神官ねえちゃんティータイム
れーぇんとぉーう。
ゆり話は連投で流すに限る(((;゜Д゜)))。
私たちのバトル中に、
けっこう神官ねぇちゃんは、しゃべったらしい。
「聞いたぞ……。王城の窓から跳んで逃げたそうだな……」
「あはははー……アンティさん? マイスナさんも。そんな事をその格好でやったら……演劇になっちゃいますよぅ?」
「う、うるひゃー!!」
「だ、だって……!!」
あの謎のおばばばばばが──!!!
「しかも、お前たち……。どうやって王城から抜け出したのだ? あそこの騎士達の警備は、かなり厳しいはずなのだが……」
「あら、優秀な神官たちの存在を忘れてはいけませんよ?」
アマロンさんが、ヒゲイドさんに食ってかかってる。
……あんま、仲良くないのかな?
「……はぁ。プレゼントを渡せたのは良かったが……。
本当、なのか……?」
「……!? な、何がですか……?」
ヒゲイドさんは、一拍、おいて──。
「──"大司教マザー・レイズ"に目を付けられている、というやつだ」
「 ──ッッ!!! 」
思わず、キッ、と!
アマロンさんの方を見てしまう!
「そ、そんな目をしないでほしいわ! 私だけで抱え込むには、かなり大き過ぎることなのよォー!!」
「……その前にアンティ。コイツがお前の"能力おろし"の担当だったというのは、本当か……?」
「こ、コイツとは何ですかぁ──!?」
──そ!
……そんな事まで、話しちゃったのか……!
う……、うぅ……。
「ほ、本当、です……」
「……! やれやれ……。ということは……」
「……えーぇ、えぇ! もちろん私は、アンティさんのファミリーネームも、出身地も知ってますよォー……! というか、何なんです? そんな義賊の格好して……隣の子も狂銀ちゃんだし。あなた、隣街の子でしょう? なんで正体を隠してる風なの……?」
神官ねぇちゃんが、ペラペラしゃべるぅ。
うぅ〜〜おうあぁ〜〜!
こっちは色々、あんのよぉ〜〜……!!!
「やれやれ、どうしたものか……」
「困りましたねぇ……よりにもよって……」
「な、なによぅ! なんなのよぉうー!」
ヒゲイドさんとキッティが、
苦渋に満ちた顔で首を捻っている。
「いや……正直、おかしいとは思っていた。何故、新しいスキルが発見されたというのに騒ぎにならないのか、とな……。まさか、大司教クラスが隠蔽に回っていたとは──……」
「なんか、頭が追いつきませんね。私、まだ夢なんじゃないかと……」
「「……」」
あぁ。イチャイチャの後には、
ツんラい話題だなぁ……。
「おい、アマロンよ……」
「……つーん。私はほとんど、何も聞かされてませんよォーだ……。とにかく、"歯車法"とアンティさんを隠せ、としか言われてません! 本当に、何も知らないったら知りませんよー……!」
アマロンさんは、両ひじでアゴを支えて、
口をとんがらせて、そう言った。
あいかわらず、神官さんにしては、
ずいぶんと表情豊かな方だこと……。
「……アンティ、心当たりはあるのか? マザー・レイズだぞ?」
「いや……わかんないです、けど……」
……。
「髪の色が、マイスナに似てた、かな……」
「──!! 会ったのか──ッッ!?」
ヒゲイドさんの大きな椅子が、
──ガっ! と動いた!
こっちを見たアマロンさんの顔が、
少し、青ざめている。
「そ、そんな驚くことかな……?」
「……アンティ、その大司教がなんと呼ばれているか、知っているか……? " 貴族殺し "だぞ……?」
「それは……! 知ってるけど……」
「ひゃわー……」
キッティが、キョロキョロしながら、
全員の様子をうかがっている。
アマロンさんが、声をあらげた。
「あなた……! あれだけ、気をつけろって……!」
「しょ、しょうがないじゃん! 連れ込まれちゃって……」
「つれこまれただと!?」
「え? え? どゆことですか……!?」
「あー! もうっ! ちょっと待って!!」
一気にそんな、言われてもねぇ……!?
「……そんな、わるい人じゃないもん」
──マイスナが、ぽつんと。
「わるい、人じゃないもん……」
「……」
「……」
「……」
……。
あー……。
「……王城から逃がしてくれたの、マザー・レイズなんです」
「「「 ……! 」」」
「正直に言うと……なんか、いい人でした。いや、不思議な感じだったんだけど……──」
思い出しながら、言葉にする──。
「──すごく、本当に私たちを、心配してくれてたような……」
「……」
「……」
「……私たち、だと? アンティだけではなくて、か?」
「だよ、ね……?」
「うん……」
マイスナと見つめ合って、
その後、ふたりで頷く。
「……ふむ。……ワケが、わからんな……」
ギッシリと。ヒゲイドさんは、
魔王ソファに座り直した。
「はいっ」
アマロンさん、挙手。
「……ここに私が来たのは、そこなギルマスと、キッティ辺りが……、一連の事に一枚、噛んでそうだったからよ。むしろ……私はこの件に関して、かなり情報弱者なの。正直、不安だわ。その銀髪の子の事も、よく知らないし……」
「「……」」
「で、質問なんだけど」
んぅ……?
「アンティさんのチカラって、そんなにヤバいんです?」
「 ぐ 」
う、う〜〜〜〜ん…………。
どうすっぺぇぇ〜〜〜〜!
「……アンティ。マイスナ、よいか……?」
「うあぁ〜〜〜〜」
「……それ、言っちゃったら一緒だと思う」
「あはは……」
「? ??」
うー……。
本名、知られてるしぃ……。
マザーの情報も、欲しいしぃ〜〜……。
ここまできて、仲間はずれってのもなぁ〜〜……。
「ま……マイスナ?」
「……ん。私は、いいよ」
そ、そう言ってくれるならぁ……。
「お、おーけー、ですぅぅぅ……」
「…………すまん」
「な、なによぅ。そんなにすごいの? 歯車法……!?」
アマロンさんは、冷や汗気味で、ソワソワしている。
「ふぅ……色々あるが……。では、大きな所から、行くか……」
「アマロン、あなた今日は時間あるの?」
「え? えぇ……。今日と明日は、何もないですから……」
キッティとアマロンさんは、
なんだかフレンドリーだ……。
ふぬー……。
これが、正しいコトかどうか、
私には、わからない。
でも────ヒゲイドさんは、
ザッパリと、切り出した────。
「──アマロンよ。
コイツらの王冠とティアラには、
それぞれ宝石のような物が、付いているだろう──」
「──? え、えぇ……」
「──それは、時限結晶なのだ」
「 」
アマロンさんは、
紅茶のティーカップを持ちながら、
真顔で固まった。
とうとうバレたか……(^_^;)










