Lv5 素潜り
「話が長いアルね。もう撃ってもいいアルか?」
「あら、そ〜ね〜。竜も諦めモード、アーサーも完全に興味無くなったみたいだしチハヤちゃんとはもっと楽しみたいけど、そろそろかしら」
「終幕」
「ひっひっひ」
神々のそうきだ……もとい、光の玉が輝きを強めていく。
これは、確実に消滅させられる気がする力を感じる、と千早は焦る。
「っっおぃ!竜!オレの名前、は、チハヤだ!ニノミヤチハヤ!!お、お前の名は!?」
「いきなりなんだ。。。?まぁいい。
我が名はバラン。この世の生き物の頂点に君臨する真祖の竜種なり!」
「バラン、、か。かっこい、いな!この状況、なんとかか、できないか!?」
「チハヤとやら、今の我の状態では動くこともできん。せめて、我が肉体に刺さる武器の1つでも抜けたら変わるやもしれんが」
「おっっっけぃ!そ、れが聞ければ十分だ!!!」
渾身の力を振り絞ってチハヤは身体を動かした。いや、正確には身体ではなく重心を動かす。
自身の足元に広がる池に向けて。
ドボンッ!
『、、、!いける!身体が動くぞ!』
竜の血と魔力が染み込んだ竜水と呼べる池に飛び込んだ途端、身体の自由が戻ってきた。
「ちぃっ!往生際が悪いアルよ!」
いの一番にティーファが池の中のチハヤとバランめがけて光の玉を投げ付けようと振りかぶった。
瞬間、ティーファの視界を遮るように黄金の鎧の腕が目の前に現れる。
「待て。。。面白そうだ」
アーサーがティーファを含め神々を制止した。表情には若干の笑みが浮かんでいるように見える。
チハヤは数年ぶりの素潜りの感覚を思い出しながら水底のバランへと向かって泳いでいった。