第二話
外へでると綺麗な青空が僕と母さんが迎えてくれた
「今日は暖かいいい日になりそうね~」
「そうだねぇ、布団ほしたほうがよかったかなー?」
花粉症にかかってない僕にとっては春先にふわふわお布団は格別なのだ。
ちなみに今の自宅は2階建で僕の部屋は6畳でお布団を干すベランダも付いている。
朝から干しておけば昼過ぎにはいい感じに仕上がっているいい立地だったりする。
と話しながら徒歩1分お隣さんに到着。
お隣も同じような設計みたいで家のつくりはほぼ同じだった。
表札には「楠木」とあった、楠木さんというのかー。
母さんがインターホンを見つけ押す。
ピンポーンとどこにでもあるような音色が響く。
「どちら様でしょうか?」
インターホン越しに女性の声が聞こえる。
「おはようございます隣に越してきた岬と申します~」
「おはようございます。ドアをあけますので少々お待ちくださいね」
ガチャリとドアが開き、ボブカットの母さんと同じ年代と思われる女性が出てくる。
「岬と申します」
母さんが贈答品を差し出し、
「ご丁寧にどうも、そちらはお子さんですか?」
贈答品を受け取りつつ視線を僕のほうに向ける。
ちなみに僕は母さんの後ろかに隠れるようにして様子を見ていた。
まだ他人の視線が少し怖いから仕方ないよね・・・。
「はい、ほらほら~翠ちゃんご挨拶なさい」
母さんが僕の後ろへ回り僕を押し出すように前押す。
「み、翠と申します」
なんとか挨拶をし頭をペコリと下げる。
「ちょっと人見知りが激しい子でして~」
「可愛い娘さんですね」
とにこやかに母さんと楠木さんが会話を始めた。
そして僕は母さんの後ろにまた隠れてしまった。
5分ぐらい転居前ののご近所の話題やここ周辺の近所の話題に花を咲かせてた。
ふと母さんが渡した目録の家族の名前に眼を落とした楠木さん。
ふと何か気づいたように
「人違いだったらごめんなさいね何年か前にお会いしませんでした?」
僕と母さんはあったことあったかな?とお互いを見合って首を傾げる。
「何といいましたかね、昔に息子が遊んでいるネットゲーム?のオフ会?
というのがあってどうしても行きたいとせがむので連れて行ったことがことがありまして
その時にお会いし方と同じ名前だったような気がするのよ」
「あらあら~」と母さんが微笑みながら僕を見て、
覚えがあるんじゃない?という目配せをする。
「でも思い違いかしらねー、その方息子さんお連れだったから、そのお母さんもかなり髪を伸ばされていたのよね」
楠木さんその指摘あたってます。僕は当時男の子だったし、母さんも髪は長かったです。
僕はおずおずと訊ねるように
「それってマサムネ・オンラインという名前でしょうか?」
マサムネ・オンラインというのはよくある剣と魔法のファンタジーMMOで僕は聖職者をやってたりする。
聖職者というのは後方より回復や強化魔法をかけるいわゆる支援職のことだ。
たしか昨日引越し終わったとちょっとログインし。今の引越し先の市に引っ越したよーとギルドの皆に話したっけ。
ギルドっていうのは仲良しのグループみたいなものです。
でよくペアで遊んでる相手トール君が同じ市内だなーって言ってたけど・・・まさか。
「そう、そんな名前だったわね、翠ちゃんもそのゲームやってるの?」
「は、はい・・一応」
「それならもしかしたら、透に聞いたほうが早いかもね少し待ってね呼んでくるわ」
そういって楠木さんは奥へ入って行きとおる~と呼ばれる声がこっちまで聞こえてきた。
「間違いないみたいね?」
母さんが僕を見ながら微笑む。
とは言っても僕の中では不安が一杯だ、性別が変わったことも、病院に入って休止してたとことも正確には伝えていない。
行動の節々で違和感を感じ取ることがあったとしても、性別が変わったことを予想するはずがない。
こんな僕を受け入れてくれるだろうか?
ぐるぐると考えが回り前に進まない、と考え込む暇もなく。
楠木さんがスポーツ刈の僕と同年代と思う男性をつれてきた
「こちらお隣に越してきた岬桜子さんと娘さんの翠ちゃんね」
「どうも楠木透です」
お互いに頭を下げて挨拶しようとしたが僕は思わず母さんお後ろへ隠れてしまった。
母さんだけぺこりと頭をさげ「あらあら、仕方ないわね~」
「え、えっと俺怖がられてる?」
透と名乗った男性が僕を見つめつつ驚いたように言う。
「翠ちゃん人見知りが激しいのよ~」
と母さんがフォローを入れる。
「そ、そうですか」
「ご、ごめんなさい」
初対面(多分そうおもってるはず)でいきなり避ける動作しちゃった。
「私の時もそうだったわよ」
「それはかーちゃんがじろじ」
と最後まで言う前に拳骨がはいる。
「いてぇなーなにするんだよ」
「透が変なこというからよ」
クスッ、僕は少し吹き出してしまい、緊張と恐怖の合い混じった物が薄れた。
考えてもしょうがない僕と一緒に遊んでくれた相棒を信じよう。
簡単には受け入れれないのは仕方ないからね。
「ほら翠さんにも笑われたじゃないか」
透と呼ばれた男性が頭をさすりながらジト眼で楠木さんを見返す
でも僕を同一人物と認めてもらうには・・・・・そうだ!
