金と、銀と、銅と。 さーしーえー
(^_^;)いつもスローペースでごめぬです(笑)
あ、コミカライズ版の公開日、
ちとズレこみましたぬぬぬ(●´ω`●).*・゜
終わった……。
仲間と共に、見ていた。
「……」
「……イヴ、どうし、ょ……」
「「「「……、……」」」」
顔を振り、喋らないで、と。
メーチに促す。
「! ぃ、イヴ、……でも」
「静かに、なさい……」
メーチは私たち6人の中で、
一番、気弱な性格だ。
私の、キュイーヴルという名を、
イヴと略すのは、この子から始まった。
思いやりのある優しいメーチは、
殺伐とした私たちの生活で、少ない癒し。
でも……今は、静かにしてほしい。
彼女たちを。
刺激しては、いけない───。
「「 ── 」」
〔 グベ、バァァ・・・ギァ、ァ、ぁ……べろ、ぉ…… 〕
私たちを追いかけてきた怪異が、
くたばった。
木の幹……根の近くに、
無数の銀の杭で串刺しになり、
雷と火の魔法で、消し炭になっている。
明らかに……もう死ぬだけの怪異に。
金と銀の少女は──"追撃"した。
────ドドドドドドドドガガッッ・・・!!
「ひっ……!」
「……」
「「「「……」」」」
銀の少女の腕から、
さらにミスリルの杭が発射される。
金の少女の腕から、
回転する円状の刃が撃ち込まれる。
怪異は既に……原型を留めていない。
さらに、銀は電撃で焼き払い。
金は、炎を出し、炙った──。
──ごぉおおおおおおおおおおおおお・・・!!
「……」
「……、っ、ひぇっ……!」
「「「「……」」」」
あまりの有り様に、
メーチは怯えを隠さず、
私のアームメイルを掴む。
装甲の弾け飛んだ銅の鎧から、
肌が見える。
私と同じ、褐色の肌──。
「イヴ……! ぁ、あの子、ら……。な、なんなの……?」
「しずかに……。刺激してはダメ……」
私は──、、、
──冷や汗を、かいていた。
今まで、犯罪に近い稼ぎ方をし。
幾度も死線を超えてきたはずだ。
……が、こんなにも銅の鎧の中が、
ジワリとしたのは、初めてだろう──。
──バラァァァァァァ……。
……崩、れた……。
私たちが勝てなかったバケモノが。
少女のように見える二人に、消し炭にされた。
……、……。
アレを、すべて倒しきるなんて……。
特に、あの。
"眼球のバケモノ"──。
「……」
私の見間違いでなければ。
怪異は、確かに死に。
そして──進化した。
"存在進化"だ。
……間違いない。
魔物は、新しい力を得るために、
体を作り直す時がある。
たまたま属性が……重なったのだ。
あの眼球の怪異は、死に。
そして……偶然、"アンデッド化"した。
さらに恐ろしいバケモノとして、甦ったはず……!
そのはずなのに───……ッ!
「「 …… 」」
金と銀の少女は、
お互いの顔を手で掴み、
頬を……確認しているように見える。
先ほどの顔の傷を……気にしているのか?
「「 …… 」」
( ……! 傷が……治っている……? )
異様な……空気だ。
角度を変えながら、
互いの顔を、じっくりと見る少女たち。
顔に添え合っている、色違いの手が。
なぜか……恐ろしい。
まだ、その煌めく目には。
"狂気"が……宿っているように見える。
あのような多彩な攻撃を持つ者同士が、
至近距離で……触れ合っている。
……。
この二人が本気で戦えば、
どうなってしまうのだろうか……。
「「 …… 」」
じっくりと互いの顔を確認した二人は、
やがて、こちらに歩き始めた──。
── キ ン 。
── ギ ン 。
「……! イヴ! こ、こっちにくる……!」
「メーチ……落ちついて、静かに……なさい……」
存在進化した未知のバケモノを、
あれだけ一方的に、惨殺できる者たち。
そう。ふたり、だ……。
胃が、痙攣しそうになる。
理解している。
勝てる可能性は、ない……。
そして、逃げられない。
逃走の果てに、
より、恐ろしいモノに、
刃を向けてしまった──。
こんな……。
私は、考えなければ。
考えなければならない。
── キン …… キン ……。
── ギン …… ギン ……。
「……、」
「っ……」
近づいてくる金と銀に、
メーチは息を飲んでいる。
後ろの仲間達も、
もう、逃げようとはしない。
目の前の存在は……。
"格が違う"と、わかっている。
全員で戦っても、無理だろう。
だから────、
──すっ。
「「「「「 ……! 」」」」」
私はメーチと、
後ろの4人の仲間たちに向かい、
手をかざし──、
" 待て "の合図をする。
「な、なぜ……?」
「……ッ、……」
「イヴ、しかし……」
「「……」」
流れる冷や汗を、よく感じながら。
私は……近づく者から少しだけ目を離し。
自らを、見た。
(……、……)
剥がれた……自分の装甲の、下。
──アザの浮かぶ、肌。
そう。
鎧は、無惨に砕けているが、しかし。
まだ……"打撲"だけで済んでいるという、
確かな違和感──。
( "手加減"……、されていた? )
そうだ……。
あの二人と交戦し──、
──"死んでいない"、という現実。
あのバケモノを……二度も殺せる者たちが、
私たちを、"殺していない"。
血を流した仲間は、いないのだ。
────シャコン……!!
