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9話 決意



おはよう。もう夜だけど。


昨日地下室でぶっ倒れてからその日の夜まで、俺はずっとベッドで眠ってた。MPほとんど使い切った感じだったし、それにあんな危ない目にあったし、精神的にも休息が必要だと俺の脳みそが判断したんだろう。いい脳みそしてるね、俺。

それで今起きたところというわけなんだが、なんか体が軽いな。しかも石の破片が刺さって怪我をしたはずなのに傷が治ってる。跡形もなく綺麗になっている。自動で再生する能力がついた訳でもあるまいし、なんで治ってるんだろう、と疑問を抱く。

あ、もしかして……。俺はおもむろにステータスを開く。


—————————————————


【ルーラ・ケイオス】

2歳 女 魔法使い LV 7


HP :62/62

MP :301/301

SP :107/107

攻撃 :52

防御 :53

魔攻 :6

魔防 :4

俊敏 :16


-スキル-

識別LV2


-魔法スキル-

創造魔法LV∞(神域限界突破)


-パッシブスキル-

言語理解LV1



-称号-


異世界人

創神


-加護-

魔法使いの加護


—————————————————


すげぇ、なんかレベル上がってる。しかもMPとSPが3桁いってるぞおい。本倒したからかな?てかあれ倒すとレベル上げられんのか。ただの本だったと思うんだけどな。

てか、魔法使いの加護ってなんだ?


《魔法使いの加護:魔法使いに送られる加護 神聖属性に適正ができる》


え、俺魔法使いになったの?いつの間になったんだ?……あ、水晶玉触った時か。なんか膜というか、結界っぽいの出てたしな。多分あの時だろう。

まじかー魔法使いか。木でできた杖で魔法を唱える訳でもなく、「僕と契約して魔法少女になってよ!」と言われる事もなく、ただ水晶玉を触っただけで魔法少女(仮)になったのか。いや、これはむしろ魔法少女(少女?)だな。中身は男だから、もしかすると魔法少女♂かもしれないな。あ、でもこれだとホモみたいになっちゃうからダメだな。無し無し。

とまあそれは置いておいて、次は神聖属性の適正の方だ。さっきの説明からすると加護を持ってる俺はすでに神聖属性の適正があるはずだ。つまり何かしらの効果があってもおかしくないはずだ。しかしこの説明だけでは分からない。ていうか属性ってなんなんだ。

………とりあえず識別だ!


《属性:識別に失敗しました。》


識別せんぱぁぁい!

こやつ…強いな。識別を識別してみた時に出てきた説明で、3級まで可能とか書いてあったから多分この情報はそれより上なんだろう。2級とか。いや4級のパターンもあるか。まあどちらにせよ属性についての詳細は分からないって事だな。まあ分かんなくても死ぬ訳じゃないし、別にいいか。

そんでもって、俺は魔法使いらしいんだけど、MPが多いのは分かる。あとHPが少ないのも分かる。でも、なんで魔攻と魔防がこんなに小ちゃいの?魔防は分からんでもないよ。だって魔法使いってどのRPGゲームでも基本紙装甲だったし。でもさ、魔法使いってさ、基本的に魔法で戦うよね。つまりさ、魔攻必要不可欠というか、なんていうか。魔法使いって魔攻あるもんなんじゃないの?ていうか魔法使いなのに魔攻がないとかどうなの?なんなの死ぬの?

そんなことをしていると、アメリーさんが来た。


「あっ!ハドソンさん!ルーラちゃん起きましたよ〜!」


俺に気づくとお父さんを呼んだ。すぐにドタドタと足音が聞こえてきて、3秒ぐらいでお父さんが来た。早いなおい。


「ルーラ!大丈夫か?怪我していないか?どこか痛くないか?」


どんどんまくし立ててくるお父さんに少し引く。


「だいじょおぶだよ!」


代わりに大っきい声で返答してニコっと笑顔を作る。相変わらず滑舌が悪い。赤ちゃんだしね。しょうがないね。

するとお父さんも微笑を浮かべる。


「そうか。そうか……よかった。よかった……!」


そう言いながらお父さんは涙を流し出した。そのまま抱きついてくる。お父さんの鼓動が伝わってくる。安堵した事が伝わって来た気がした。本当に俺は心配させてしまったみたいだ。これは…謝ろう。


「おとぉさん……ごめんなさい」


すると一瞬びっくりした表情をしたがすぐに笑顔に戻り、


「いいや、謝らなくていいよ。むしろ怖い思いをさせた俺が悪かった。地下室、暗くて怖かっただろう。ごめん、本当にごめんな。でも、俺はルーラが生きていてくれただけで十分幸せだ。ありがとう、生きていてくれて。」


そういいながらお父さんは俺の頭を撫でてくれた。いいお父さんだ。本当に優しいお父さんだ。俺が無茶して勝手に地下室に入っただけで、悪いのは俺で、お父さんは悪くなくて、それなのにこんなに優しくしてくれて。

俺は異世界にきて、魔法とかファンタジーっぽい物とかを見てうかれていたみたいだ。それに、家族とか人の繋がりとか、今まで生きてきた世界と違うしどうなってもいいやって心のどこかで思っていたのかもしれない。だけど、どんなにファンタジーでも、どんなに異世界でも、この世界にだって人はいるし、人の中には心もある。みんな頑張って生きてる。なのに俺だけが頑張らずにハッチャケて、人に迷惑をかけるなんて絶対だめだ。他の人の事を考えずになんでもやっていいなんて子供の考えだ。俺は体は赤ちゃんだけど、考えている頭の年齢はもう大人のはずだ。それなら、俺がやるべきことがちゃんとあるはずだ。家族にだって無用な心配をかけてばっかりじゃだめだ。

前世ではダメダメな俺だったけど、今世では何事もきちんとやっていけばそれなりになるはずだ。せっかく人生やり直せたんだから、頑張って生きよう。うん、そうしよう。


頭をなでられながら決意を固めた俺だった。

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