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灰色の透明
今回のお話は「全てが壊れた世界にたった1人生き残った【彼】」の話です。
ただ、誰もいなくて。ただ、澄んでいる。
そんな世界に彼は一人、取り残されていた。
どこに行っても誰もいなくて、透明で美しい世界は彼を嘲笑っていた。
◆
僕の肺に入る冷たい空気が痛くて、頬を撫でる風が尖ってて。美しいのに棘があるように感じるのは壊れる前の世界みたいで。
どこに行っても、もう何もないけど、散らばったガラス片が曇り空を映すけど。
僕はただ、立ち止まり、ただ思い出に浸る。
そんな毎日を繰り返していたらいつの間にか僕は。
‐世界の一部になったんだ‐
美しいものには毒がある。と誰かが言っていた。
僕はこの美しい世界の毒に、棘になる。
僕という存在が世界に溶け、毒となり、この世界を傷つけるのなら、僕が生き残った意味があるのかもしれない。