「……!!」
歩いてくる銀の少女が、
剣を、しまった……!
月明かりが、少しだけ視界を広げる──。
── キン …… キン ……。
── ギン …… ギン ……。
二人、共に。
煙のような、黒いマントを羽織っている……。
圧倒的な、存在感。
……。
説得するしか……ない──。
(イヴ……)
(……大丈夫)
不安を浮かばせる仲間を、庇うように。
1歩、前へと出る。
そして────。
ザッ……。
──キン……。
──ギン……。
向かい合った。
狂ったように怪異を嬲り殺した、
金と、銀の、少女たち。
だが……今は。
落ち着いて……いるようにも見える。
先ほどのように、
金の鎧は、太陽の如く咆哮はしていないし。
銀の鎧は、無数の剣を撃ち出す様子は無い。
あの怪異のように……触れただけで、
体を失う事は、ないだろう……。
再び……戦闘になってはダメだ。
しゃべら、なくては……。
切り出そうとした、が。
────先を越された。
「 質問させてくんなぃ? 」
「 ! 」
「「「「「 っ…… 」」」」」
「 何故、私たちをいきなり襲った? 」
「……」
金の少女の、質問。
思考。
……ダメだ。
考える時間は、悪手。
──。
「──……恐れながら。先に質問をひとつ、よろしいでしょうか」
「なに」
「貴女方は、吸血鬼ではないのですか?」
──沈黙。
質問を、質問で返した無礼は、
許されるだろうか。
「何故、そう思ったか、教えて」
「……!」
会話に……なった。
彼女たちが本気になれば、
私たちは、すぐに殺される。
正直に、……答えよう。
「……古来より。朧気な闇のマントを纏い、輝く眼を持つ人型の怪異──……。それこそが……私の知っている"吸血鬼"の外見です」
「「 ! 」」
「……あのような、おぞましい怪異を使役する事があると、聞き及んだ事があります──」
「 ──………。はぁ…… 」
「 むーっ 」
金の少女の方が、ため息をつく。
銀の少女が、フルフルした。
ずいぶんと……少女らしい、反応だ。
金が、会話を紡ぐ。
「オーケー……。つまり、あなた達は──」
「「「「「「 ……! 」」」」」」
「 ──あの犬コロ共と、目ん玉野郎。
アイツらから逃げてた先に、私たちが居て。
" ゲッ、コイツが主人か……!
まんまと誘い込まれたわ……! "
って、そう思った。そーゆーコト──? 」
「……」
「「「「「……」」」」」
私たちの沈黙は──、" YES "。
じっと……様子をうかがう。
はぁ、と。
金の、ため息。
「あんなぁ……。だからって……いきなり首、狙ってくんなよ……!」
「ふみゅ? じゃあ、かんちがいぃー?」
「「「「「「 …… 」」」」」」
私の不安は、多少、取り払われたと言える。
先ほどの、尋常ではない攻撃。
あの狂気が、
私たちには、向けられていない。
だが……油断はしない。
命が、かかっている。
さらに、質問された。
「……吸血鬼ってさ、私たちみたいな眼ェしてんの?」
敵意は少ないように思える。
素直に答えた。
「……力を持つ個体は、血のような黄金の眼を持つと聞きます」
「あぁ……。くそったれがァ……」
「ぶぅぶぅー」
金のほうは、口が悪いみたい。
「……よく聞きなさい、そこの6人……」
やれやれといった感じで、
金の少女の方が言う。
"銅の刑死者"は、息を殺した。
「私たちは──"レターライダーズ"。
ドニオスを拠点としてる冒険者よ!
アンタたちと同じ、人間だっての。
どっっちくしょうが……」
「むーっ。
わたしたち、吸血鬼じゃないもーん!」
……──。
「 ……"手紙を運ぶ者たち"……? 」
(●´ω`●)断罪配達。.*・゜










