うさギのココロ。さーしーえー
たまに取り憑かれたように
一気に書き切って、
ろくに直さずに投稿する時ある
マイスナが、キラキラと笑っている。
壁に空いた穴が、キラキラと──。
たぶん、私たちは、解決した。
やっと、何かが、終わった。
その証拠が、今みたいな。
ポカポカとした、
どうでもいいような、
でも、幸せな感じだったり、
それでも。
それでも……、
「うさ丸」
天守閣の、おおきな、あなの先。
ポツンと、屋根のヘリに、
∩∩
座り込む勇者を見て、
私は、ドキリとした。
「……ぅさ、まる……」
ポカポカとした陽気の中で、
白い後ろ姿は、残念そうだった。
忘れては、いけないものが、あった。
「「 …… 」」
マイスナと、顔を見合わせ、
やはり、彼のほうを向く。
ぶっとい耳は、
しんなりと、垂れ下がっている。
どう声をかけていいか、
よく、わからなかった。
見ず知らずの、
それでも、同胞たちが、
死にに、死にまくった想像を、
私たちは、できなかったからである。
「……」
「……」
私たちは、私たちが、
互いに、死んだ時のことを想像し、
彼の気持ちを理解しようとするが、
もはや、この身も体も、
おたがいが死ぬ時は、
どちらも終わる時だと理解していて、
むしろ、多幸感さえあり、
つまり、狂っていた。
「……」
「……」
もう、私たちが、
狂っているかどうかは兎も角、
つまり、私たちは、
はげましかたを、探しあぐねていた。
今は、甲高い足音が、
少し、にくかった。
大きな音を立てて、
大きな耳の彼に、
考えもなしに、近づくのが、
正直……あさはかに思えたからだ。
でも、見ているだけでは、
ダメだという……客観視だけで、
私は、ちかづいた。
「……」
「アンティ……」
……キン。
キン──、キン──、
キ────。
「 、 ……ッ……! 」
うさ丸を見て、おどろいた。
黒い、歯車 を、持っていたからだ。
うさ丸は、ドロップしていた。
あの、心臓を撃ち抜かれた、
その、命の後腐れを、
音だけを頼りに、
彼は、見つけていたのだ。
『────顕現化:
────して:いたのですね……☼』
「……」
「にょきっと……」
うさ丸は、まっくろの、
うさ耳の生えた歯車を持ちながら。
お城の屋根の、はしっこで、
チョコンと……落ち込んでいたのだ。
「……、── 」
何か言葉をかけようとして、
でも、数メルトルテ後ろで、
無言を、貫く。
『────:……分析完了☼
────〖 サイカイ ドライブ 〗☼
────……"タクティカル・ドライブ"です……☼』
"タクティカル・ドライブ"という、
たまに、カタカナ名でドロップする、
この、歯車のことを、
私たちは、まだ、
何も、わかっていなかった。
『────"すべてをかけて:
────サイカイする"……☼』
「……」
そんなことが……可能だろうか。
あの、まっくろに練り上げられた、
セイに、しがみつく、
無理やり貶められた、
イノチを……バカにされた、
ウン万のタマシイが、
かえって……くるのだろうか。
『────:……申し訳:ありません……☼
────これ以上は……分析:不能です☼』
それは。
違うと思った。
都合よく、すべてが……生き返る?
