Lv45 弟にできること
「おやおやこれはいらっしゃいませ」
「その口調も久しぶりだねぇ」
「か、カリーナ姉さん。。。!?」
「よしよし、ちゃんと覚えてるようさね」
もうすでに姉さんをつけて呼ぶようにしこまれていたんだなリック……
「お、おや。カリーナ姉さんが防具屋に用とはめずらしいことですね?」
「あたしじゃなくてあたしのダァリンだよ」
「ダァリン??」
ども、と頭に手を乗せ軽くオレは会釈した。
「おやぁ!?あ、貴方まさかこの人に脅され………!?」
ドゴォ!
と音を立ててリックに姉さんの左回し蹴りが決まった。
「誰が脅したって??」
「お、やゃゃ………」
「実はさリック、この本にカギがかかっていてミスリルのカギじゃないと開かないらしいんだ。ミスリルの塊は持ってるんだけど、作れるかな??」
オレは懐からミスリルの魔石を取り出しリックに見せた。
「お、おや。。。全然心配してくれないんですね、貴方もひどいお人だ………」
「あ、ああ。大丈夫かい?リック」
「もういいです!?ん……と、これはすごい逸品ではないですか」
リックがミスリルを上下左右からジロジロと見回している。
「おやおや、正直私はミスリルの加工経験がほとんどありません。鉄製の防具に使われている少量のミスリルに触ったことがある程度でして。それに、細かい仕上げ調整や装飾ならまだしも、このミスリルをカギの形に加工することはできないと思います」
「そうなのか。難しいんだな鍛治って」
「おやおや、これは申し訳ありません。こういうのはラックが得意です。あの人は力技で鉱物の加工をするのが得意ですから」
ーーさっきと同じかーー
「なら、ラックと一緒にやればいいんじゃないか??」
「へっ!?嫌ですよ、誰があんな野蛮な人と!?」
う〜む。
二人揃って同じ反応か。
「申し訳ありませんが、そういうことなので!」
リックがオレと姉さんの背中をグイグイ押して店の入り口に出されてしまった。
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「やっぱり双子だな、お互い同じような反応してるや」
「そうだねぇ。でも、二人で取り掛かったらできるってのはわかったね。それなら簡単さね」
えっ?
と、それ以上は言わずに姉さんはツカツカと武器屋に入って行った。




