『温泉の沢とイノシシと詰まったプレスマン』
掲載日:2026/08/09
武蔵国の秩父に、沢がそのまま温泉になっているところがありました。このあたりには大きなイノシシが住んでいて、作物を荒らすので、このあたりの百姓たちがわなをしかけますと、不覚にもそのわなにかかってしまいました。何とか抜け出すことに成功したものの、けがをしてしまいました。イノシシは、温泉の沢に入って傷を治し、新たな気持ちで畑を荒らしに行きました。
そんなことが何度かあって、温泉の沢が傷にいいということが人間にも広まって、大勢の人が入りに来るようになりました。速記者が、詰まりがひどくなったプレスマンをつけてみましたが、かえって詰まりがひどくなりました。何となく、試す前に気がつきそうなものですが、もしかして、と思ったのです。イノシシはイノシシで、わなにかかるたびに入りに来ていましたので、人間と鉢合わせることもありましたが、どうみても勝てそうにないので、鉢合わせた人間のほうが湯から出るという習慣ができ、うまく住み分けができていました。あるとき、鉄砲撃ちが鉢合わせて、イノシシは撃たれてしまいました。イノシシは、温泉の沢に沈んで湯の口をふさいでしまい、温泉の沢は、普通の沢になってしまいました。
教訓:山の向こうの上州でよい温泉が出るのは、このときからだという。ただし、諸説ある。




