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白の竜騎士物語  作者: 涙涙涙
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Lv16 興奮による出会い

「助けてぇっ!!」


女の子が何かに追われ森から出てきた。


着ているものはボロい布を巻いただけ、年の頃は15〜6歳だろうか。


すぐ後を追いかけて、皮の腰巻と薪割りで使うような斧を持った豚人間が現れた。

おぉ、アレがオークか。

と初めて見る魔物、しかもメジャーな部類のオークを見て珍しいものが見れたと思う。

もちろん、姿が見えると同時に駆け出していた。


あっという間に女の子の横を通り抜け、オークの前に立ちふさがる。駆け出すと同時に竜鎧は具現化していた。


ん?こいつ……!?


異様に鼻息を荒くし明らかに興奮し過ぎだろうと不思議に思い下半身に目を移すと、腰巻が一部分だけモッコリと盛り上がっていた。


「っっっっ!!!てっめぇっ!盛ってんじゃねーよ豚野郎があぁぁ!!!!!!?」


何故かわからないが生理的嫌悪感が湧き上がり、思いっきりタプンタプンのオークの腹を下から上にえぐるように拳で撃ち抜いた。

竜人の怒りの一撃に耐え切れる訳もなく、魔石も残らないほどオークは爆散した。

決して豚野郎に先にドーテーを脱される屈辱感を味わいたく無いと危機を感じて力がこもりすぎたわけでは無いことは、しっかりと付け加えておこう!


パンパンと手を払い、フンッと一息つく。


振り返り女の子の方を向く。


女の子は、走りながらつまずいたのか、こちらを向いて尻もちをついた状態で座っている。カタカタと震えているのが見えた。


「もう大丈夫だよ。怪我は無いかい?」


おっと、怖がらせてしまったか。

少しでも警戒を解くために話しかけながら鎧を解く。


それを見て、何が起こったのかわからずに驚いていた女の子は更に目を丸くした。


「あ、あ、あなた。今何をしたの!?どうやってオークを倒したの!?魔法?それに、鎧が急に消えたけど、なに!?尻尾が生えてるし、リザードマン??トカゲっぽく無いけど????」


「はは、ずいぶんたくさん質問するねぇ。ひとつずつ答えてもいいかな?君の手当てもしながらゆっくりさ」


よく見れば、女の子は全身あちこち傷ついている。逃げる途中、枝や葉で切ったり転んだりしてきたのだろう。必死だったようだ。

まぁ、あんな盛り狂った二足歩行の豚に追い回されて貞操の危機まで感じたら、かなりの恐怖だろう。


「手当てって……まさか!?あなたもあたしの体が狙い!?」


、、、うわぁ。

あのオークと同類にされたら流石に凹むぜ。


「するか!?というより、目の前で明らかに困ってる人が居たら普通助けるだろ!?」


うむ、その通りなのだ。

決して!なかなかスタイルの良い体だな、とか、細身だけどC、いやDカップはあるな、とか、そんないやらしい目では決して見ないのがドーテー紳士たるもの!!


とか考えてたらジト目で睨まれた_| ̄|○


「・・・まぁ、いいわ。悪い奴ではなさそうね。人間でも無さそうだし。でも、傷の手当てならご心配なく。このくらい自分でできるわよ」


また強がりを……と思い、どうやって手当てさせてもらおうかな?と考えていると、彼女はおもむろに足の切り傷に手をかざした。


ポウッという感じで翡翠色の淡い優しげな光が彼女の手から発された。みるみる内に光に照らされた傷の部位が治っていく。


「回復魔法か!?初めて見たよ!」


彼女の顔を見て言うと、違和感に気付く。

先ほどまでは見えなかった、いや、なかった物がおでこの上のあたりの髪からニョキっと見えている。


角だ。


三角で5cmくらいの二本の角。

回復魔法の光と同様に淡く光って見える。


「ふぅ、これでヨシっと!」


初めて見る回復魔法に加え、彼女の角に目を奪われていたチハヤは、反応が遅れた。


「あ、そ、その角って、君は?」


「なぁに!?相手に物を尋ねる時は先ず自分からでしょ!?」


「なんですっ、、、、て??」


キュルルルル……


会話に割り込むように、彼女のお腹から鳴き声がした。


思わず笑ってしまう。


「ぷっ、はははははは」


「何よ!?笑うことないじゃない!!」


顔を赤くして頬が膨れた。

この子、可愛い。。。しかも、かなり。

今は泥だらけでボロい布を着て薄汚れた印象ではあるが、かなり整った顔をしている。

なにより、背中の肩甲骨くらいまで伸びた真紅の髪にひときわ目がいってしまう。綺麗だ。


「ははは、ごめんごめん。とりあえず、腹減ってるみたいだし何か食べるか?魚とか大丈夫??」


「ごはん!!?食べさせてくれるの!?あっ、、、でもあたし、いま何も持っていないし、お礼に返せるものなんかないし。あっ!だからって、体で払えとか言ったらぶっとばすわよ!!!?」


「見返りは求めてないし!!やれやれ、信用ないなぁ。んじゃ、用心して食べないでおく??」


「。。。食べる、ちょうだい。お願いします」


。。。やれやれ、見た目だけじゃなくて中身も可愛らしい女の子ときたか。オレが三十過ぎのジェントルドーテーじゃなければどうなっていたことやら。まったく。


こうして、後に″真紅の鬼姫″と呼ばれるこの世界に来て初めての仲間にチハヤは出会った。

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