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白の竜騎士物語  作者: 涙涙涙
133/136

Lv132 チハヤの心 ①

「ここは、、、どこだ、、、?」



オレは真っ暗な闇の中にいた。



「なにも、、、見えない。。。」



目を開けているが完全に闇だ。



「寒い、、、誰か、、、」



七人の妻の顔が浮かぶ。



「ナナ、、、カナデ、、、ライア、、、メル、、、セリーヌ、、、ヴェルダ、、、カリーナ、、、、、」




全員の名前を呟いた。




『やれやれ、あるじ様よ。妾の名前が入っておらぬが?』




言い終わった途端に白い光が現れ、白い髪の乙女が出てきた。




「乙女!どうやってここに、、、」


『妾はこんなにもそばにおるというのに。。。名前も呼ばれんとは、悲しいのぅ』


「、、、お前の名前知らないし」


『おお、そうじゃった。妾には名前が無い。あるじ様よ、妾に名前をつけてもらえぬか?』


「えぇっ!?いまさらだしいきなりだな。。。というより、ここは何処なんだ?こんなことしてる場合じゃなくて、、、」


『慌てるでない。ここはあるじ様の心の中じゃ。今のあるじ様は闇に心を奪われ、荒れ狂う暴竜と化しておる。何ができるわけでもない』


「オレの心の中、、、真っ暗じゃないか!?」


『そうじゃ。じゃから、妾に名前をつけるのじゃ』


「だから、そんな場合じゃ、、、」


『妾もじゃ』


へ?


『妾も』『妾も』『妾も』『妾も』。。。。。


乙女が九人に増えた。



「お、乙女がいっぱい。。。」



白い髪の乙女たちが華奢な体をくねらせ全員オレに話しかけてくる。



『妾は憤怒じゃ。最初に会ったのに気づかないとは、寂しいのう』



乙女の一人が両手を目の下に当て、嘘泣きの仕草をしながら言う。



「いや、誰が誰って。。。全員同じ姿じゃないか」


『女の娘の小さな変化に気付くのがモテる秘訣じゃよ』


「変化って。。。そもそもお前たち、一つの精神共同体なんじゃないか」


『やれやれ、乙女心のわからんあるじ様じゃのう』



全員一斉にお手上げのポーズで肩をすくめハーとため息をついている。



『ならば、これでいいかの?』



乙女たちが一瞬で一人を残し消えた。



「残ったお前は、、、??」



『妾は【大罪の乙女】じゃ。今、別れていた魂を一つにまとめた。ちなみに、個々で自我を持っていた虚飾と憂鬱は居なくなってしまったがの』


「それは、なぜだ?」


『あの二人は特別での。忘れ去られた存在、あるはずの無い存在なのじゃ。あるじ様に声をかけ、危機を救ったのもあの二人じゃ。幻とはいえ、礼を言うが良い』



「そうか。。。ありがとうな」


『うむ、それほどでもないぞ。まぁ妾達がこうして一つに合わさると全てが同じなのじゃがな』


「みんなの指輪から消えたことになるのか?」


『いやいや、我が愛しの呑気なあるじ様が元に戻れば妾はまたそれぞれの罪の炎を燃やし指輪に戻る。まだ短い時間じゃがあの娘達の魂は実に心地よい。特にあの緑の爆乳娘など、、、』


「ライアが、どうかしたのか?」


『あるじ様との初夜をどう蹂躙されようか常に考えとるのう』



なに考えてんのライア!?



「そ、、それより。お前に名前をオレがつけていいのか?」


『愚問じゃ。はようつけるのじゃ』



名前か、、、


名前なまえ。。。。。


白い髪の女の娘。

細くて華奢な腰。

スラリと伸びた手足。

白い着物から除く足が柔らかそう。。。



「よし。。。お前の名前は『ウメ』だ」


『、、、随分イヤらしい目つきで舐め回すように妾の体を見ていた姿からは想像できなかった名前じゃ』


「えっ?なんで、ダメかなぁ。。。」


『ダメではないが、、、何故じゃ?』


「乙女を見ると白い花を連想するんだ。花の名前にオレは詳しくないから、好きな花の名前にした」


枝にほのかに咲く梅の花を見るのが好きだったオレは、梅の花を思い出していた。


『よかろう、、、妾の名は『ウメ』じゃ』


そう言ったウメの全身が激しく発光する。


「うわ、、、まぶし。。。」


『おぉ。。。『名』を与えられ、妾の存在が確かなものになった。。。。。力が、溢れる』


たしかに、すごいエネルギーをウメから感じる。

なんというか、大自然の力を目の当たりにしたような、勝負できるとかそういう次元の話ではないスケールの大きな力だ。


『ふむ、、、では、妾にくちづけをするのじゃ』



「えっ!?な、なんでいきなり!!?」



『あるじ様としたいからに決まっておろう?』



下から覗き込むように上目遣いでウメが見てくる。


くっ!新婚早々不倫するのか!?

そんなことできん!!



『心配せずとも良い、妾はすでに花嫁たち全ての魂とつながっておる。いわば花嫁たちの魂と言っても良い。どうじゃ?倫理的に問題はなかろう??』



くふふとからかう様に笑うウメ。



「それなら、、、そうだけど。。。」



とはいえ、スンナリできるものではない。



『ええい、煮えきらん男じゃ。えぃ!』



どうしようか迷いうつむき加減だったオレの唇に、ウメがキスをしてきた。



「、、、、、んぁ!し、、、舌が」


『くふふ、美味しいのう。安心せい、今のはただ単に妾がしたかっただけのくちづけじゃ。これより本番に入るぞ』


「ほ、、本番てまさかお前。。。」


ウメのエッチなポーズが頭をよぎる。


『バカもの、お主の心を元に戻すのじゃスケベ。まぁ、妾としてもこのままあるじ様と身も心も繋がるのはやぶさかではないがの』


ペロリと舌を出し唇を舐めるウメ。

い、、いやらしい。。。


「元に、戻れるのか?」


『おそらくの。ただ、今いるここはお主の心の表層部分。本人でも気づかない心の奥底に触れる必要があるからのぅ。故に、唇を重ねより深く潜ろうというわけじゃ』


「そうか、、、わかった。頼むよ、ウメ。こうしてる間にも皆が。。。」


花嫁たちの命が危ない。

オレはかなり焦っていた。


『慌てるでない。ここは心の中じゃ、現実の時間とは何の干渉も、、、、、んむ。。。』



説明するウメの唇を塞ぐように、白い肌の顔に手を合わせオレはキスをした。



『ん、、んむ。。。ふ、、ん、、、』


初めは驚きで閉じていた唇もすぐにほどけ、熱く舌を侵入させるとウメもそれに応えてくれた。



『は、、む、、、、んぁ、、、あぁ、、、』



ウメの細い体を両手で抱き寄せる。



さぁ、オレの中に入ってくれ。

オレの心はお前に預ける。



『ん、、ん、、ん、、、んん、、、すご、、い』

(あつ、、い。あるじ様の舌が、、こんなに…)



ウメも夢中で唇を吸ってくる。

頭の中がどんどん痺れてくる。


オレたちは、お互いを吸い合う様に、吸い尽くすように、ドロドロになるまで、お互いを絡めていった。




そして、オレは意識を手放した。


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