それは……そうなったら、
それは……。
そうゅうコトじゃ……ない。
誰かにとって、
これは、物語かも、しれないけれど。
私たちに、とって。
そんな……ご都合主義で、
運命を……弄ばれて、なるもんか──。
「……」
「……にょん」
……いや、それとも。
うさ丸は、よみがえって……、
ほしいのだろうか。
いや、それは……そぅ、か……。
うさ丸は、さびしそうに、
おひさまの下で、
黒い輪っかを、
赤いグローブで持って、見ている。
「……にょき、にょき」
「……!」
話しかけられた。
「……にょきっと、な……」
クラウンが、翻訳する。
" これが……生きていた、
意味に、なるのかな…… "
「 …… 」
たぶん、私ごときに。
その答えは、でなかった。
分かることは、
このウサ玉は、
思った以上に、落ち込んでは無く、
しっかり、受け止めていて。
それで……かなしさも、あった。
たいした、ウサギだった。
「……、……」
私は、そばに、しゃがむしか無い。
なっさけねぇ、義賊コスプレ食堂娘だ。
思いつこうとして、
やっぱり、思いつかなかった。
「……」
何か、できることは無いかと、
言葉を、届ける……以外で。
……。
……ひとつだけ、思いつき、
クラウンに、依頼する。
『────:……!☼
────:……本当に:
────排出して:
────よろしいのですね……?☼』
私は、ソレを、亜空間から、取り出した。
白い……うさ耳の、歯車。
────" テンセイ ドライブ "。
「 ── 」
「 ──にょ? 」
うさ丸に……もうひとつの、
イノチのギアを、わたす。
うさ丸は……。
両手にそれぞれ、
しろい、うさ耳の歯車と、
くろい、うさ耳の歯車を、
持っている。
「……にょきっと、なー」
うさ丸は、泣き叫んだりは、しなかったが、
戸惑っている、みたいだった。
……そうだね。
どうしていいか、わかんないよね。
ただ……私は。
コレを……コイツに、
隠し続けるのは……、
その……イヤだったのだ。
誠実、では、ない。
私は、伝えたかった。
それが、良いコトかは、わからない。
彼も、このふたつの、歯車が、
"同じ種類のモノ"だと、
理解……できているはずだ。
「にょきっと、なぁ……」
うさ丸は、空に、
ふたつの輪っかを、かざす────。
──ピボ。
────────────────────
──条件:『 焱 』を 達成 しました▼
────────────────────
「……ッ!?」
『────っ……!?☼』
────────────────────
『 焱 』
・三柱の火神の間接加護下に入る
・レベル300以上に到達する
────────────────────
『────バカな……☼
────この:ポップアップ:
────ウィンドウは……☼
────私の管理下のモノでは:
────ありません……!☼』
そのウィンドウは、
" さいしょのむねあて "から、
直接──出ているように思えた。
────────────────────
『 焱 』の効果により
"うさ丸さん" の 装備枠が
3枠に なりました▼
E1:ほのおどらいぶ
E2:ーーーーーーー
E3:ーーーーーーー
────────────────────
「これ……、っ、て……」
「 …… に ょ ? 」
────────────────────
" テンセイ ドライブ " と
" サイカイ ドライブ " を
装備 しますか? ▼
YES NO
────────────────────
「……、……、、……── 」
私の、金色の指先は──。
ふるえて、いたが。
なにかに、とりつかれた、ように、
────" いえす " を、押す──。
────ピ──。
────────────────────
〖 うさ丸さん 〗
E1:ファイアドライブ
E2:テンセイドライブ
E3:サイカイドライブ
ドライブ効果が発動しました!▼
────────────────────
きゅきゅきゅ……──。
きゅきゅきゅきゅ────ゥウ。
────カチン。
「…………にょんやあ?」
うさ丸のグローブを通った、
ふたつの、うさ耳ギアは、
おさまりが良く、装備されている。
……肩から、
白と、黒の、うさ耳が、覗いている。
しっぽの、赤い歯車からも、
うさ耳が、生えたようだった。
「……にょきっと、やぁ」
うさ丸は、反応に、こまっている。
「……」
私は、どうにか言葉を、
しぼりだしたが、
15のクソガキ食堂娘に、
気が利いたコトなんざ、
言えねーと、直感する。
──超クソ、テキトーな事を、
のたまってやった。
勇者の、あたまを、なでる──。
なで、なで ──
「いっしょに──」
「……にょん?」
「
いっしょに、さ。
連れて行ってやって、、、
くんねーかな ──
」
「 ── 」
うさ丸は、少し、
呆気に取られていたけど──、
「 ── にょきっと・・・なっ 」
おひさまのしたで。
しっかりと、うなずいたのだ。










