2の2 龍神の国の人々 猿
私は、猿に転生した。
この頃は、殆ど前世の人間の姿になった。私はとても嬉しかった。
人間に近いのは、前世を思い出して色々なものを作るのにとても便利だから。でも、猿人間は皆魔法が不得意だ。熊は火。イノシシは土。鳥は風。魚は水。暗闇に住まうものは闇。それぞれが使いこなし生きる為に活用している。
猿に与えられた魔法は無と光だが、あまり使いこなせていない。光は明かりを点すことに活用はしているが、無、とはどのように使うのだろう。猿は考える力が他のもの達よりは優れているので、いつかは無を使えるものが現れるだろう。其れまでは、地道に道具を作って、他の種族に貢献していこう。
「和をもって尊ぶべし」」の戒律は私達の中に浸透している。
1つの種族で固まりがちであるが、他の種族とは良い関係を保っている。
喧嘩は勿論ある。意見があれば、反対するものもいるのは当然だ。しかし人のものを奪う行為は堅く禁じられている。この世界は殺人よりも重罪に位置されている。
死んでも、直ぐに生き返るので殺しても意味がないのだ。
しかし、他のものから奪う行為は、人の間に不和を齎し、疑心暗鬼になり、和が乱れる。
これは追放の罰を科される。
この世界に張り巡らせた、結界の外に出される。
外に行きたいものは、いつでも出て行けるが、帰る事は出来ない。
一時期多くのものが出て行った。
彼等の代わりの魂は、直ぐに補充されるので、問題はない。
人口は常に一定に保たれている。
意思のない動物も沢山いるが、それらはマナの影響を受けて異常に強く更に異形になった。
私達はこれらの異形の動物たちを魔物、若しくは魔獣と呼び、それらを討伐する。
魔物も魔獣もこの世界の一因だ。適当に討伐し、余り数が減らないようにまた増えすぎないようにしている。
それらが内包している魔石や、それらの素材は利用価値が高いからだ。