Lv99 感激の出会い
『はふぅ。。。これこれ、これよ』
なんだろう、頭に満足げに気持ち良さそうなイメージ画像が浮かんだ。
「すごいよ兄ちゃん!これで5つ目、あと2つだね!」
「あぁ、二人のおかげだよ。ありがとう」
「いやいや、お主の力の凄さの賜物じゃよ。これほど見事な指輪を受け取る花嫁は、幸せじゃの」
光り輝く指輪を見て、オレも満足している。
「よし!日が落ちる前に残りの石も見つけてくるよ!!」
「ほっほ、無理はせんでの」
「気をつけてね、兄ちゃん」
「ああ!」
オレは二人に手を振り、残りの石の近い方向へと向く。翼を広げ空へと飛び立った。
「今度は少し遠いな。。。よし!」
恐らく3000km以上離れている距離に気合を入れて飛ぶ。
飛んで間もなくして、空気のカベを轟音と共に突き抜けた感触を味わい、音を超えたなと感涙を流しそうになったのは小さなナイショだ。
ーーーーーーーーーーーー
「今度は森か。。。ジャングルだな」
鬱蒼と木々の生い茂る森を歩く。
動物の鳴き声が響き、見たことのない虫が飛んでいる。
正直なところ、虫は苦手な方だ。
子供の頃はバッタやカブト虫など平気で、むしろ自分から好んで捕まえに行ったが、大人になると節足動物全般が苦手になってしまった。
わかるーと頷いてくれた貴方は、同士だ。
「もう少しでたどり着くと思うんだが…」
ハッと気配を感じると共にシュッと音が聞こえる。ほんの少し頭をずらすと眼の前の木に矢が突き刺さった。
「、、、誰だっ!?」
屋の飛んできた方に向いたが誰の姿も見えない。
「移動したか…素早いな」
目を閉じ辺りを【探索】で探る。
。。。
矢が飛んできた方の五メートルくらい離れた木の上に何者かが居る。
(あの木の後ろか。。。よし)
オレは小さくつぶやいた。
『インテ』
転移魔法は行ったことのある場所をイメージして飛ぶので、目に見える位置なら一緒だ。
「っ!!?」
奇襲者のすぐ後ろに跳んだ。
突然視界からオレが消えたことで慌てて辺りをキョロキョロと探している。
「、、、こっちだ」
声をかけると同時に糸で相手を拘束する。
最近アラクネさんの糸が大活躍だ。便利すぎ。
「くぁっ!」
バキバキ、、、ドサッ
声を上げ木上から地面に落ちた奇襲者。
「さてと、なんでオレを殺そうとしたかはいてもらおう。。。か!?」
オレは驚きの声を上げた。
相手は女性だった。
いや、ただ女性だったらここまで驚きはしない。
両手を後ろで縛られ動けない姿の其の女性は、緑を基調とした衣服にライアよりも濃い緑の髪の毛。肩くらいまで伸びたその上から除くのは、ピンと尖ったやや長い耳、、、
奇襲してきたのは、エルフだった。
「うわぁ、、、え、エルフ。。。」
感動で胸が詰まる。
特に思い入れがある種族ではないが、一般的なエルフに対する会ってみたい願望やあこがれと羨望はオレにもあったからだ。
「くっ。。。離しなさい!!この糸を解くのよ!」
エルフの女性が叫んだ。
身体の胴回りを糸でグルグル巻きにしてあるから芋虫のようにモゾモゾするしかできないのである。小ぶりではあるが形の良いバストに糸が食い込んでいる部分はチラッと見てしまっても男ならば仕方あるまい。
「いや……解きなさいって言われても、あんた解いたら殺そうとしてくるだろ?」
「当たり前だ、侵入者め!この森の平和と秩序は守護者である我等エルフが守るのだ!!」
「守るのはいいけど、、、問答無用で殺すのは流石にやりすぎじゃないか?」
「フッ。そういった甘い考えの者が何人も居るが、皆油断したところを一瞬でやられてしまうのだ!私はそんな甘い連中とは違う!」
「なるほど、一理あるな」
「そうだろう!?だからこの糸を解くのだ!そして大人しく殺されるのだ!そんな甘いマスクでも私は騙されんぞ!!」
「いや、騙さないし。。。ヤケに好戦的だな。何かが襲ってきてるのか?」
「ふんっ!お前のような侵入者に、教える義理はない!」
寝転んだ体勢から座り込んでいたエルフは、いきなり立ち上がり駆け出した。
「バ、バカッ!そっちは、、、、、」
エルフが茂みに飛び込んでいった。
特有の水の音、探索で辺りを探りながら歩いていたオレにはわかる。そっちは、、、
「い、、いやぁーーーっ!!!」
滝の流れる崖だった。。。




