Lv25 お任せあれ
なんだか、すごい多くの人が見てくれています(*_*)
緊張したり話を詰めて考え込んだりした方が良いのかなと思いましたが、今まで通り頭に浮かんだ物語を自分らしく素直に書いていこうと思うので、あたたかく見守ってやってください(^-^)
「マスケの城にようこそ、王様は二階への階段を登った先におられます」
城門に入るとき、槍を持ち鉄の鎧に身を包んだ門兵に言われて城の中へ入る。
なんか、すごくジーンとした。個人的に。
大きな扉をくぐると、正面に赤いカーペットの敷かれた大きな階段があったので、ナナと二人であがる。
階段を登りきると、兵士が2人階段の上り先の扉の両脇に立っていた。
「王様への謁見ですね、2名でしょうか?」
「はい、オレたち2人です。あの、いきなり訪れてすぐに会えるんですかね?」
「はい、大丈夫ですよ。我が国王は旅人の話にも耳を傾けるお人なので、大丈夫です。ただ、謁見希望者の方は念のためにこちらで荷物のチェックをさせていただき、武器や危険物がある場合はそちらのカウンターに預けていただく決まりです。よろしいでしょうか?」
流石に不用心過ぎではなかったか。
「ええ、問題ないですよ」
オレたち2人は兵士に身体チェックを受けた。
・・・・・
「特に問題ありませんので、お通り下さい。それと、王や王妃はとても人柄の良い懐の広いお方達だが、頭を下げて礼を尽くすように。」
「わかりました、ありがとうございます」
そりゃあ目上の人を敬うのは当然だ。
そして、兵士が大きめの装飾の入った扉を開いた。
床にはこちらもレッドカーペットが敷かれ、30mほど正面にある玉座まで続いている。
左手には王冠をかぶりマントを羽織る王様が。
右手には銀のティアラをつけた王妃が鎮座している。
2人共四十代くらいだろうか、遠目でも棘のない柔らかな物腰の雰囲気が伝わってくる。
オレとナナは玉座の前まで歩き、跪いた。
「おぉ、旅の者よ。よくぞこの国に参った。余がこの国を治めるダカナイ・マスケ13世だ。隣が妃のマールである」
「先のご紹介、恐れ入ります。私は旅の者、チハヤと申します。こちらは仲間のナナです」
「苦しうない、面を上げい。堅苦し過ぎるのはあまり好きではないからの」
許しをいただいたので、オレとナナは顔を上げ王と王妃を見た。やはり、温和な表情をしている。が、表情には元気がないのが見て取れた。
「ありがとうございます。では、早速ですが。私たちは昨日この国を訪れました。といっても、旅を始めたばかりの初心者ではありますが。
街に入りすぐに感じたことが2つあります。
一つは、人と獣人とが共存するとても良い国だと。
もう一つは、民の様子に活気が無く、なんだか重苦しい雰囲気だということです。差し支えなければ、何があったかを教えてはいただけないでしょうか?」
「うむ、では順を追って教えよう。実は、この国は農業を中心に営まれているのだが、その傍らで鉱山業も行っておる。といっても、自国の武装をする程度の小規模な鉱山ではあるがの。しかし、ここ最近で鉄しか掘られていなかった坑道からミスリルが発見されたのだ。
ミスリルが採れるのは極少量なことから、世界中で珍重されておるからの。新たな貿易の礎や国を豊かにする資源が出たと民も喜んでおったのだが、束の間、ミスリルが掘れたあたりから魔物が溢れ出してのう。
世界魔物連盟の決めるSABCDEFランクの内、5番目に値するDランクのミスリルアントじゃ。我が国の兵士でも、EランクやFランクのゴブリンなどの魔物なら問題なかったがDランクで、それも大群となるとのう」
そこで討伐依頼で酒場にもあの紙を出したわけか。
「しかし、問題はそれだけではないのだ」
マスケ王は続けて話す。
けっこう長めの話だったのでまとめるとこうなる。
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◎マスケ国は大陸の北、南東、南西にある三国の三角形の中心に位置する国で、三国全てと農産物の貿易を行っているいわば暗黙の中立国である。
◎北は″武″の国ゲキコー。国訓は、
『攻撃こそ最大の防御』
◎南東は″守″の国ビシュー。国訓は、
『防御こそ最大の攻撃』
◎南西は″魔導″の国ホーマー。国訓は、
『魔導こそ攻守一体』
◎三国とも大陸統一を図っている国々だが、
″武″の兵士は″守″の兵士の強固な守備攻めに弱い。
″守″の兵士は″魔導″の守りを貫く魔法攻撃に弱い。
″魔導″の兵士は″武″の畳み掛ける近接戦闘術に弱い。
という三すくみ状態になっている。
◎ミスリルの噂を聞きつけた三国がそれぞれマスケに使者を送り込みミスリルの力を取り込もうとしている。
◎魔物のせいでミスリルには手を出せないと使者達に返答しても、それぞれが出し抜かれまいとして「ミスリルのやり取りが始まるまでは国交を禁止する」と脅しをかけてきている。
◎三国にそれぞれ居る姫君たち。『三闘姫』と呼ばれる好戦的な姫達がミスリルアント退治に乗り出し、近々入国してくる。
と、いう話だった。
ああ長かった。もう喉カラカラだ。
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「それは、さぞかし頭をお悩ませでしょう」
「うむ。王たる者として民達には活力を与えんといけんというのに、情けないことだ」
『あなた……』とマール王妃がマスケ王を心配気に見る。
「ねぇ、チハヤ」
「あぁ、そうだな。危険かもしれないけど、いいか?」
「うん!いざという時には、守ってくれる??」
「もちろんだ!」
オレはナナと目を合わせうなづいた。
「王様、王妃様。魔物の退治の件オレ達に任せていただけますか?お二人は、各国とのやり取りや入国してくる姫君達への対応をお考えください!」
「う、うむ。それはまことか。ただ、お主達のような子供に任せるというのも………」
それはちょっと厳しいのでは?
という顔で王と王妃が顔を見合わせている。
まぁ、そりゃそうだよな。
こんな見ず知らずの若者がいきなり訪ねてきて『まかせろ』って言っても、なんの疑いもしなかったらただのバカである。少なくともオレはそう思う。
「ご心配いただく気持ちはわかります。ですので、もしよろしければこの城一番の腕利きの方と模擬戦を行わせていただいて、オレ達がどのくらい腕が立つか信用していただくのはいかがでしょうか?」
むぅ、とうつむき少し考えた後にマスケ王は言った。
「あいわかった!では、この国の兵師団長を務める者を呼ぼう。ついてまいれ」
王は立ち上がり、オレ達が来たのとは違う壁側の階段へ向かい降りていく。
オレとナナは後をついて階段を降りていった。




