意味が分かると怖い話 こっくりさん
《作者からの一言メモ》
意味が分かると怖い話シリーズの更新が遅くなって大変申し訳ございません
新たに浮かぶネタがあまりなくて、しかも完成度を高くしないといけない。
とても難しかったです……。
とりあえず、存分に恐怖しちゃってください!
「こっくりさん、こっくりさん
○○君に好きな人はいますか?」
友人が問いかけると
ひらがなの『あ』から『ん』まで書かれた
机の上に置かれた紙の上を
十円玉が音も立てずにすーっと勝手に動き出す
静寂が包み込む、放課後の教室内
友人はごくりとつばを飲み込んで
紙の上を凝視していた
十円玉は、ハ行の最初の文字に一度止まり
それからア行の二文字目に止まった
「『はい』だって!」
友人は嬉しいのか驚いたのか
どちらとも言えない大声を出す
すかさず、友人は質問した
「その好きな人は、わたしですか?」
彼女の言葉に反応して
また十円玉が独りでに紙の上を走る
沈黙が支配する中
十円玉が導き出した答えは
「『いいえ』かー。残念……」
落胆した声を上げて、友人は小さく萎んだ。
「んじゃあ、今度は私ちゃんが質問する番だね」
そう言い、友人はこっくりさんの続きを促す
ついにこのときがやってきた
私は嬉しさを面に出さぬように努力する
バレてはならぬと何とか自制させた
そして、はっきりとした口調で告げる
「こっくりさん、こっくりさん
友人ちゃんを殺したいと思う人はいますか?
「えっ?」
友人は私が何を言ったのか
理解出来ないとでもいうような顔をする
いや、理解したくないのだろう
「ちょっと! 止めて止めて!」
「止めることは出来ないよ。
もし友人ちゃんが指を離しでもしたら
友人ちゃん、呪われるよ? 分かってる?」
そう優しく諭すと
友人は人形のように動かなくなってしまった
そんな友人の気など知らずに
十円玉は紙の上をスルスルと滑り……
「えっ? ……嘘、でしょ? 『はい』って!
ありえないありえない!」
恐怖のあまりか、混乱してしまった友人は
あろうことか十円玉から指を離してしまった
離したら呪われると言っていたのに、だ
「あーあ、離しちゃった。
これで友人ちゃんは呪われちゃったよ」
私が言う前に彼女は既に 呪 わ れ て い た 。
何故なら彼女の胸には
包丁がずっぷりと奥深く刺さっていたのだ
「だから言ったじゃん、呪われるって」