「自業自得、そうそう透を呼んだのは、翠ちゃんもが透が遊んでるネットゲームの、ええと」
「マサムネ・オンラインです」
「そうそう、それをやってるらしいのよ」
「へぇ~・・ちなみに職は何をやってるんだ?」
同じゲームをやってる事に興味を示した。
「聖職者やってます。支援好きなので」
「サーバーが一緒なら遊んでみたいな、どこのサーバーだ?」
「オサフネサーバーです」
その回答に気を良くしたのかなってくる饒舌になってくる透君。
うん、女の子でこのMMOやってる人珍しいしね。
昔会った時に『透君』って呼んでたから自分の中では『透君』
呼ぶ時はまだ初対面みたいだから『透さん』ちょっとややこしい。
「同じサーバーか!俺はゲームの中で『トール』って名前で闘士やってるんだ」
うん、知ってる。闘士というのは武器を幅広く使える職でスキルは強いが
「そうだ、透さんに僕のキャラの装備みてもらっていいですか?」
「え?」
透君はキョトンとする、そうだよね、初対面でこれは無用心すぎるよね。
わかってるけど僕のことを説明するにはこれがいいと思うから。
「だめだ!初対面の人にパスワードとか教えるまねをするな」
そうだよね、僕だって普通ならこんなことしない。
「透さんが僕のパスワードとか悪用するようには見えないから」
そういう僕は多分微笑んでるのだろうと思う。
「わかったパスワード入力の時は俺は部屋の外で待つ、ログインしたら入力も必要ないな、
かーちゃん、こんな話になったから、翠ちゃん俺の部屋につれてくな」
しょうがないなといった感じに透君が折れた。
「変なことするんじゃないよ、桜子さんも上がって下さい、親同士ゆっくりはなしましょ」
「そうね~、それではお邪魔するわね~、翠ちゃんしっかりね」
母さんは片目で僕にウインクすると楠木さんと一緒に中へ入っていった。
「俺の部屋2階だから」
透君は奥に見える階段を指差し僕に伝える。
「お邪魔します」
僕は透君に案内されるまま2階へあがり
「ここが俺の部屋」
ドアをあけ先に入れと腕を払うようにしてぶっきらぼうに伝える。
「お邪魔します」
中にはいると置きだしたままの布団がどのままのベッドに天井近くまで伸びた漫画の本棚。
そして付けっぱなしのパソコンのディスプレイ、画面の中には黒色の鎧に大槌を構えたキャラクターが映し出されていた。
キャラクターの名前の上には『トール』と表示されており、ゲーム途中に呼ばれたみたいだった。
「ああ、これが俺のキャラ『トール』だどこかで見たことがあるかもな」
「はい・・・ある意味有名人ですし」
あるいみ『トール』は有名人だった、『鈍器しかもたないトールさん』と呼ばれ、多彩な武器が、もてるにもかかわらず鈍器のみで戦うスタイルだった。
「いい噂じゃないだろうけどな・・」
透君が苦笑しながら呟く。
基本闘士は武器を使い分けて活躍する職のため、『トール』のプレイスタイルは異端であった。
そしてマウスをいじってログアウトの項目を押しゲームを終了する。
「それじゃ俺は外に出てるからからログインしてくれ」
といって透君は外に出て行くのを確認して、僕はマサムネ・オンラインを立ち上げ、
アカウント、パスワードを入力していく。
そしてログイン画面のキャラクター選択の画面にでたキャラクターは今の僕と同じ髪を色をした女性キャラクターが純白のローブをまとい顔より横に水平に近い形で伸びたとがった耳。
先端に白い宝石が埋め込まれたロッドをもって表示されていた、頭の上のあたりに『akira』の文字が表示されている。
どうして女性キャラにしたのかというと、うん、読んでた漫画の回復役とか女性が多かったからというのが理由。
同じ髪の色になったのは何の因果かわからないけどね。これで納得してくれるよね、ある意味一番僕の事をわかってもらう方法だから。
といっても中は男だってちゃんといってたからね!ネカマじゃないよ!
誰に言い訳してるんだよ僕・・・。
「透さんログイン終わりました」
僕は透君を呼んだ。
表現の仕方と話の展開の仕方が難しい、
でもお話を考えるのは楽しいです