表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1066/1216

うさギのココロ。さーしーえー

たまに取り憑かれたように

一気に書き切って、

ろくに直さずに投稿する時ある




 マイスナが、キラキラと笑っている。


 壁に空いた穴が、キラキラと──。



 たぶん、私たちは、解決した。


 やっと、何かが、終わった。



 その証拠が、今みたいな。


 ポカポカとした、


 どうでもいいような、


 でも、幸せな感じだったり、




 それでも。


 それでも……、






「うさ丸」






 天守閣の、おおきな、あなの先。



 ポツンと、屋根のヘリに、

     ∩∩

 (すわ)り込む勇者を見て、


 私は、ドキリとした。





「……ぅさ、まる……」




 ポカポカとした陽気の中で、


 白い後ろ姿は、残念そうだった。


 忘れては、いけないものが、あった。




「「 …… 」」




 マイスナと、顔を見合わせ、


 やはり、彼のほうを向く。


 ぶっとい耳は、


 しんなりと、()れ下がっている。



 どう声をかけていいか、

 よく、わからなかった。


 見ず知らずの、

 それでも、同胞(どうほう)たちが、

 死にに、死にまくった想像を、

 私たちは、できなかったからである。



「……」

「……」



 私たちは、私たちが、

 (たが)いに、死んだ時のことを想像し、

 彼の気持ちを理解しようとするが、


 もはや、この身も体も、

 おたがいが死ぬ時は、

 どちらも終わる時だと理解していて、

 むしろ、多幸感さえあり、

 つまり、狂っていた。



「……」

「……」



 もう、私たちが、

 狂っているかどうかは()(かく)

 つまり、私たちは、

 はげましかたを、探しあぐねていた。


 今は、甲高い足音が、

 少し、にくかった。


 大きな音を立てて、

 大きな耳の彼に、

 考えもなしに、近づくのが、

 正直……あさはかに思えたからだ。


 でも、見ているだけでは、

 ダメだという……客観視だけで、

 私は、ちかづいた。





「……」

「アンティ……」





 ……キン。



 キン──、キン──、


    キ────。






「 、  ……ッ……! 」






 うさ丸を見て、おどろいた。


 (くろ)い、()() を、持っていたからだ。





 うさ丸は、ドロップしていた。





 あの、心臓を撃ち抜かれた、


 その、命の(あと)(くさ)れを、


 音だけを頼りに、


 彼は、見つけていたのだ。




『────顕現化(マテリアライズ)

 ────して:いたのですね……☼』

「……」





「にょきっと……」




 うさ丸は、まっくろの、

 うさ耳の生えた()()を持ちながら。

 お城の屋根の、はしっこで、

 チョコンと……落ち込んでいたのだ。




「……、── 」




 何か言葉をかけようとして、

 でも、数メルトルテ後ろで、

 無言を、(つらぬ)く。




『────:……分析完了(アナライジング)


 ────〖 サイカイ ドライブ 〗☼


 ────……"タクティカル・ドライブ"です……☼』





 "タクティカル・ドライブ"という、

 たまに、カタカナ名でドロップする、

 この、歯車のことを、


 私たちは、まだ、

 何も、わかっていなかった。




『────"すべてをかけて:

 ────サイカイする"……☼』


「……」





 そんなことが……可能だろうか。


 あの、まっくろに練り上げられた、


 セイに、しがみつく、


 無理やり(おとし)められた、


 イノチを……バカにされた、


 ウン万のタマシイが、


 かえって……くるのだろうか。




『────:……申し訳:ありません……☼

 ────これ以上は……分析:不能です☼』




 それは。



 違うと思った。


 都合よく、すべてが……生き返る?


 それは……そうなったら、


 それは……。


 そうゅうコトじゃ……ない。





 誰かにとって、


 これは、物語かも、しれないけれど。


 私たちに、とって。

  

 そんな……ご都合主義で、


 運命を……(もてあそ)ばれて、なるもんか──。





「……」


「……にょん」





 ……いや、それとも。


 うさ丸は、よみがえって……、


 ほしいのだろうか。


 いや、それは……そぅ、か……。



 うさ丸は、さびしそうに、


 おひさまの下で、


 黒い輪っかを、


 赤いグローブで持って、見ている。





「……にょき、にょき」


「……!」





 話しかけられた。






「……にょきっと、な……」






 クラウンが、翻訳する。






 " これが……生きていた、

  意味に、なるのかな…… "






「 …… 」






 たぶん、私ごときに。

 

 その答えは、でなかった。



 分かることは、


 このウサ玉は、


 思った以上に、落ち込んでは無く、


 しっかり、受け止めていて。


 それで……かなしさも、あった。



 たいした、ウサギだった。




「……、……」




 私は、そばに、しゃがむしか無い。


 なっさけねぇ、義賊コスプレ食堂娘だ。


 思いつこうとして、


 やっぱり、思いつかなかった。




「……」




 何か、できることは無いかと、


 言葉を、届ける……以外で。



 ……。



 ……ひとつだけ、思いつき、


 クラウンに、依頼する。




『────:……!☼

 ────:……本当に:

