Lv35 赤鬼、泣いた
カタカタカタカタ
ジャラジャラ……
ナナのステータスが″祈りのセオロ″に現れた。
「ちょ!ヤバっ、、、、!!」
一般人よりずっと高めのステータスだった。
が、驚いたのはそこではなかった。
・
・・
・・・
【ナリナ・ツキヨミ】
《《《総合D》》》
体力★★
魔力★
強さ★★
頑強★★
俊敏★
命中★
知力★
[魔法属性]聖
[固有スキル]鬼化
「・・・ナリ、ナ??」
思わずオレは疑問系になった。
「・・・」
ナナはバツが悪そうに黙っている。
他のみんなも黙っている。
「あ、あのね……」
「うん……」
「あた、あたし、ね。ホントの名前、ナリナって……言うの。。。森で拾われたとき側にあった札に名前が書いて、あったんだって。で、でね。物心ついたときに育ててくれた両親から教わって、本当の名前を誰かに知られたら………」
「命を狙われるから隠せと言われたんだろう??」
「カリーナ姉さん。。。うん……」
喋べりにくそうなナナに代わり姉さんが説明し始めた。
「かつて海の向こうの大陸で″最強″と呼ばれる一族がいた。みんなももう知っての通りナナは″鬼″の生き残りだよ。今はもう人間達の総攻撃を受けて誰一人残っちゃいないだろうさね。そして、一族の中でも特に強く、人間の物語や昔話でも出てくることのある『鬼神』と呼ばれた血統があったのさ。それが、、、ツキヨミ」
「あ、あの鬼物語の??ですわ」
「それならウチも小さい頃よく聞かされたよ。悪い子は鬼神に食べられるぞってな」
「鬼神怖い」
「私も実在するとは思ってなかったが…」
この世界にも御伽噺のようなものがあるのだな。
というか、ナナは最強の鬼の末裔だったのか。。。
「それで、最初に名前を聞いたときに一瞬考えてしまったんだな」
「う、うん。ゴメン、ね?チハヤ……嘘ついて、騙してたの。。。」
そんな泣きそうな顔するな。
「別に、隠してただけで騙してたわけじゃないだろう?オレにだってナナや皆んなに言ってない隠し事の一つや二つはあるしな。それとも、他になにか下心があったのかなぁ?」
オレは、ワザとイヤらしい顔をしてナナに聞いた。
人によっては、ふざけたヤツだと心象悪く感じる人もいるだろうが、オレみたいな男はこんな気遣いしかできない。不器用でけっこう。
「そ!そんなわけないじゃない!!」
案の定、ナナが怒った顔で言い返してきた。
だから、オレはフッと力を抜いて答える。
「なら、いいじゃないか。ナナはナナさ。ナリナって名前も可愛いけど、もうすっかりナナで定着したしな。愛称、ってやつだな。それに、ナナの本名もしれたし、一つ仲良くなれた気がするしいいんじゃない?」
なっ?とオレは全員の顔を見回した。
皆んな、微笑んで頷いている。
「ナナは、怖くない」
「うむ、ナナ殿はナナ殿だな」
「ナナさんのこと好きですわよ」
「んなくだらんことでウジウジするより、今度手合わせやな!最強の鬼の力、ウチが見たるわ!!」
「みんな………」
ナナの顔が、くしゃくしゃになっちゃった。
「だろ?オレ達の仲間で、ナナの素性を振りまくやつなんかいないさ。だから安心してよ」
もう一度、オレたちは頷いた。
ナナの頬に涙がこぼれる。
カリーナ姉さんが続けた。
「お嬢ちゃん。あたしはね、昔若い頃、全盛期ってときに鬼のツキヨミの血統と喧嘩したことがあるんだよ」
「え…?それって。。。」
「おっと、お嬢ちゃんの親だったかどうかはわからないよ?だがね、そいつは本当に、強かったさ」
「負けちゃった、の??」
「あぁ、コテンパンさ。このあたしゃが手も足も出なかったよ。しまいに『両手を使わせたから、すごいね』なんて言われちまった。周りに強いやつがいなくて魔王すらも倒し、天狗になってた鼻っ柱は見事に折れちまった」
全員が、口を開けて目を丸くした。
カリーナ姉さんが手も足も出せずにコテンパン。。。。。。やばたん
「だから、そんな血統の血があんたには流れてるんだ!胸はるんだよ!!あたしにだってリベンジする権利はあるんだ、メソメソしてたらはっ倒すよ!?」
「。。。は、はい…!!!」
きっと、
抱えてることがドンドン膨らみすぎて、想像以上にナナの心はきつかったんだろう。
ナナはそれから、しばらく泣いていた。。。




