ウラとオモテ
ぃ……いちが……
一月……ふにゃ、ふ、に……
バタッ_(:3>∠)_
【~完~】
【A-side】
ノウンチェイン≒ロザリアに宿りし記憶、
創世の七人の一人、ヒューガ・モーントは思い出す。
かつての、かけがえのない仲間のことを。
── " APPLE "。
初めて、ヒューガが彼女に会った時。
すぐに、遺伝子操作型だと分かった。
頭が、デカすぎたからである。
「いやまぁー、生まれた時から、わたしゃーこうだからよぉー! けっこー、このバランスは気にいってんだぜぇー? けけけ!」
大きすぎる頭部。
小さすぎるボディ。
肥大化しすぎた眼球の視力を補う、巨大なメガネ。
そんな、カートゥーンキャラクターのような彼女は、
いつも三つ編みを下げ、リンゴの髪留めをしていた。
彼女は『ステーション』で、
いつも楽しそうに、
各国のアニメ作品を違法視聴していたが、
彼女の歩んだ人生が平穏とは言えないだろうと、
皆が、察していた。
たった一度だけ、
ヒューガは、アップルのボヤキに付き合ったことがある。
彼女が自分のことを話したのは、
後にも先にも、その時だけだった。
「ニンゲンはよぉー……。やれる、ってわかったら、やっちまう。法に触れる事でも、世界のカタチを変えちまうヤツらがいる。ま、下でも楽しく生きてたんだけどよぉ……ある日、わたしの失敗作らがホルマリン漬けになってる部屋を開けちまって。やめときゃよかったんだよなぁー……。それから、こんなことは続けちゃいけねえ、と思って、楽しくなくなって……で、志願したんだ」
肉で作られたコンピューターは、
やはりダメか、と見限られ、
宇宙に送られたのだという。
「しっかし……楽しいぜ! あんた達は間違いなく! わたしの初めての仲間で、トモダチだ……!」
皆は、彼女をバカにせず、可愛がらず。
ただ、"一員"として扱った。
それが、彼女にとっては、
得難く、有り難いことだった。
世界が、書き換わった後。
彼女が行ったのは、
まさしく──"自己犠牲"であった。
「──誰かが……やんなきゃいけねぇ。んでもって、根は成長して、"ネットワーク"になる──」
創世を成した七人のひとり。
"木曜日"を司る者、"アップル"は、
樹木型の流路構築システムを、
星に張り巡らせるため。
自らの身体を、
植物型デバイスへと変換する────。
──── " 聖樹ネットワーク " 。
彼女によって、
この星は、擬似的なネットワーク環境を、
構築し始めたのである。
そして、ローザは察していた────。
〘------もし……"精霊花"が;
------"聖樹の苗木"なのだとしたら……☪︎.*・゜
------クラウンの能力が;
------アップルのネットワークに;
------同期しているのだとしたら……!☪︎.*・゜〙
白銀の鎧に咲き誇る、光色の精霊花たち。
ローザには、花開く、それらの花弁が。
ステーションに咲いていた、
アンテナ群に、見えてならない────。
──"権限者"は、実行した。
『────設定分析。』
クラウンは、"設定資料"を閲覧する────。
──それは────…… 。
【B-side】
聖女は、答えてくれた。
「……今回の件。盗賊団の仕業などではないと、私は睨んでいます」
「!」
「……そうなの?」
「この度の一連の事件では……人的な被害は、ほぼ出ていません。盗難にあったと報告が上がった件は、逃げ出した商人が商材を放置し、衣服や食料を魔物が荒らした結果であるとわかっています」
「……盗賊団など、存在しないということ?」
「襲ってきた人たちは、武器を持っていたと聞きました」
「武装した者が襲いかかってきたという報告は、私も受けています。その行動には……実は特筆すべき点が、ひとつ、あるのです」
「「?」」
「まず、地面を殴っているんですよ。襲撃者さんたちは、必ず──」
「……!」
「地面……ですか?」
「人を使い、確認させました。まず地面を殴り、おどすような行動を毎回、取っていると」
「……それが、いったい?」
「何の意味があるんですか」
「……。これは、魔物が縄張りに侵入された際の、初歩的な威嚇行動のひとつです」
「「……!!」」
「冒険者ギルドの方々は、まずそこをはき違えています。襲われたというよりも、追い返されたのです」
「……"威嚇"って……!」
「でも、実際に体を殴られた人たちもいます」
「直接、鎧を殴られた者は、地面を殴られた後に戦いを挑もうとした者たちでした。そして、逃げだした者たちを襲撃者は全く追撃していません」
「「……」」
「 " 何らかの人型の魔物が、縄張りを主張している " 」
「「……!」」
「それが、わたしの見解です」
「人型の、魔物……?」
「ヒトではないのですか?」
「まだ不確かな点がある事は認めます。ですが……強固な魔物の個体には、武装した種族は多数存在します。そして──それが" 集団で群れている人型 "であるなら、その警戒度は格段に引き上がります」
「「……」」
「ここは……"砦"の街です。部下を従えてる人の形をした魔物がいるかもしれないとなると……わたしは"魔人"、もしくは……"それ以外の可能性"を疑わなくてはなりません」
「まじん……?」
「それ、いがい……?」
「今、この街は薬草不足です。もし、盗賊団などではなく、ギルドの想定していないレイド級の魔物が発生しているのだとしたら──。わたしがクエストを差し止めた理由、お分かりですね……?」
「……む……」
「、……」
先ほどまでとは違う様子の聖女に。
アンティは内心、彼女を見直していた。
食堂娘は、思考する。
(えっと……つまり。もし、このヒトの推測が当たってたとすると……? 皆の予想より、遥かに危険な魔物が"縄張り"を主張してるかもしれなくて──。そこに全員で、薬草も無しに突っ込むのは自殺行為、、、だってことだよね……?)
落ち着いて、
考えをまとめつつある、
アンティ・クルル。
逆に、話の流れが終わり、
自らの興味を隠せない、
リビエステラ──。
「そ、そのっ、ところで……その、ミスリルの鎧の花は……?」
やべ、と思うアンティ。
聖女の簡潔な説明は終わってしまった。
アンティは、苦肉の策を開始する。
「よっと──」
「──!?」
花の美しさに気を取られる聖女の前で。
アンティの取った行動は、
"マントの中からケーキを出す"、
というものである。
そして、金色の手には、いつの間にか。
紫の不思議なフォーク。
「ぁ、あなたも食べる?」
「い、いえ……。アイテムバッグですか?」
「ん? ふふ、秘密っ☆」
アンティは何となく余裕こいた芝居をしながら、
ケーキをすくった、フォークの魂に願う──!
(イニィさぁん……! この子の心、見えるっ……!? なんか秘密ニギらないと、私たちの秘密、ぶちまけ放題よぉ……!)
フォークに宿る魔王は、難色を示す。
{{ うーん……ダメねぇ。この子、ほとんど心の色が見えないわ。"認識阻害"ってスキルのせいかな……? 王冠ちゃんは、よくこの子のスキルが見えたわねぇ! }}
今代の魔王を以てしても、
リビエステラの心は読めず。
「……。やはり、お姉さま方には……幾つか聞きたい事があるのですが──……例えば、その鎧……継ぎ目がありませんわよね?」
聖女はまた、未知の情報を求め始める。
(ま、まだなの……!? クラウン、ローザ……!)
交渉のカードは、ドローできたのか・・・?
『────こ:これは……。』
〘------キタぁぁ──☆〙
†┏┛墓┗┓†
〇 〇 〇
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