Lv44 兄にできること
「おぅおぅ!いらっしゃりやがれ!」
「その口調も久しぶりだねぇ」
「げぇっ!?か、カリーナ。。。!?」
「姉さんをつけな、またはっ倒すよ」
またって、一度はっ倒されたんだなラック……
「お、おぅ!お前さんが何の用だい!?」
「あたしじゃなくてあたしのダァリンだよ」
「ダァリンだ??」
ども、と頭に手を乗せ軽くオレは会釈した。
「げぇっ!?お、お前こんなオンナに捕まったまったん………!?」
ドゴォ!
と音を立ててラックに姉さんの右回し蹴りが決まった。
「誰がこんなオンナだい??」
「お、おぉぉ………」
「実はさラック、この本にカギがかかっていてミスリルのカギじゃないと開かないらしいんだ。ミスリルの塊は持ってるんだけど、作れるかな??」
オレは懐からミスリルの魔石を取り出しラックに見せた。
「お、おぅ。。。ちっとも心配しないたぁ、やるじゃねえか小僧………」
「あ、ああ。大丈夫かい?ラック」
「もういいぜ!?ん……と、こいつぁ随分たいそうな代物じゃねえか」
ラックがミスリルを上下左右からジロジロと見回している。
「おぅ、正直おれぁミスリルなんて加工したことがほとんどねぇ。鉄製の武器の装飾や部分的に使われているのを少し触ったことがある程度だ。だから、カギの形に大雑把に加工できるが、細かい仕上げや装飾はできねぇと思う」
「そうなのか。難しいんだな鍛治って」
「おぅ、すまねぇな。こういうのはリックのが得意だ。あいつぁ細かい性格してるからな」
ーーひらめいたーー
「なら、リックと一緒にやればいいんじゃないか??」
「へっ!!誰があんな奴と!?」
「・・・そか。じゃあ、とりあえずリックに話を聞いてみるよ」
「おぅ!じゃあな!」
ーーーーーーーーーーーーーー
オレたちは武器屋を出て向かいの防具屋を向く。
「姉さん、あの兄弟仲悪いのか??」
「いやぁ、昔はそんなことなかったさね。それぞれが鍛治の道に進んでお互いに無い物を持ってることに気付いて嫉妬してるだけさぁね」
「ふぅん。オレは兄弟いないからわからんけど、兄弟ってそんなもんなのかな?」
「さぁねぇ。兄弟をつくってみたら少しはわかるんじゃないのかい??」
ん〜?といった笑みを浮かべて姉さんがオレの顔を覗き込んでくる。
「さ、さぁ!冗談はさておきリックに話に行こうかな!はは……」
オレはそそくさと防具屋に入っていった。
「もう、随分ウブだこと。冗談なんかじゃないのにねぇ。。。」
カリーナ姉さんがそんなことを小さく呟きながら後に続いて防具屋に入っていく。




