取られた。姉妹の欠片
「おねーちゃんおねーちゃん♪
なにをしているの?」
律はお姉ちゃんにスキップしながら近寄る。
「お母様にお花を摘んでいるのよ」
そんな可愛らしい律に優しくそう応える姉の凛。
「わぁ~律もやるぅ。あっじゃあ、お花の冠作ったら?お母様きっと喜ぶわ!」
こんな会話を幼い頃にしていた記憶がある。
仲の良い姉妹で、なんでも話していた。
大好きだったお姉ちゃん。
今は一気に性格が一変し、私をオモチャ扱いにしかしていない。
「…律、あなたなに考えてるの?」
怖い目をして私のことを睨んで来る。
「昔あった時のことを考えていました」
「……昔?」
「はい、お母様に花の冠をあげたときのこと、です。覚えていますか?お姉様あの時ちゃんと私に教えてくれたんですよ」
「あー、あんなことまだ覚えてたんだ」
懐かしいわねと鼻でふふっと笑う。
「そんなことを覚えているなんて意外だったわ。まぁ、そんな幼い頃のことは忘れてあたしたちと楽しみましょう……」
うふふふふふ………
お姉様は不気味な笑みを浮かべていて、私の首を締めてきた。
「ぅぐ……っ‼」
くる、しぃ…!!
お姉様やめて!!
苦しいよっ!!!
「どう?苦しい?あたしたちも同じくらい苦しんだのよ…?分かってもらえたかしら」
わたしはその苦しんだ顔が見たかったのよ。昔からあんたはお母様たちにチヤホヤされてあたしは一人ぼっち。寂しかった。あたしは絶対あんたより幸せになろうって思ったわ。実際あたしはクラスでも人気者になって、彼氏もいた。だけど、だけどそれを全てあんたが奪ったのよ!あんたさえいなければあたしは世界一幸せ者だったんだから!!
ブス、ブス、ドブス!
凛がそんなことを考えていたら首を締める力がどんどん強くなっていった。
「あんたなんか、死んじゃえばいいんだ。
死んじゃえば……!」
ぐぐぐっ…
ここ…お花畑?
昔よく行ったところだ……
綺麗だな…懐かしいなー……
なんでここにいるんだろう……
意識がどんどん遠のいていく。
抵抗する気力もない。
もうこのまま死にたい。お姉様に殺されるなら本望だ。
「りつ!りつっ」
誰かに呼ばれてる……
……
…
………