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白の竜騎士物語  作者: 涙涙涙
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Lv26 模擬戦

マスケ王について階段を降り、廊下の突き当たりの壁を開けると兵士達の修練場にでた。


王の姿を見た兵士達が即座に横一列に整列し、跪く。


「皆の者、普段からの修練ご苦労!ときにセリーヌ。セリーヌはおるか?」


列の中から素早く一人の騎士が前に出た。


「は!王よ、ここに!」


鉄の甲冑に身を包み、北欧系の綺麗な顔立ちと長い金髪の女性だった。


「お、女の人、ですか。。。」


セリーヌと呼ばれた女騎士がキッと睨む。


「……だったらなんだ?貴様、私を愚弄する気か!?」


「い、いや!そんな気は全くない!ただ、模擬戦をやるのに女の人だったらなかなかやりにくいなと思って…」


「それが愚弄しているというのだっ!そもそも模擬戦とはなんだ!?答えろ!!」


「まぁ落ち着けセリーヌよ、余が説明しよう」


「しかしっ!・・・失礼いたしました。ご無礼をお許しください」


セリーヌがグッとこらえ改めて跪く。


「では、改めて紹介しよう。この騎士が我が国で兵師団長を務めるセリーヌである。10歳の頃から兵として訓練を受け、今では若干18歳にしてこの国では彼女の右に出る者はいない剣技をもちいている」


へ〜。若くて美人で強い女剣士か。

けっこう憧れるな。


「セリーヌ、こちらは旅の冒険者チハヤと申す。先のミスリルアント討伐に力を貸してくれるということで、その腕前を見たく模擬戦をしてもらおうとここにつれていたのだ。なにか、異論はあるかな?」


「いえ、ありません。このような若造に身の程という者をわからせて差し上げましょう」


またキッと睨まれた。

美人に睨まれたらドキッとする。


「それでは皆の者よ、広場を開けい!これより兵師団長セリーヌと、旅の冒険者チハヤとの模擬戦をとり行う!」


王のひと声で速やかに場が開かれた。


「えっと、その前に確認しときたいんですが、なにかルールはありますか?」


「そうさのぉ。。。では、お互い木製の武器を使用すること。魔法の使用は禁止とする。どちらかが参ったと言うか戦闘不能、もしくは余が止めた場合は勝負を決するとしよう」


「わかりました。シンプルで良かったです」


「ふんっ!トカゲの小僧が、キレイな顔をしよってからに。一撃で涙ながらに命乞いさせてくれる!」


小僧て。。。オレのが一回り以上年上なんだが……


そして、

兵士の一人が木製の剣と槍を持って近寄ってきた。


「おい小僧、どっちを使うんだ?」


チラっとセリーヌを見ると、王様から剣技の良さを紹介されていたように、木剣を手にしていた。


「オレも、剣を借りますね」


剣なんて、子供の頃のチャンバラごっこ以来だ。


「チハヤがんばれ〜」

「おぅ!頑張るぜ」


「くっ!女などはべらせて余裕だな!?多少顔が良いからといって調子にのるなよ!!」


いや、、、のってないし……


「では、双方そろそろいいかの?」

「はいっ!いつでもよろしいです!」

「オレも、どうぞ」


王の合図を受け兵士の一人が掛け声をあげる。


「それでは、、、はじめ!!!」




ーーーーーーーーーーーーーー


始まりの合図と共にセリーヌが一気に距離を詰めてきた。


「てりゃぁぁぁぁっっっ!!!!」


セリーヌがオレの頭をカチ割るように振り降ろした剣を顔の前で受け止める。続いて鋭い連撃で剣を次々と振ってくる。


「貴様のっ!貴様のような奴に舐められてたまるかあぁ!!!」


ものすごい連撃だ。

まるで超近距離で殴りあうボクサーの様に鋭く斬り込んでくるし、こちらは完全ドシロート。動きは見えているが剣の扱いに慣れていないので防戦一方となる。


「どうしたっ!貴様、まるで素人のようだな!?防いでばかりでは勝負にならんぞ!!」


確かに。このままではラチがあかないな。剣技だけの勝負では勝ち目はなさそうなので少し本気で動かさせてもらおう。


渾身の力とタイミングで勝負を決めに来たセリーヌが胴を一閃するように剣を横に振り抜いた。

と、同時に・・・


「きっ、消えた!!?」


セリーヌがチハヤを完全に見失い驚愕する。


「後ろだよ」



・・・トン



セリーヌの背後から首の後ろを剣で軽く叩いた。

悔しい。。。『残像だ』と言える技を身に付けたい。


ーーーーーーーーーーーーーー




「そこまで!!勝負ありじゃ!」


そこで王が声をかける。

周りで見物していた兵士がおぉ、と声をあげる。


「なっ。。。くっ、まだ私はやれる、、、!」


「セリーヌよ、これはチハヤの腕を見るためのあくまで模擬戦じゃ。真剣勝負ならまた違った結果かもしれんが、この場はこれにて剣をおさめよ」


「。。。はっ!かしこまりました!」


セリーヌは悔しさを飲み込み一礼する。


「セリーヌさん、とてもすごい剣技でした」


「貴様!これ以上まだ私を辱める気かっ!?」


木剣を振りかぶってきたので急いで訂正する。


「いっ!いやいや!!ホント素直にそう思っただけですって!オレは自分の持ち合わせた身体能力が上回っていただけで、戦闘の技術なんかは足元には浮かばないし!それに、、、剣を振るっていたセリーヌさんがとても綺麗だったからつい。。。」


″綺麗″と言った瞬間セリーヌの顔が真っ赤になる。


「き、き、綺麗だと!!?ウソをつくな!これ以上私を貶めると、、、!!!!」


プルプルと剣を振り上げたまま動揺している。


「いえ、本気でそう思ったから言ったまでです。ですが、失礼に感じたのなら謝ります。あくまでオレの個人的意見なので、失礼しました」


オレはそう言って後ろを向きナナの元へ歩いて行った。


セリーヌはまだ固まっているらしく、他の兵士から『セリーヌさんしっかりしてください』と声をかけられていた。


「お主の力、しかと見せてもらったぞ」

どうやらマスケ王が認めてくれたようだ。


「やったねチハヤ」


ありがとう、とナナに返すが何か変だ。

なんというか、張り付いた笑顔でピクリとも表情が動かない。


「ど、どうした?ナナ」


「ん?なんで?なんにもないよ?別に、チハヤがああいう女の人が好みなんだ〜とか、綺麗な人がいいんだ〜とか、そんなこと思ってなんかいないから」


・・・なんにもなくないじゃん…


「い、いや、そういうんじゃなくて。。。」


「ふ〜ん。なら、チハヤが寝てるあたしにあ〜んなことしてきたから、もしかしてあたしに気があるのかな〜なんて少しは期待してたんだけど、女だったら誰でも良かったってことか〜」


「なっ!?お、お前あのとき起きて。。。!??」

「ん?あの時ってどの時??」

「えっ!?いや、その、、、」

「ん??」

「あ、あのね?」

「ん???」

「・・・ご、ごめんなさい」


ナナはそれ以上言わずに後ろを振り向いた。

振り向いて舌をベーっと出していたことなど、反省中のオレには知る由がなかった。。。




「あ、あの。そろそろ余も話進めていいか、の?」

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