Lv78 もう少しだけ、、、
「ふぅ、、、、」
バシュンと鎧を外すチハヤ。
「か、カナデ様っ!!?」
カナデの元に駆けつけていたライアが叫ぶ。
「チー様、カナデ様が!?」
チハヤもカナデの元に駆けつける。
「くっっ、、、傷がヒドイな。。。」
「チー様、、、??」
チハヤは風呂に向かって歩く。
「結構砂埃とかで汚れたな。ライア、少し離れててくれ」
『ウィンド』
風呂の水を風で全て吹き飛ばす。
『ウォーター』
少し勢いの強めな水で浴槽を隅々まで洗い流す。
『ウィンド』
再び風で汚れた水をとばす。
「右手から『ファイア』、左手から『ウォーター』、交われ!」
暖かいお湯を風呂に満たす。
跪き指先で湯加減を確かめる。
「よし、大丈夫だな。ライア、小剣をかしてくれないか?」
「え、ええ。どうぞ、、、どうしますの??」
チハヤはそのまま左腕の柔らかい部分に小剣を押し当てる。
「せぇの、、、、!」
「いっっ、、、、チー様、腕を!?」
柔らかな部分とはいえ、切った小剣の方がパキンと折れてしまった。腕には一筋の傷がついたのみだ。少し血が出ているだけ。
チハヤはその腕をお湯に浸け、グルグルと搔き回す。
「、、、ごめんライア。剣、折っちゃった」
「いいえ、そんな、いいのですわ!わたくしには、チー様がわたくし専用に考えてくださったこのメイシールがありますもの。遅れてしまいましたがお礼を言わせてください、ありがとうございました」
ライアが深々と頭をさげる。
「いやいや、でも、気に入ってもらえたようで良かったよ」
「はい!とっても!!」
ライアが嬉しそうに微笑んだ。
「と、急ごうか」
チハヤはカナデを抱き上げ風呂に向かう。
「竜の血のお風呂で傷を癒すのですね」
「ああ、ナナが居たら回復してもらえるんだけどな。。。カナデ、ちょっとごめんよ」
カナデの着ている鎧を外し、肌着のみにする。
そして、静かにそっとお湯に浸からせた。
「よし、傷が塞がっていくな。ライア、お前も脱いで入りなよ」
「えぇっ!?ぬ、脱だなんてそんな、チー様ダイタン、、、でも、あぁ。。。逆らえませんわ……」
「いやいや、変な意味じゃないから!?それに、全部脱がないでも、ライアも傷を負ってるみたいだから入っておいた方がいい」
「は、はいっ!ですわね、わたくしったら、、、はしたない!!」
イヤンイヤンと顔を両手で隠している。
そして、ライアが鎧を脱ぐときにぶるるんと揺れたものをオレは見逃すわけはなかった。
「ふぅ、、、、回復しますわ。。。あ、でもカナデ様の様子が……」
「あぁ、顔色が悪いな。。。馬に踏まれたんだ、内臓が損傷しているかもしれないな」
チハヤも上着は脱ぎ、湯船に入りカナデを見る。
踏まれたお腹のあたりを少し押すだけでカナデの顔に痛みが現れた。
「くっっ、、、うぅ」
「やっぱり、内臓が痛んでそうだ。。。ナナの回復魔法があれば、、、、、仕方ない」
チハヤはグッと唇を噛み締めた。
血が出るほどギュッと。
それを見ていたライアが痛そうにする。
「つっっ、、、チー様、何を、、、、、!!?」
そして、チハヤはそっとカナデに唇を合わせた。
「チー様!?な、何をいきなり!!?いいなぁ。。。。。わたくしも………じゃ、なくて!そうですのね、血を直接体内に!?」
唇を重ねたままチハヤが頷く。
カナデの喉がコクンとなったのを確認した。
と、同時に。。。。。
「っっっっっ!!!!?」
カナデの目が見開かれた。
「ん〜〜〜〜〜、、、、、、ん………」
最初は暴れようとしてたが、すぐに力を抜いたカナデはクタっとなった。
「っっっっっ!!!!?」
今度はチハヤの目が見開かれた。
