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白の竜騎士物語  作者: 涙涙涙
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Lv95 氷の竜

トンネルを抜けるとそこは、、、

雪の世界だった。


なんてな。


元の世界でのオレの地元は雪深い田舎町だった。背丈を超える雪に囲まれながら歩くオレは少しばかりノスタルジック。



「しゃっけー!なまらしばれる、、、なんてな」



きしむ雪を踏みしめながら歩いていると、氷穴が見えてきた。



「この奥から石の反応を感じるな。氷の洞くつ、なかなか冒険心をくすぐる」



雪の降る景色を越え、キラキラと光る氷の洞穴へと進んでいく。



ーーーーーーーーーーーー



「ギギー!」



ガシャンッ!



「ふぅ、随分数が多いな。氷のトカゲ、アイスリザードってとこか」



奥に進むにつれて魔物が姿を表していた。


氷の蝙蝠、アイスバット。

氷のスライム、アイススライム。

氷の蜘蛛、アイスチュラス。


およそ人が訪れそうにない天然の洞窟内には氷の魔物が溢れていた。



この魔物たちから採れる魔石は氷のようにヒンヤリとしているが溶けない。熱い地域に持っていけば重宝しそうだ。



「だいぶ奥に進んだけど、、、」



入り口から30分くらいは進んだだろうか。

広めの通路の一本道がずっと続いていた。



「、、、あっ!広間に出そうな入り口がある」



通路から一転、かなり広めの大広間に出た。



「これは、、、凄いよ」



広間の天井には氷でできた天然のシャンデリアの様な様々な形の氷柱が垂れ下がっている。



そして、広間の中央には祭壇があった。



キョロキョロとあたりを見回す。




「ここの守護者はいないのかな?」



カツン…



一歩祭壇に足を踏み入れる。


ゴゴゴゴと地鳴りが響く。




「、、、ですよね~……」




広間の壁面の氷が徐々に崩れていく。

氷の岩壁は、竜の形に変わっていった。




「グオオォォォーーーッ!!」



氷の鱗で覆われた巨大な西洋風の竜が出てきた。

勇ましい咆哮を上げている。




「我が名はルシール、氷結竜なり!小僧、我の眠りを妨げるとは、良い度胸をしている。。。。な?、、、??ん?」



オレの顔を見てルシールという竜が何やら驚き、戸惑っている。



「こ、、、小僧。つかぬ事を聞くが、以前漆黒の竜と出会ったことはあるか?」




グルルルと喉を鳴らしながら氷結竜が尋ねる。



「あー、、、黒竜のバランかな?なら、出会ったことはあるぞ。友達だ。ワケあって今は封印されたような感じだが、オレがその力を受け継いでいる」




「誠か!?しかし、ヤツが封じられるとはにわかに信じがたいが。。。」




「上級神6柱が相手だったからな、証拠に。。。ほら」




ゴゥッ




黒の竜装備に見を包んでみる。




「そ、その漆黒の姿!その黒炎、、!?まさしくヤツの。。。ひ、、ひぃーーー!!やはり!やはりやはり!あの暴走竜の力を感じると思えば!あわわわわわ」




なんだ?いきなりがくブルし始めたぞ。

巨体が震え氷がパラパラ落ちてる。



「なにがあったか知らないが、バランは今動けないしオレは何も、、、」


「黙れ!?小僧にはわかるまい!『暑いから』という理由で氷の地から連れ去られ、灼熱の溶岩の上でペロペロとアイスキャンディーのように舐め回される屈辱など!!?おかげで魔石以外は殆ど舐め尽くされ、再生に百年ほどかかったわ!!」




………あいつ、、、なにしてんの??




「そ、それで。このような地に何用じゃ!?」



「ああ、実は……」



オレは経緯をルシールに話した。



「ふむぅ…なるほどの。しかし、我もこの地で乙女を護るのが努め故そう簡単には、、、」



『かまいませぬ』



「この声は、、、乙女よ!しかし!!」



『花嫁のため妾達を求める者よ、こちらへ…』



オレはその声の元に歩き出す。

ルシールがグルルルと喉を鳴らして睨んでいるが、悪いがオレはお前に恨まれることはしていない。



祭壇の上には白い光を放つ透き通る水晶のような石が浮かんでいた。



『妾は【嫉妬の乙女】。ようやっと会えたのう。さぁ、憤怒のや強欲のと同じく妾を連れて行くが良い』



「ああ、、、でも、ルシールは良いのか?」



『あやつは好き好んで妾を守護していただけじゃ、竜は光る物に目がないからのう』



その話はどこかで聞いたことがあるな。

竜の棲家には財宝が置かれている、とか。



『そうじゃ、他の乙女も探しておるのであろう?ここからちと遠いが、もう一人の乙女の場所を知っておる。戯れで姉妹のような仲を演じている乙女なのじゃが、よければ案内するかえ?』



「おぉ、そいつは助かる。頼むよ」



『わかり申した。ではルシールよ、しばらくの間世話になったの。これよりそなたは自由の身じゃ、どこへなりとも行くが良い』



「グルル…乙女よ。我は此処がもはや棲家となっている。守護するものはなくなれど、この氷穴で平穏に暮らすとしよう」



『さようか。では、さらばじゃ』



オレは転移魔法で氷穴の入り口に戻ってきた。



『、、、そなたはよほど規格外じゃのぅ…』



「えっ?どうしてだ??」



『祭壇の広間から出てからならまだしも、氷結竜の竜の気が充満している言わば天然の魔法結界になっているあの場所から転移できるなど、、、やはりこの世の理から外れているのぅ』



そうか。

やはり人と竜と神の気を併せ持つオレは普通じゃない、、、か。



『さあ主よ、我が姉君はあちらの方角じゃ』



乙女が石から一筋の光を放ち方角を示す。



「おし!もう暗くなってるから道案内頼むよ!」




オレは竜の翼を広げ、氷の世界から飛び立った。

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