Lv1 出会い
ノンビリ書いていきます。
ーーー
ーーーっ!
ーーーおぃっ!
・・・起きろ!!!!!
「っっ!?」
キョロ、キョロ。。。
辺りを見回すと、洞窟の岩肌のような壁と天井が目に入る。そこかしこに青白くボンヤリと光る苔のような物が灯りとなって周りが見渡せるようだ。本の文字が読める程度の明るさだが。
「…ここは?どこだ?」
さっきまで千早は、マンションの自室でベッドに横になりながら携帯小説を読んでいた。
晩飯を食べ、風呂に入り、お気に入りのチョコアイスを食べながらウトウトしていたところまでは記憶にある。
さっと自己紹介すると、彼の名は二ノ宮千早。
健全な35歳会社員、独身の上ドーテーだ。
見た目は普通、だと思いたい。
自分では別段イケてるとも思わないが、ブサイクとも思わない。学生時代はラブレターをもらったことさえある。
一生に一度の体験だが唯一の自慢だ。
女性と付き合ったことはあるが、Hな雰囲気になると土壇場でビビるチキン野郎とでも覚えておいてくれたらいい。
どうも女性に嫌われないかとか痛がるんじゃないかと気を回しすぎてムスコが反応しなくなるようだ。
会社では埋まらず目立たずの立場にいる。
趣味は日向ぼっこ。お茶を飲みながら日の光を浴びて無心になるのは格別だ。
「というより、寒いな。。」
どちらかといえば自分でも慌てないタイプだと思う。
飲みかけのジュースをうっかりこぼしてしまっても無言でフキフキしたり、社内で誤って非常ベルが鳴っても周りが騒ぐ中音の出所を一人探し歩くような性格だ。
いわゆるマイペース、か。
辺りを見回すと、通路のようになった洞窟の奥の方で薄紫色の光が見えた。
「なにかあるのか??」
自分の今置かれてる状況を把握しようと五感をフルに使い現状把握に努める。
流石に、夢なのか現実なのか曖昧だがリアルな感触に胸が高鳴ってしまう。
ゆっくりと立ち上がり、光の方へと歩き出す。
以外と天井が低い。
身長175cmの千早が軽くジャンプするだけで頭がつきそうだ。まぁ、実際にはやらないけどね。
「さっき、誰かの声に起こされたようなきがしたんだけどな…??それより、裸足だから痛すぎる」
尖っている部分もある剥き出しの岩肌を裸足で歩くのだから当然だ。ヒョコヒョコと出来る限り足が痛まないように角度をとり、少しずつ前に進む。洞窟の奥に進んでいるのか出口に向かっているのかは考えないようにした。いま考えても仕方がないしな。情報が少なすぎるのだ。
50m程進むと、かなり大きく開けた空間に出た。
通っていた高校の体育館くらい広い。
「へーー。こんな体験、夢だとしても滅多にできないな」
他人事のように感想を述べてみた。動じることはない。
しかし、そんな千早も目線は目の前一点に釘付けになっていた。
広場の中央に直径30m程の大きめな池があるのだ。
薄紫色のあわい光を放った綺麗な池だ。
「マジで神秘的すぎる、でも、、身体に悪そうな色の水だな」
どんな水質かもしれないので勿論泳いだり飲んだりする気にはなれない。
ゆっくりと池に近寄り水中を覗き込んでみる。
そこには、信じられない物が沈んでいた。
「っっ!!?マジか!?ファンタジーすぎるぞ!」
久しぶりに驚きの声というものをあげた気がする。
池の中は普通想像する感じの浅い部分から中心に向かうにつれ深くなっていく形ではなく、水辺の始まりからいきなり水底まで深くなっている円筒型になっていたのだ。
水深は20mくらいだろうか。
驚いたのはそんな神秘的な池の造形ではなく、水底にある物。いや、居る者だ。
闇のように黒い鱗に覆われた、竜がいた。