カナデがチハヤの首に両腕を回し、力いっぱい引き寄せている。
「んんんん、、、、、、んぱっ、、、はぁ、はぁ」
「はぁ〜〜〜、、、、、ごっそさん!」
「カナデっ!?おま、、舌を、、、」
「ん〜?なんや、あかんかったん?初めてやったし、下手やったんかな??チーやん美味かったし上手かったで」
「そ、そういう問題じゃ、、、」
「カナデ様、、、、いいなぁ。。。」
「やろ?これでチーやんはウチのもん〜♩」
「ず、ずるいですわ!!わたくしも!?」
「こらこら、今はそんな場合じゃ、、、、、」
スクっとカナデが立ち上がった。
「へへへ、冗談やて。続きは夜にでもゆっくりとな。せやけど、ソッチもウチは初めてやし、優しくしてな♩」
「わ、わたくしも初めてですが多少荒々しくてもそれもまた、、、、、!!!」
「こらこら、張り合わない、、、、」
「さて、ほなクソ親父にリベンジしにいきますか!」
「あ、、、でも。カナデ様のお父さまの強さは。。。」
「ああ、わかっとる。今のウチじゃ敵わへんことはな。せやけど、ここで引いたら一生勝てへん気がしてな」
「カナデ様、、、、、」
「カナデ、コレをあげるよ」
チハヤはキュイーンと光る槍を具現化した。
穂先は大剣のような形で刃先は薄っすらと赤く光っている。その根本と柄には鎖が巻かれていた。
「これは、、、??」
「グングニル。″俊敏″と″探索″の神のもつ神器だ。オレの友達の体の一部を封印していたものさ。大事に使ってくれ」
「チーやん、、、、、ありがとな」
カナデが受け取った瞬間槍が輝いた。
「この槍、すごい力。。。。。これがあれば百人力やっ!ほな行ってくるで!!」
ザバッと勢い良く湯船を飛び出したカナデはすごい速さで街の入り口に向かって駆け抜けていった。
「カナデ様ーっ!鎧はー・・・行っちゃったですわ」
「う〜ん、、、ま、大丈夫だろう」
「そんなに、ですの、、、??」
「あぁ、オレがここまで力をつけたのも、神々の神気を取り込んだからなんだ。その力を宿したカナデだから、神様くらいの奴にじゃないと負けることはないよ」
「そうでしたか、、、、はいっ!それに、カナデ様はお強いですものね!信じますわ!それより、、、、、」
スススッとライアがチハヤの側に近づき、、、
ピトっ
「ら、ライアさん!!?」
「わたくしも今はこの二人の時を、、、」
チハヤの肩にコテンと顔を預けるライア。
「は、はは、、、、まぁ、少しだけなら。。。。」
う〜む、、、、、柔らかい……
髪の毛も良い匂いがする………
ああ、オレってこんなに女好きだったのかな……
「違いますわ」
「えっっ!?なに、エスパー!!?」
「なんとなく、チー様のお顔が不安なというか自信のないというか、そんな顔してましたので、なんとなく」
「そ、そんなに顔に出てた、、、かな」
「はいっ。わたくしもそうですが、みんなチー様の外見だけではなく、内面的なものや人間性、お優しい心に惹かれているのですよ。例え、誰かと逢瀬をしていても、それが自分にも向いている気持ちと感じると、凄く幸せな気持ちになるのですわ」
「そ、そうなのか、、、、、」
「はい!ですから、ほんのわずかな時間ですが、今はこのまま、、、、、ですわ??」
「、、、、、うん、わかったよ。ライア」
う〜む、10代の女の娘に諭されるとは。。。
オレはこの娘にも、
ホンワカした雰囲気の優しい美少女ライアにも、好意を抱いてるんだろうなぁ。。。
さっきカナデと救護活動とはいえ咄嗟にキスした時も、嫌な感じはしなかったし、むしろ嬉しかったし。。。
男としてまだまだだなぁと強く想うチハヤであった。




