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緑坂恋物語  作者: 高柳陽路海
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交換日記スタート

「うぅーん・・・とーしーみーつー、どんなのがいいと思う?」


「いや、そんなん俺に聞かれたって知らねーよ。そうだな、一言アドバイスをするのであればあれだな・・・男が使ってても女が使っててもあんまし違和感が無くてちょっとオシャレな感じのでいいんじゃねーのか?」


「いやいや、それがどんなのか分かんないからこうやって聞いたんでしょうが。お前ってあれだよな、時々ポンコツだよな〜」


「あ゛ぁ゛?その空っぽの頭吹っ飛ばしてやろーか?おぉ?」


そんな事を言いながら俺、九之瀬大和悩みまくっていた。(さかのぼ)ること数時間前、俺は高校入学式の時から一目惚れしていた市立緑坂高校のマドンナ、小鳥遊華希とひょんなことから交換日記をすることになった。その時の俺は嬉しさの余り舞い上がっていたが中学からの親友、瀬谷俊褌の一言によって軽くどん底に落された。


「交換日記するのは別にいいと思うけどよ・・・お前女子が使ってても違和感の無いノート持ってんの?」


恥ずかしながら(わたくし)九之瀬大和は勉強など全くしない人種であり、ノートと言えるノートはすべて学校の机の中で家に帰っても女子が使っていそうなノートなど持っているわけも無く、学校帰りに立ち寄ったゲームショップの店内で叫んだ。しかもレジの前で。


「・・・・・・すいませんやっぱり、予約してたゲームソフト。また後で取りに来ます」


「!!!お前がゲーム買うのを諦めるなんて珍しい」


「・・・まぁ、その代わりに俊褌にはまだつき合ってもらうがな」


そう言ってゲームショップを後にし、俺はゲームショップが少し離れたこの文房具店にやって来たのだ。そして今に至る。



「そんなことより、男子が使ってても女子が使ってても違和感の無いノートねぇ。水玉のノートなんてのはどーだ?」


ノートの並んだ商品棚の中から無造作に取り出したのは青色の表紙の上に赤い水玉模様の描かれているノートを俊褌の前に差し出し尋ねてみた。


「うーん・・・まぁ女子が使ってても違和感は無いけど、お前が使ってるのを想像するとねぇ・・・やっぱり違和感があるなー・・・これなんかいいんじゃねーのか?」


そう言って俊褌の差し出してきたノートはホワイトタイガー柄のノートだった。そんなのを使っていて違和感が無いのはお前だけだ。と言い返しまたノートが並んでいる商品棚に目線を戻した。



「・・・・・・これなら大丈夫じゃねーんかな?」


「おぉー、大和にしては中々いいセンスじゃないの」


俺が手にとったのはちょっとオシャレなワンポイントが入った大学ノート。なぜだか分からないがことノートを見た瞬間、優しいそよ風に吹かれながらこのノートをめくって微笑んでいる小鳥遊が浮かんだ。


「ノートはこれでいいとして、後はペンだ」


ペンはカラーボールペンを赤と青の二色買った、そして俺は家に帰り早速今日の事を日記に綴った。翌朝俺は昨夜書いたノートと小鳥遊に上げるための赤ペンをバックの中にしまって学校へ向かった。


「たっかなっしさーん!おっはよー!!」


「・・・おはよう、ございます。」


「あれ?何か俺引かれて無い?」


「・・・正直に言いますけど、かなりドン引きしてます」


「えぇー・・・どうすればいいのさ」


「まぁ良いわ、それで?他にも用がある?」



「あっ!そうだ!渡したいものがあったんだ」


俺はバックの中から例のノートと赤ペンを取り出して小鳥遊に差し出した。


「これ!この前言ってた交換日記のやつ・・・嫌だったかな?」


「・・・・・・分かったわ、明日あなたに渡せばいいのね?」


「うん!ありがとね!」



俺はそう言って足速に玄関を後にし教室へと向かった。そして日記の一ページに書き込まれていた文を見てクスクスっと微かに笑う声が聞こえた。


4月20日火曜日


今日は嬉しいことがありました。それは小鳥遊さんと会話ができたことです!はたからすれば会話と呼ぶには余りにも短いですが喋れた事には変わりないので満足です。そして小鳥遊さんと経緯はどうであれ、交換日記をすることになるとは思いもよりませんでした。これからは短い文になっちゃうかもだけど、これからもよろしく!


九之瀬大和。


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