第四話
お隣へのご挨拶から帰宅。
ゲームの中の隣にいる人の隣へ引っ越して来るとは偶然なのか必然なのか
世の中不思議なことがあるもんだね。
透君の協力を取り付け少しだけ気が楽になった気がするし、
もし中学校の時のようになっても、透君は僕を見捨てないだろう。
「翠ちゃん、家にもどってからご機嫌ね~」
そう問いかける母さんも心なしか楽しそうだ。
「一人で登校すると思ってたのが透君が一緒に行ってくれるからね」
「でも今日みたいに隠れちゃ駄目よ~、透君が」
と言いかけて少し考え込む素振りをし、
「今日の翠ちゃん見てるし、覚悟の上だから大丈夫ね~」
うん?覚悟の上?
僕が首を傾け問い返す
「どういうこと?」
「あらあら~わかってないのねぇ~翠ちゃんが透君の後ろを隠れるようについて行ってたらどうなるのかな~」
人からの視線を避けるために透君の後ろをついてく自分を想像した。
「無駄に目立ちそうだね・・・」
僕は肩を落とした、僕駄目すぎる。
「慣れていくしかないわね~」
「うん・・・」
そして再び母さんが考え込むようにして。
「明日、透君にお願いしてこのあたり案内してもらったらどうかな~」
「うん、夜にでも聞いてみる」
ゲームの中で。
自分の部屋へもどり、ウィッグとコンタクトをはずし、ちょっとした開放感が僕を駆け巡る。
軽く髪を梳きホッと一息つく。素にもどった自分を姿見で見ながら、
近いうちに透君にも打ち明けよう・・とぼんやりと思っていた。
気づくと暖かそうな赤い光が窓から差していた。
夕飯の準備しようかな、今日は僕の当番だ。
台所へ入り冷蔵庫をあけるとベーコン、じゃがいも、玉葱、大根、白菜・・・、よし、
まな板で野菜を適当な大きさにぶつ切りにしてっと
深めのお鍋にオリーブオイルをひいてっと、火の通りにくい順に時間を置いてお鍋に投下~
適度に中火で炒めて火が通ったら、水をお野菜の頭がつかるぐらいまではってコンソメを少々加えて。
コトコト煮たらじゃがいもにお箸がかる~く刺さるぐらいにしたら、塩コショウを少々で後は蓋して夕飯の前に加熱するだけー。
ポトフの出来上がりっと、茸がなかったのがちょっと残念。
「いい匂いね~今日は何かしら~?」
母さんがいつのまにやらお鍋の蓋をあけ。
「美味しそうね~」
「父さん帰ってくるまでお預けだよ、遅くならないんでしょ?」
「そうね~今日は定時であがれそうだって行ってたからそろそろかな~?」
それから数分経った。
「ただいま」
父さんが帰ってきた。
「「おかえりなさい」」
母さんと一緒にお出迎え。
「すぐご飯にするね」
台所にもどり鍋を加熱する。
「今日はなんだい?」
「春野菜と冬野菜のポトフだよー、お野菜しっかりとらないと」
少し加熱して・・・煮立ったら、よしっと。
大きな深皿一つと半分くらいの大きさの深皿に盛り付けて・・・完成。
「おまたせー」
大きな深皿を父さんに後は僕と母さんに配って。
「「「頂きます」」」
家族そろっての夕食が始まる。
「お汁のしみ込んだお野菜が美味しいわ~」
「うむ、いい味だ」
お二人とも満足な様子にほっとして僕も手を付ける。
うん、やっぱり僕の好みに味付けになってた
野菜をかみ締めた時にてくるしみ込んだお汁が最高です。
「これならいつお嫁に出しても大丈夫ね~」
母さんのその一言に虚をつかれ、けほけほ、器官に入っちゃった。
「けほ、母さん、けほけほ、何言うのさ」
咳が邪魔して上手くいえない。
「能力はあるかもしれんがまだ早いだろう」
まだ娘はやれん!と言わんばかりだね。
16だから結婚はできる年齢にはなったけど。
お風呂の中でどうやって明日の事を透君にお願いしようと考え込んでらのぼせかけてた
湯船の中での考え事は危険だ。
お風呂からあがり居間でドライヤーを使いながら髪を乾かしていると、
「お隣の挨拶は無事終わったか?」
ソファでコーヒーカップ片手にTVを見ていた父さんが話しかけてきた
「うん、やっぱり母さんの後ろ隠れちゃったけど」
「荒療治までとは言わないが、慣れていかないとな」
「それでね、お隣さんは・・」
僕は今日あった出来事を父さんに話すと、黙って頷きながら最後まで聞いてくれた。
「翠が嬉しそうに饒舌になって話してくれるのは久しぶりだな」
そうなのかな?と首をかしげながら思い出す。
「気の許せそうな友人がお隣に居たのは驚きだが、異性交遊はまだはやいぞ」
さりげなく釘を刺された。
「それはまだないとおもうけど・・・」
「どちらにせよやれるとこまでやりなさい、俺と桜子さんはいつでも翠を見ているからな」
といいながら頭をなでてくれた。
ちょっと恥ずかしかったけど、すごく心地よかった。
撫でてくれた父さんに「ありがとう」と言って部屋へもどり、パソコンの電源を入れ、マサムネオンラインを立ち上げた
色々案がめぐりめぐって消えていくそんな仕事の時間があぶない
お話を考えるのは楽しい! 表現するのは難しい。