Lv100 石守り役
この度100話を迎えることができました。ブックマーク件数も100件に到達しました。これもひとえに皆さんのおかげでございます。自己満足の小説を書こうと思ったのがきっかけで、これからもそれは変わりませんが、『おもしろい』『つまらない』色々な感情で私の作品に目を通してくれる人がいると思うと、書く意欲が湧いてきます。
本当に、ありがとうございます。
そして、これからも暖かく見守っていただければ幸いです。涙涙涙
ポタ…ポタ……
「気ぃ失っちゃったか。。。」
崖から落ちていく彼女を空中で抱きかかえ、下の岩場に激突するのは防げたが方向転換が間に合わず滝に突っ込んでしまった。
丁度裏側がほら穴になっていたのでここで目が覚めるまで休ませることにする。
「糸は、、、外しておくか」
彼女を拘束していた糸を解く。
「ずぶ濡れだな。仕方ない……」
糸を大量にだす。
乾性の繊維のような糸だ。
太めにして柔らかなフトンになるようイメージして編みの目状の糸を何層も積み重ねる。
「これでよし。次は、、、まだ目を覚ますなよ」
彼女の濡れた衣服に手をかける。
なるべく肌に触れないようにして服を脱がす。
見てないよ?目に入ってしまったら仕方ないさ。
下着だけの状態にして糸の布団の上に横に寝かせる。その上から同じように作った掛け布団のような糸をかぶせた。
「えっと、、火を起こせるものは。。。」
濡れた流木が目についた。
「そうだ!こいつを、、、」
流木に手を当て水を全て流すイメージで水魔法の魔力を流しこむ。
ジャーという勢いで流木から水が流れきったのを確認し、ドライヤーの要領で風を流木の内部に浸透させ乾かす。
「よし、これだけ乾けば…」
『ファイア』
ボッ!
うまくいった。とりあえず暖を取る事ができた。
岩と岩の間に糸を通し、そこに脱がせたままの濡れた衣服をかけドライヤー魔法を当てる。
「これで少しはマシだろう」
ぐうぅぅ、、、
「腹が減ったな。。。あれっ?でも今のはオレの腹じゃない、、、??」
再びぐうぅと聞こえてきたのは、スースー眠るエルフの女性からだった。
「ははっ、大丈夫そうだな。そんじゃあ少し食料でも獲ってくるか」
エルフって食わないものあるのかな?と思いながら滝下の川で魚を探す。
「おっ!いるいる。。。」
『サンダー』
ごく少量の魔力で雷を川に落とす。
ぷかーっと魚が沢山浮かんできた。
「二十匹くらいいるな。これだけあれば。。。」
ーーーーーーーーーーーー
「はぐ!はぐはぐはぐはぐっ………」
足りなかった。。。
「こ、これで全部だよ」
エルフはとってきた魚全て食い尽くした。
「ぷはぁーー!美味しかったぁ。生き返った!!」
10分ほどで魚を取り戻ってきてからすぐに下処理して焼いたが、袋に入れておいた塩を振りかけたあたりで匂いに釣られて彼女は起きたのだ。
「そいつは良かった」
よほど腹をすかせていたのか、夢中で食べていた彼女は食べ終わったあとで自分が下着姿になっていることに気付く。
「い、、、い、、い。。。」
プルプルと震える彼女。
「まっ、待て!何もしていない!ほら、ずぶ濡れになったからそこに服をかけて、、、」
「いやあぁぁーーー!!!!!」
、、、ですよね〜……
ーーーーーーーーー
「クスン、グス。。。トカゲに汚されちゃった、私もうお嫁に行けない」
「こらこら、汚いもの扱いしない。それにオレは何もしてない、風引かないように脱がせただけだ!!その証拠にちゃんと布団かぶってただろう?」
糸でできた布団を抱えながら泣いていたエルフは確かにと呟いた。
「それに、恩着せがましいこと言うけど、いきなり襲ってきた君が勝手に走り出して崖に落ちたのを助けて服を乾かせて食事も与えた。そんな恩人に感謝こそすれ侮蔑するのがこの世界のエルフというものなのかい?」
「そ、それは、、、」
彼女の方がビクンとはねた。
「なんて、大仰なこと言うつもりはないから安心して。とりあえず、君やこの森に危害を加える気がないことは信用してほしいな」
「、、、そうね。襲ってきた相手を無条件に助けて、しかも何もして来ないなんて悪いやつじゃなさそうね」
そう言ってかすかに笑った。
その横顔がとてもキレイで思わず、、、
「エルフって、、、綺麗なんだな。。。」
言ってしまった。
「なっ、、!?なにを!?」
「あっ!いや、ごめん。凄く奇麗な顔だから見惚れてしまって。。。エルフに出会ったのは初めてなんだ、ずっと憧れのようなものはあったし、、、変なこと言ってすまん」
「くっっ、、、!!その顔でそんな甘い言葉を囁きおって。。。」
「は、、はは。なんか変なことばっか言ったな。すまなかった。一応オレ結婚してるしな」
「よ、、嫁がいる分際で。。。ますます許せない!!」
な、なんかワナワナ震えてる。。。
七人いるよーなんてのは伏せたほうが良さそう。
「そ、それよりさ。名前、聞いてもいいかな?オレはチハヤだ」
「ふんっ!貴様のような女たらしに教える名などない!」
「だよなぁ。。。いや、すまんかった。捜し物をしていたんだが、心当たりあるかと話を聞きたかったんだけどな」
「捜し物?」
「ああ、祭壇に祀られてある石なんだけど…」
それを聞いた途端、彼女は立ち上がった。
「な、なんだとっ!貴様それは、乙女石のことか!?」
「う、うわわ!隠せよ下着っ!」
「えっ、、、きゃあぁぁっ!」
バチィーン!
、、、オレは悪くないのに。。。
「そ、そんなことより質問に答えろ!?貴様も、あの神石を狙ってきたというのか!?」
「も??もってことは、他にも狙っているやつがいるのか?」
「そうだ!あの石の力を狙って奪い取ろうとする奴は後を絶たない!私は石守の家系三代目守り役、エルナ=レン=マークインだ!!」
「エルナ。。。聞いてくれ!オレは実はその石を、、、!?」
「ええい!問答無用!?」
エルナは置いていた短剣に手を取りオレに飛びかかってきた。
(くっ、、、話を聞こうとしない。仕方ない、気絶してもらうか。。。)
オレが手を手刀の形にし、エルナの首の後ろに狙いを定めたその時……
『待つのじゃ主よ、そしてエルフの娘よ』
「こ、この声は!?」
オレの持つ指輪から、乙女が語りかけてきた。
指輪探し︰3日目夕方終了




