前に家に来た役人っぽい人の鎧に、同じ紋章がついてたんだよね。黒い炎を剣と杖で真っ二つにする感じの奴がね。ちなみに本によると、人々の力で厄災の火、戦争の火、魔物の火を消すというコンセプトらしい。厄災と戦争はわかる。厄災は雷とか台風とかで火事になったりするし、戦争は炎使って戦ったり、あとは戦火って言葉もあるしね。でも魔物って……炎の要素なくね?あ、でもドラゴンとか炎のブレス吐いてもおかしくないか。地下室で俺を襲って来た本も魔法使ってたし。あれが魔物なのかどうかは別だけど。
それはともかく、今俺がいるのはシーマ王国だが、もう少し詳しく言ってみると、
『シーマ王国』南西寄りの町『ミシェート』の町外れ(西)にある『ミエルバ森林地帯』
って感じになると思う。思うっていうのは、本当にここであってるのか分かんないからだ。時々魔物も見かけたりするが、窓から外を見てもほぼ林しか見えない。針葉樹みたいな背の高い木が生い茂っているのだ。というかどこを見ても木、木、木。そればっかりだ。ある日、森の中、くまさんに、出会った。って感じだ。どこぞの民謡完全再現だな。まあ出会うとしたら魔物だろうけど。
てことで、ミシェートの町外れのミエルバ森林地帯と言うのは俺の推測だ。まあ、涼しくて背の高い木が生えてるところは、シーマ王国にはここ以外ないみたいだし、おそらく合っているはずだ。
これが今回本を読んで分かったことだ。もうすでに時間は夕方だが、朝から読み続けてこれしか分からなかった。異世界カルチャートリップだ。言語って難しい。でも、今後も続けようとは思う。覚えるのが楽しい訳じゃないが、知ってて損はしない知識だと思うし、それに暇だしな。うん、暇だしな。大事なので2回言いました。はいここテストに出ますよ。なんのテストかは知らぬ。はいそこ意味わかんない言うなし。
そういえば昼飯食べてなかったな。今日はもう地下室での読書終わりでいいか。疲れたしな。早めに夕食を食べて、MPSP消費して寝よう。エマ姉さんが地下室来れなくなっちゃうけど、まあいいか。ざま……ふぅ。
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夜、ルーラが結界と識別を使ってる頃……
「ルーラがいないと入れないじゃない!」
悪だくみが実らないエマであった。