 ────排出(はいしゅつ)して:

 ────よろしいのですね……?☼』

 



 私は、ソレを、亜空間から、取り出した。


 白い……うさ(みみ)の、歯車(ギア)



 ────" テンセイ ドライブ "。





「 ── 」


「 ──にょ? 」




 うさ丸に……もうひとつの、

 イノチのギアを、わたす。


 うさ丸は……。

 両手にそれぞれ、


 しろい、うさ(ミミ)()()と、

 くろい、うさ(ミミ)()()を、


 持っている。



「……にょきっと、なー」



 うさ丸は、泣き(さけ)んだりは、しなかったが、

 戸惑(とまど)っている、みたいだった。


 ……そうだね。

 どうしていいか、わかんないよね。



 ただ……私は。

 コレを……コイツに、

 隠し続けるのは……、

 その……イヤだったのだ。


 誠実、では、ない。

 私は、伝えたかった。


 それが、良いコトかは、わからない。

 

 彼も、このふたつの、()()が、

 "同じ種類のモノ"だと、

 理解……できているはずだ。



「にょきっと、なぁ……」



 うさ丸は、空に、

 ふたつの輪っかを、かざす────。





 ──ピボ。








 ────────────────────


 ──条件:『 (エン) 』を 達成 しました▼


 ────────────────────





「……ッ!?」

『────っ……!?☼』





 ────────────────────

       『 (エン) 』

 ・三柱の火神の間接加護下に入る

 ・レベル300以上に到達する

 ──────────────────── 





『────バカな……☼

 ────この:ポップアップ:

 ────ウィンドウは……☼

 ────私の管理下のモノでは:

 ────ありません……!☼』




 そのウィンドウは、

 " さいしょのむねあて "から、

 直接(ちょくせつ)──出ているように思えた。




 ────────────────────

  『 (エン) 』の効果により

   "うさ丸さん" の 装備枠が

   3枠に なりました▼


   E1:ほのおどらいぶ

   E2:ーーーーーーー

   E3:ーーーーーーー

 ────────────────────





「これ……、っ、て……」


「 …… に ょ ? 」





 ────────────────────


  " テンセイ ドライブ " と

  " サイカイ ドライブ " を


   装備 しますか?  ▼



     YES     NO


 ────────────────────





「……、……、、……──  」







 私の、金色の指先は──。



 ふるえて、いたが。



 なにかに、とりつかれた、ように、





 ────" いえす " を、押す──。







 ────ピ──。




────────────────────


    〖  うさ丸さん  〗


   E1:ファイアドライブ

   E2:テンセイドライブ

   E3:サイカイドライブ


   ドライブ効果が発動しました!▼

────────────────────




 きゅきゅきゅ……──。


 きゅきゅきゅきゅ────ゥウ。



 ────カチン。







挿絵(By みてみん)


「…………にょんやあ?」





 うさ丸のグローブを通った、


 ふたつの、うさ耳ギアは、


 おさまりが良く、装備されている。



 ……肩から、


 白と、黒の、うさ耳が、(のぞ)いている。



 しっぽの、赤い歯車(はぐるま)からも、

 うさ耳が、生えたようだった。




「……にょきっと、やぁ」




 うさ丸は、反応に、こまっている。




「……」




 私は、どうにか言葉を、

 しぼりだしたが、


 15のクソガキ食堂娘に、

 気が利いたコトなんざ、

 言えねーと、直感する。



 ──(チョー)クソ、テキトーな事を、

 のたまってやった。



 勇者の、あたまを、なでる──。






 なで、なで ──






「いっしょに──」


「……にょん?」


  いっしょに、さ。

  ()れて()ってやって、、、

  くんねーかな ──

             」


「 ── 」







 うさ丸は、少し、

 呆気(あっけ)に取られていたけど──、







「 ── にょきっと・・・なっ 」







 おひさまのしたで。



 しっかりと、うなずいたのだ。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
[一言] ゴメン、うさ丸、大事なものって、分かってるんだけど、洗濯ばさみで挟み込んでいるようにしか見えないんだ(;・∀・) にょきっとなぁ(*´▽`*)
[良い点] > 軟質化とか… うん。 しないといろいろ不便だよね。 特に、うさ丸さんをクッションがわりに抱き抱えるときとか。 [一言] 大丈夫。 きっと『りんごポイント』でなんとかなる!
[良い点] うさ丸さんかっこかわいいくなったな(さーしーえーの時に白黒うさ耳ギアの書き忘れが発生しそうでちょっと心配) すべてをかけるタクティカルドライブが正しく揃ってプログラムアドバンスする時何が起…
2022/06/07 05:49 ズブロッカ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